ハンファ防衛産業の子会社、労働者の血液疾患症が次々と労災(産災)認定 2021年9月23日 韓国の労災・安全衛生
ハンファ・ディフェンスとハンファ・エアロスペースで、金属の表面処理作業をした労働者が相次いで骨髄異常疾病で業務上災害と判定された。これまで電子・半導体産業で主に発生していた有害・発ガン物質の使用による白血病と職業病の問題が金属製造業全般に拡散していると分析されている。
金属労組法律院の慶南事務所は、サムソン・テックワンの時からハンファ・ディフェンスの昌原工場で40年間働いて退職した労働者のAさんが,骨髄異形成症候群で勤労福祉公団に産災を申請して2年10ヶ月目に認められたと22日に明らかにした。Aさんは1978年に入社し、『自走砲』等を作る工程で、溶接と製管・表面処理・洗浄・クロムメッキ・塗装の作業をした。1997年から再生不良性貧血を病んだ彼は、57才だった2018年、身体にしばしばアザができて血が止まらず、病院を訪れて骨髄異形成症候群と診断されて、産災を申請した。
産業安全保健研究院の疫学調査で、Aさんは1985~1993年の8年間、表面処理作業をした当時、正しい保護施設もなく、保護装具を着用していなかったと話した。彼はゴム手袋だけでアルミニウム部品とロードホイールをトリクロロエチレン(TCE)が入ったタンクに入れた後、雑巾で拭いて出したり、塗料の原料にシンナーを入れて吹付をした。金属の洗浄剤として利用されるTCEは、産業安全保健法で定めた『特別管理物質』で、毒性感染と皮膚疾患・血液障害を起こすことがある。しかし、疫学調査でTCE曝露と疾病との関連性は確認されなかった。産業安全保健研究院はAさんが洗浄作業と塗装作業をしている間に、相当なレベルのベンゼンに曝露した可能性が高いと見た。
1996年から2003年まで、ハンファ・エアロスペースのブレード加工部署で働いたBさんは、健康診断で汎血球減少症の所見が出て、2017年7月、血液精密検診の結果、無形成貧血と診断された。無形成貧血は血液細胞である白血球・赤血球・血小板がすべて減少する汎血球減少症を起こす疾病だ。Bさんは平面研削と加工機を使用して金属を切削する作業をしたが、この過程で切削油・水溶性金属加工油・洗浄剤・酸とアルカリ溶液といった有機溶剤に曝露した。疫学調査では業務関連性が否認されたが、業務上疾病判定委員会が推定の原則を適用して業務上災害と認定した。公団は「無形成貧血の職業的原因としてベンゼンと電離放射線・農薬・ヒ素などが知られており、Bさんが機械加工と熱処理・洗浄業務を行う過程でベンゼンなど造血器系のガン誘発物質に曝露したと判断される」と明らかにした。
チェ・ヨンジュ公認労務士(金属労組法律院慶南事務所)は、「今回の事件の文献調査の結果によれば、2000年以前までは国内でベンゼン使用に対する規制がキチンとされておらず、塗料や接着剤・洗浄剤にベンゼンが含まれた。」「鉄の工場で表面処理作業や塗装作業をした労働者が疾病を病んでいるとすれば、職業的な原因を疑って、産災を申請する必要がある」と話した。
2021年9月23日
毎日労働ニュース キム・ミヨン記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=205064