今年下請け労働者3人が死亡したテヨン建設ー労災には理由があった~同社に特別監督 2021年4月26日 韓国の労災・安全衛生

テヨン建設の汝矣島社屋/テヨン建設提供

今年に入って三人の下請け労働者が続けて亡くなったテヨン建設が、安全保健管理体系(安全体系)の運営がを不充分で、産業災害報告の義務もキチンと守っていなかったことが明らかになった。

雇用労働部は26日、政府の世宗庁舎でブリーフィングを行い、先月22日から半月間、テヨン建設の本社に対する特別監督を行った結果を明らかにした。労働部は今年、建設会社に対して、一件の重大災害が発生しただけでも、本社と全国の建設現場を監督することにしたが、今回の特別監督は、この方針が適用された初めての事例だ。

労働部は、テヨン建設の作業現場で下請け労働者の死亡事故が続いたことに関連して、本社の安全体系の点検を行った。労働部が特別監督で、個別の会社の安全体系を点検したのは今回が初めてだ。これは、来年から施行される「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害法)と施行令に含まれる内容に相当するというのが労働部の説明だ。

労働部の調査によれば、テヨン建設は安全に関するリーダーシップと目標設定がなかった。労働部は「代表理事の活動と経営戦略などに、安全保健に関する関心と戦略・活動が足りないとし、中・長期の経営戦略に安全保健関連の事項がなく、補完が必要だ」と指摘した。テヨン建設は安全保健の目標や評価基準がなく、本社の安全専門担当チームが事業部署に属して地位が低いとされた。現場の安全保健管理者の正規職比率は30.9%で、施工順位20位の建設会社平均(43.5%)よりも低かった。危険性評価に対する現場所長を対象とした安全保健教育の時間も、年1.5~3時間で不充分だった。

このような問題点は現場にそのまま現れた。労働部はテヨン建設の作業現場で、産業安全保健管理費が原価を下げる対象として扱われたと指摘した。安全保健費用の平均執行率は、2018年の95.2%から昨年の89%に下がった。また、現場で安全保健総括責任者、安全保健管理者などを適宜に選任せず、現場の安全体系が正しく作動していない事例も多数摘発された。労働部は今回の監督で、産業災害報告の義務違反も多数摘発した。テヨン建設は、2017年11月の知識産業センター新築工事での死亡事故、2017年12月の雲陽洞の都市型生活住宅での死亡事故、今年1月の果川知識情報タウンでの死亡事故などを、遅れて報告した。また、2019年5月の複合団地現場での労働者の負傷災害は、報告もしなかった。

労働部は35ヶ所の現場で59件の産業安全保健法違反を摘発し、2億450万ウォンの過怠金を賦課した。今年発生した3件の死亡事故などについては、会社の産業安全保健法違反の疑惑についての捜査も進行中だ。

労働部のキム・キュソク労災予防補償政策局長は、「テヨン建設に現場の安全管理要員の増員など、実効性ある改善計画を作成することを強く勧告した。」「他の建設業者に対しても、重大災害法の施行以前に、安全保健管理体系をキチンと構築するように、産業災害事故による死亡が発生すれば本社の監督を行う」と明らかにした。

2021年4月26日 ハンギョレ新聞 パク・ジュンヨン記者

http://www.hani.co.kr/arti/society/labor/992616.html