<各地の便り>事前調査結果届出の新設等 厚労省●検討会報告受け石綿則改正へ

厚生労働省が 「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」 報告書を4月14日公表した。これを受けて、石綿障害予防規則の改正が行われる予定。同検討会は2020年1月6日に「中間とりまとめ」をまとめていた。 他方、環境省の中央環境審議会は2020年1月24日、「今後の石綿飛散防止の在り方(答申)」を環境大臣に提出し、これに基づいて大気汚染防止法が国会に提出され、4月6日に衆議院環境委員会に付託されて国会審議がはじまっている。
改正石綿則と改正大防法は言わば表裏の関係となって、建築物等解体・改修等における石綿飛散防止対策を確保するわけだが、今回の改正提案の基本的問題点は「安全センター情報」2020年3月号で検討している。

「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」の報告書を公表します

2020年4月14日厚生労働省発表

厚生労働省の「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」(座長:豊澤康男・前独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長)は、本日、建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策に関する報告書をとりまとめましたので、公表します。
石綿等が使用されている建築物の老朽化による解体等の工事は、今後も増加することが予想されています。そのため、現在の技術的知見等も踏まえて、一層の石綿ばく露防止対策等の充実が求められています。こうした状況の中、検討会では、建築物の解体・改修等におけるばく露防止対策に関する検討を行い、その結果を取りまとめて、石綿ばく露防止対策等の充実に役立てることを目的に、平成30年7月から8回にわたり開催してきました。
厚生労働省としては、この報告書を受けて、労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則の改正を検討する方針です。

■報告書のポイント

<事前調査の充実・強化>

  • 建築物の解体・改修工事を開始する前の石綿使用の有無に関する調査(以下「事前調査」)を行う者は、一定の講習を修了した者又はそれと同等以上の知識・経験を有する者でなければならないこととする。
  • 建築物、工作物又は船舶の解体・改修工事を開始する前の事前調査における石綿の分析を行う者は、一定の講習を修了した者又はそれと同等以上の知識を有する者でなければならないこととする。
  • 事前調査結果は、3年間保存しなければならないこととする。

<計画届の対象拡大>

  • 工事開始前までの作業届提出が義務づけられている石綿含有保温材等の除去作業について、工事開始14日前までに計画届を提出しなければならないこととする。

<事前調査結果等の届出の新設>

  • 以下の基準に該当する工事は、石綿含有の有無に関わりなく、原則として電子届により、事前調査結果等を労働基準監督署に届出なければならないこととする。
  1. 解体工事部分の床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事
  2. 請負金額が100万円以上である建築物の改修工事又は特定の工作物の解体・改修工事

<石綿等の除去作業におけるばく露防止措置の強化>

  • 隔離が義務づけられている吹付石綿、石綿含有保温材等の除去作業において、除去が完了したことが適切に確認できる能力を有する者により、除去が完了したことを確認しなければ、隔離を解いてはならないこととする。
  • 隔離空間からの漏洩防止のため、集じん・排気装置に変更を加えた場合に集じん・排気装置について、作業を中断した場合に負圧について、点検しなければならないこととする。
  • 石綿等を含有する仕上げ塗材を、電動工具を用いて除去する場合は、湿潤な状態にすることに加えて、作業場所の周囲を隔離しなければならないこととする。
  • 石綿等を含有するケイ酸カルシウム板1種をやむを得ず破砕する場合は、湿潤な状態にすることに加えて、作業場所の周囲を隔離しなければならないこととする。

<作業計画に基づく作業の実施状況の記録の義務化>

  • 石綿等の除去作業等を行う場合に作成することが義務づけられている作業計画に基づく作業状況等について、写真等により記録を作成し、3年間保存しなければならないこととする。