安全保健公団の速報から消えたウォーターパーク死亡事故 2021年5月18日 韓国の労災・安全衛生

金海ロッテウォーターパーク/金海市

安全保健公団のホームページには、産災死亡事故速報掲示板がある。同様の災害の発生を防ぐために、事故のニュースをいち早く伝えるのが目的だ。ところが、12日に発生した金海ロッテウォーターパークの死亡事故が、13日午前の産災死亡事故速報欄に掲示されたのに、当日の午後に削除されるということが起こった。ロッテワールドの要請に従ったものだ。民主労総・慶南本部は、「財閥大企業の産災隠蔽圧力に公団が屈服したのではないか」という疑惑を提起した。

慶南本部によれば、亡くなったキム・某(36)さんは、事故当日の午前、野外の波のプールの底の異物を除去する清掃作業中に事故に遭った。2013年から、金海ロッテウォーターパークで人命救助と現場管理業務を担当したキムさんは、事故の直後に近くの病院に移送されたが、12時頃に息を引きとった。

キムさんはSBSの時事・教養プログラム『生活の達人』で『ウォーターパーク清掃の達人』として紹介されるほど、水中作業に格別な実力の持ち主だった。キムさんは事故当日、午前10時頃から60分間、水中で底の清掃作業を行っていた。警察はキムさんの解剖検査を行って、死因を分析中だ。

公団は事故の次の日の13日午前に、死亡事故速報欄に企業名を明示せず、事故の場所・時間と「ウォーターパークの水中清掃作業中に溺死した」と知らせた。ウォーターパークを運営するロッテワールドが、「警察が捜査中なのに『溺死』という表現が断定的」という趣旨で問題を提起して措置を要求し、公団はこれをそのまま受け容れて、死亡の報告をすべて消してしまった。

慶南本部と馬山巨済産災追放運動本部、蔚山産災追放運動連合、韓国労働安全保健研究所は17日に記者会見を行い、「ロッテウォーターパークが、事故原因が明確に確認されていないと主張する理由は、死亡原因を産業災害ではなく、労働者個人の死として片付けようとするもの」で、「事業主の責任回避が目的なのは明確なのに、公団が使用者の立場に同調して、死亡事故速報を削除したことは理解できない」と批判した。「死亡事故速報がこのような形で運営されれば、小規模な企業の重大災害だけが知らされ、大企業の死亡事故は隠蔽される可能性が高い。」「大企業の圧力に屈した公団を糾弾する」とした。

公団の関係者は「担当者の錯誤で、明確でない死亡原因が断定的に掲示され、これを修正して欲しいという要請を受けて、問題になる部分があると判断して削除した」と明らかにした。公団はこの日の午後4時頃『溺死』を『死亡』と修正して、死亡事故速報を再び掲載した。

ロッテウォーターパークはこの日、遺族たちの「事故現場を見たい」という要求を拒否し、業務との関連性を隠そうとする意図ではないかという疑惑を受けた。故人の叔母であるト・某さんは<毎日労働ニュース>との電話で、「子供を失った両親が、到底その事実を受け容れ難く、事故現場を確認すると訪ねて行ったが、使用者の関係者から『事前に連絡せずに訪ねてきて、気分が悪くて見せられない』という暴言を聞かされた」とし、「子供がなぜ死んだのか、その理由だけでも知りたいという遺族の前で、どうしてそんなことが言えるのか、けしからん。今でも身体が震える」と話した。

これに対してロッテワールドの関係者は、「事前に時間を打ち合わせて訪問することを遺族側と話し合ったが、職員がいない早い時間に訪問したために現場を見せることができなかっただけで、(気分が悪くて見せられないといった)発言をした事実はない。」「誤解があるようだ」と釈明した。

2021年5月18日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

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