落ちて挟まれて、製造業事業場で続く重大災害 2021年8月23日 韓国の労災・安全衛生

斗山重工業風力一工場で20日、設備を点検していた40代の労働者が墜落して亡くなった。/民主労総慶南地域本部

製造業の事業場で、19日からの三日間で三人の労働者が職場から家へ帰ることができなかった。基本的な安全措置すら守られず、今年、重大災害が発生した現代重工業・現代自動車・斗山重工業で、雇用労働部の監督以後、再び死亡事故が起きたのだ。労働部の監督が形式的な手続きに終わらずに実質的な再発防止に進むには、現場労働者の声を反映できる窓口作りが必須だと指摘される。

22日、金属労組現代重工業支部と支部の社内下請け支会によれば、21日午後、現代重工業の系列会社である現代重工業モスで、協力業者所属の60代の労働者Aさんが、海洋Hドックのポンプ室の地下1階と地下2階の間の踊り場で倒れているのが発見され、病院に運ばれたが亡くなった。死因は急性心筋梗塞と推定され、外傷はないと伝えられた。警察は正確な死亡の経緯を調査している。

事故性の災害ではないと推定されるが、支会は過労死の可能性を示唆している。支会の関係者は「遺族たちによれば、故人は(最近)休む日もなく働いていた。」「人員が不足して設備保全業務の二人一組の作業規則が守られず、業務が加重なため、事故が起きても早い措置ができない状況」と話した。

現代重工業モスでは以前にも大小の事故が発生している。1日に協力業者・J物流所属の信号手のイ・某(55)さんが、業務の途中に墜落し、病院に移されたが現在まで意識不明の状態だ。6月23日にはエンジン製造工場で、下請け労働者が落ちてきた鋳物のハンドルに当たって、脊椎と肋骨などが折れる事故に遭った。2月5日には組み立て工場で、2.6トンの鉄板に頭がぶつかって40代の職員が死亡した。重大災害の原因の一つに、現代重工業モスの分社による現場の疎通不在が指定された。鉄板を移送して搭載する業務はモスが、鉄板溶接などの作業は現代重工業が担当し、当日どんな作業が予定されているのかさえ共有されていなかったためだ。

労働部は2月に続いて5月に重大災害が続けて発生したため、5月17日から28日まで、現代重工業に特別勤労監督を行った。しかし二ヶ月も過ぎない7月13日に、塗装一工場で屋根を修理していた労働者が墜落して亡くなる事故が再び発生した。

19日と20日にも重大災害が発生した。20日午前、斗山重工業の風力一工場で設備を点検していた40代の労働者が、6~7メートル下の床に落ちて亡くなった。19日午後、現代自動車蔚山第三工場で部品の荷降ろし作業をしていた物流業者所属のヤン・某(63)さんが、設備と作業場の階段の間に挟まれて亡くなった。

二つの事故はいずれも基本的な安全措置が不十分だったことから起こった。金属労組によれば、現代車の事故現場には安全マットや安全柵がなく、作業者を設備から保護するセンサーもなかった。斗山重工業の事故現場にも、墜落を防止するための安全装置がなかった。

現代車と斗山重工業は、それぞれ1月と3月に重大災害が発生した所だ。現代車の蔚山一工場では、1月3日にプレス一工場で圧搾器に胸を圧迫されて亡くなる事故が起こり、斗山重工業の原子力工場では、3月8日に運送業者所属の40代の労働者が、100トンの製品の下敷きになって亡くなる事故があった。当時も、安全規則が正しくに守られていなかったということが事故の原因と指摘された。労働部の昌原支庁は、5月に墜落危険防止の措置をしていないなどの安全措置の違反事項を確認して、斗山重工業に過怠金1450万ウォンを賦課していた。

「労働部の監督は『見える』のものだけを摘発するしかない」

労働部の監督の以後も、似たような事故が再発して直ぐに、監督の実効性に疑問を提起する声が大きくなっている。労組の労働安全保健局長は「1月に現代車の事故で労働部が監督をした、安全保健診断の命令も出たが、基本的な事項をキチンと点検せず、事故が起きたところだけを形式的に措置していたことが、今回の重大災害によって確認された」とし、「当時、作業中止命令も、事故がおきた設備で業務を行う労働者の意見をキチンと聴かないままで解除した」と指摘した。

実効性のある監督のためには、現場の労働者の声が正しく反映されるべきだと、労働界は口を揃える。現場の労働者が肌で感じる危険と、監督官が目で見る危険とは違うためだ。

民主労総慶南地域本部のキム・ビョンフン労働安全保健局長は「産業安全保健本部のスタート以後に、製造業の事業場に対する現場点検を行ったが、監督をしても、安全保健診断命令を出しても、重大災害が繰り返されるのは、労働部の監督に限界があるため」とし、「労働部の職員や外部の専門家は、点検当時に『見える』ものだけを摘発するしかない。現場で働く労働者の直接的な参加が保障されなければならない理由だ」と話した。

2021年8月23日 毎日労働ニュース オ・コウン記者

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