コロナ集団感染労働者 「会社が賠償せよ」と初の集団訴訟 2020年12月29日 韓国の労災・安全衛生

5月、クパンの富川物流センターで働き、コロナ19に集団感染した被害者が、29日にクパンを相手に集団民事訴訟をソウル東部地方裁判所に提起するに先立って、記者会見をしている。/聯合ニュース

5月にクパンの富川物流センターでコロナ19に集団感染した労働者が、クパンを相手に民事訴訟を提起した。国内でコロナ19に感染した労働者が、会社を相手に集団訴訟を提起したのは初めて。

『クパン発のコロナ19被害者の会・支援対策委員会』はクパンの富川新鮮物流センターの労働者9人とその家族2人が、ソウル東部地方裁判所に『クパン』とクパンの物流子会社『クパン・プルピルモント・サービス』を相手に、コロナ19集団感染の責任に対する損害賠償を求める民事訴訟を提起したと明らかにした。クパンの富川物流センターでは、5月末に、労働者84人と家族、関係者68人の計152人がコロナ19に集団感染した。

被害者の会は、集団感染事態の後の7ヶ月間、クパンに謝罪と補償、対策作りを要求したが、クパンは謝罪どころか、集団感染の責任を否定してきたと主張した。被害者の会は「今でも生死の境目にいたり、トラウマで仕事が困難な被害者もいる」とし、「責任ある対策を要求してクパン側と何回かの出会いを持ったが、クパンは『訴訟に不利になり得る』として、責任を回避している」と話した。

被害者は訴状で「クパンは、政府が1月から7回にわたって配布した『事業場コロナ19対応指針』を全く守らなかった。」「産業安全保健法上、事業主が当然守るべき安全・保健措置を尽くさなかった」と主張した。

今回の訴訟に参加した被害労働者のAさんは「当時、会社から、最初の陽性者の発生について、全く知らされなかった。」「大規模センターなのに、せいぜい出入口と一部の作業場、食堂にだけ消毒液を1~2個を備えるなど、防疫措置が不十分だった」と話した。

5月24日に複数の陽性者が富川物流センターで発生したという事実が判ったのに、事業場の一部だけを消毒した後、防疫当局との協議もなく、センターを4時間後には正常稼働し、翌日には追加の陽性者が出たのに事業場を直ぐに閉鎖せず、大規模集団感染に繋がったということだ。チョン・ビョンミン弁護士は「クパンは、労働者が集団的にコロナ19に感染する可能性を十分に知ることができた。」「裁判所がクパンの違法行為を糾明して、労働者の被害について正当な賠償を命じるだろう」と話した。被害者の会は訴訟に参加する被害者を引き続き集める予定だ。

海外でも防疫措置のいい加減さを理由に、会社が集団提訴された事例が数件ある。アメリカではコロナ19に感染した労働者とその家族が、ファーストフード店のマクドナルド、流通業社のウォルマートとアマゾン、肉加工業者のタイソンフードなどを相手に、訴訟を提起している。

この以前に、富川物流センターのコロナ19被害労働者10人が、被害者の会を通じて、勤労福祉公団に産業災害の承認を申請し、現在まで8人が産災を承認され、2人は審査が進行中だ。被害者の会は9月に、クパンのキム・ポムソク代表など、会社関係者9人を産安法・感染病予防法違反などで検察に告発した。

クパン側は考え方を訊く質問に「今後、誠実に調査に応じる」とだけ話した。

2020年12月29日 京鄕新聞 チョン・テヨン記者

http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=202012292113005&code=940702