裁判所「肺癌の環境美化員、地方自治体に損害賠償義務」 2021年3月11日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/光州勤労者健康センター

20年以上もディーゼル排気ガスのような物質に曝露しながら働いて、肺癌に罹った環境美化員に対し、地方自治体に損害賠償義務があるという裁判所の決定が出た。

民主労総法律院・光州事務所によれば、順天市の環境美化員として働いている間に肺癌と診断された労働者のAさんと、Bさんの遺族が順天市に損害賠償を請求した事件で、光州地法・順天支院が損害賠償責任を認める趣旨の和解勧告決定を1月14日に行った。順天市は異議を提起せず、2月16日に確定した。順天支院の和解勧告は「損害賠償請求訴訟を提起した環境美化員のAさんには1200万ウォンを、Bさんの遺族には1500万ウォンを、順天市が支給せよ」という内容だ。

Aさんは1990年に環境美化員として採用され、2017年に原発性肺癌と診断され、治療中だ。Bさんは1996年に採用され、やはり2017年に原発性肺癌とされ、闘病中に亡くなった。

AさんとBさんの遺族は、順天市が有害物質による危険防止のためにマスクなどの保護装具を支給したり、回収車輌から排出される媒煙を減らすなどの措置を執らなかったとして、2019年8月に損害賠償を請求した。原告らは、順天市が回収車輌の後の部分に搭乗する際、自動車の排気口から排出される有害物質を吸入する可能性が大きいのにこれを防止せず、曝露した有害物質に対する安全教育をしないなど、安全配慮義務に違反したと主張した。

AさんとBさんは昨年1月、勤労福祉公団から産業災害を認められている。公団はAさんとBさんが、それぞれ27年1ヶ月と20年4ヶ月間、車輌搭乗・廃棄物回収、道路周辺のゴミ清掃などの業務を行い、肺癌誘発物質であるディーゼルエンジンの燃焼物質に長期間曝露したと認めた。結晶型硝子ケイ酸と石綿にも間けつ的に曝露した事実も認めた。

民主労総法律院・光州事務所のキム・ソンジン弁護士は「今までは職業性疾患が発生した場合、それ自体が認められないケースが多かった。」「認められても、地方自治体が別途に損害を賠償せず、勤労福祉公団が産災処理をして終るのがほとんどだった」とし、「今回の決定では、地方自治体に損害賠償義務があり、直接的・追加的な責任を負うべきだと確認した。」「順天市だけでなく、他の地方自治体も職業性疾患に曝露した環境美化員の労働条件に関心を持ち、再発防止対策を用意する必要がある」と注文した。

2021年3月11日 毎日労働ニュース チェ・ナヨン記者

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