10年になっても『その溶けた鉄』は変わらず- 今年2月にも溶鉱炉墜落死亡 現代製鉄浦項工場 2020年10月26日 韓国の労災・安全衛生
アン・チファン – その銑鉄使うな(原曲イジサン)
9月に歌手ハ・リミが唄った歌『その溶けた鉄を使うな』は、2010年9月に忠南のファンヨン鉄鋼会社で、1600度を超える溶けた鉄に墜落して死亡した20代の労働者を追慕する曲だ。
10年前、この事故を憂えたインターネットユーザーが残した文章が『その溶けた鉄を使うな』の歌詞になった。『その溶けた鉄は使うな/自動車を作らないこと/街灯も作らないこと/鉄筋も作らないこと/針も作るな』と書いた。
しかし10年が過ぎた今でも、使ってはいけない溶けた鉄はずっと作られている。今年2月、労働者一人が溶鉱炉に墜落し、全身に火傷をして死亡した事実が判った。会社は老朽設備の更新の必要性を知りながら、約1年間これを放置し、結局労働者の死亡事故に繋がった。
25日、国会・環境労働委員会所属の共に民主党のイ・スジン議員が雇用労働部から確保した資料によれば、2月5日、現代製鉄の浦項工場で、労働者が1500度の溶けた鉄が入った溶鉱炉の内部に墜落する事故が発生した。
Aさんは液体状態の溶けた鉄を固体に固めて、半製品を作る工程で働いていた。事故当日、彼は溶けた鉄の分配器に溶けた鉄を注入する作業をしていた。Aさんは分配器の上部に上がって、不安定にぶら下がっている放熱の覆いを除去して移動している間に、踏み台になっていた分配器のカバーが壊れて墜落した。
墜落直後、自力で脱出して病院に運ばれたが、全身の53%に3度の火傷をし、19日後に、多発性臓器不全で死亡した。
事故の直接の原因は分配器のカバーの老朽化であった。問題は、会社が設備の欠陥を把握していたという点だ。労働部は調査の過程で、2019年4月の工場協議会の主な案件として『分配器カバーの老朽化交換』が取り上げられていた事実を確認した。事故発生の10ヶ月前に設備交換の必要性を知りながら交換がされず、事故に繋がったのだ。
労働部は高熱のとけた鉄を注入する間に分配器の上部で作業が行われた点も問題だと見た。会社は事故が起きた後、『溶鉄注入中の分配器の上部移動と作業禁止』を作業標準に加えた。
産業安全保健法上の安全措置義務を疎かにした現代製鉄の法人と浦項工場長らは、不拘束起訴意見で検察に送検された。
人が溶鉱炉に墜落する事故は忘れた頃に繰り返されている。2015年には、現代製鉄の仁川工場でAさんの事故とよく似た死亡事故が起きている。2010年から今年の6月までに金属製錬業種で69人が仕事中に死亡したが、墜落死は9人だった。
イ・スジン議員は「設備交換の必要性を分かっても適時に交換せず、労働者が溶鉱炉に墜落する、ぞっとする事故が繰り返されている。」「現代製鉄の安全不感症がそれだけ深刻だということで、会社の意識変化と雇用労働部の徹底した指導・監督が必要だ」と話した。
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=202010260600005&code=940702
2020年10月26日 京鄕新聞 イ・ヒョサン記者