全国安全センターの厚生労働省交渉(2021.7.20):C. 厚生労働省の職員の増員、配置について

※全国安全センターの厚生労働省交渉の全体-「労働安全衛生・労災職業病に関する要望書」の全文はココで確認できます。

C.1. 労災補償の事務官について

【要望事項】

C.1. 新型コロナウイルス感染症による労災請求件は昨年より増え続けており、ついに1万件を超えた。そのような状況の中、療養の状況に変化があったなどの理由で、新型コロナウイルス感染症により労災認定されている被災者への休業補償給付の支給が長期間停止される事案が愛知県で発生している。急激に増えて続けている新型コロナウイルス感染症に係る労災の請求件数に対応する人員が十分でない状況があると推察される。この他、所轄署に請求されたアスベスト疾患、精神障害、脳・心臓疾患やその他の困難事例等に係る労災保険の適用調査を各都道府県労働局に設置した集約部署で行う傾向にあるが、将来、あらゆる職業病及び業務災害について、労災保険の適用調査を行うための職員が不足することが懸念されている。労災保険制度の適切な運用と維持のため、全国の労働基準監督署及び労働局の厚生労働事務官を増員、配置すること。

【厚生労働省回答(労働基準局労災管理課)】

1 労災補償行政においては、被災労働者及びその御家族の方々からの労災申請に対し、迅速かつ公正な保険給付の決定が求められており、これまでも、労災補償業務を担当する職員の増員を図るなど、必要な体制の確保に努めてきたところです。
2 しかし歯科ながら、近年、精神障害事案等の複雑困難事案が増加しており、労災補償業務の実施体制が厳しいものと認識しています。
3 定員事情は厳しいところでありますが、行政需要に的確に対応するためにも、引き続き、必要な体制の確保に努めてまいります。

C.2. 安全衛生の専門官について

【要望事項】

C.2. 労働安全衛生行政を第一線で担う専門職員が補充されていないときく。地方労働局、労基署に安全専門官、衛生専門官を増員、配置すること。

【厚生労働省回答(労働基準局安全衛生部計画課)】

1 様々な現場で働く労働者が安全で安心して働くことができるよう労働安全衛生行政が適切に運営されることが重要であると考えています。
2 都道府県労働局、労働基準監督署においては、厳しい定員事情の中で努力しているところですが、厚生労働省としても人事当局に対して労働安全衛生行政を担う職員の増員の要求をして参ります。

【厚生労働省交渉でのやりとり】

全国安全センター・飯田:最後にCのほうですけども、これは厚生労働省の職員の増員、配置について。本省においても監督官の増員はやっているようですが、一方で労災補償の事務官や安全衛生の専門官については人数が減らされているという問題もあります。その点について最後にご回答いただいて、現状どうなっているのか、あるいはまあ、今後どういうふうに取り組んでいくかということについて、回答いただきたいと思っております。

厚生労働省:労災補償の事務官についてということで、調査の実態とかですね、ご指摘いただきまして、そういう中でやはり、脳心・精神の請求の増加があります。職員も一生懸命やっていると思いますけど、いろいろ、あの問題もあるのかもしれません。そういう中で、こちらとしてもですね、可能な限り、最大限、増員の要求に努めて参りたいと思っています。以上です。

厚生労働省:安全衛生の専門官についていただいているところにつきまして、要請のご主旨としましては、現場で働く労働者の方々の安全を守る、そういった職員をしっかりと手厚くしていただきたい、そういった主旨かなというふうに認識をしてございます。労働局、監督署、いま厳しい定員事情の中でも、最大限努力しているところでございますので、私どもとしましても、この安全衛生行政を担う職員の増員のところの要求については精一杯やらせていただきたいというふうに考えてございます。

全国安全センター・飯田:ありがとうございます。これまでの回答の中で補足とかあれば、何か、省庁の皆さん、最後ですので、お答えいただきたいと思いますが、ありますか。私たちのほうで何か、最後、これだけはということもありますか。

全国安全センター・成田:名古屋労災職業病研究会の成田と申します。ご回答ありがとうございます。Cの1、労災補償の事務官についてのことに関してですが、私は普段、愛知、三重、岐阜、静岡、長野あたりの監督署の職員の皆さんとお話することが多いのですが、どこの署とは言いませんが、愛知局では結構人員がきつくなってきているので、労災課長に、もう私たちもいつまで労災保険制度を維持できるかわからないと言われてるんですよ。昔に比べて人員が半数ぐらいになっちゃってるみたいですね。監督官もどんどんどんどん労災課から抜けてっちゃって。労災課長さんは、メンタル病んで若手が辞めてっちゃったり、石綿とか、いろんな難しい事案ができる上は定年退職していったりで、もうどれだけ難しい事案の調査を担える人間がいるか、ちょっとわからないとかいって、ぶっちゃけ話をしてくれる人もいます。やはり監督官が、労災、職業病畑で、何年間か来てやるというような感じだと制度が維持できなくなるかもしれませんので、やっぱり厚生労働事務官という人たちが必要なのではないかなというふうに思います。それと、技官の採用って、再開される予定あるんですかね。ということでございます。以上です。

全国安全センター・飯田:何かお答えできるところありますか。技官の採用はいかがですか。

厚生労働省:まず労災の事務官については、採用の再開を平成30年10月からしてございます。安全衛生につきましては、これはあの、監督指導と安全衛生指導を一体的に実施をしていくという方針でございまして、厚生労働技官の今後の採用というのは、あの、現在のところははじめてはしておりません。

全国安全センター・成田:再開をするべきだと思います。

厚生労働省:ご意見は、はい。

全国安全センター・成田:本省としてはがんばっていただきたいところであります。皆さんも内心は思ってると思うんですよ。技官の採用を増やさないといけないと思ってると思うんだけど、いろいろあると思うんで、そこはわれわれも援護射撃をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

全国安全センター・飯田:よろしいですか。ちょっと時間を超過してしまいましたけど、今日はどうもお忙しい中、ありがとうございました。新型コロナですとか、大変な状況で、厚生労働省の皆さんもね、いろんな仕事、やらざるを得ないということだと思いますが、われわれとしても日頃から労働基準監督署、局との関係の中、労災補償、あるいは安全衛生、そして労働基準行政を応援しています。ぜひ、よりよい労災補償、安全衛生、基準行政を築くためにも、ともにがんばりたいと思います