航空労働者の生殖器疾患の増加率は一般人の4倍 2020年10月20日 韓国の労災・安全衛生

労災申請率は低調。カン・ウンミ議員「航空労働者の職業病研究が急がれる」

資料写真/チョン・キフン記者

5年間に生殖器疾患が最高56.2%増加

国会・環境労働委員会のカン・ウンミ正義党議員が、国民健康保険公団から入手した『航空従事者疾病別診療現況』を分析した結果を公開した。
最近5年間に、航空労働者の生殖器関連疾患が大きく増加したことが分かった。職業と疾病の関連性を明らかにするのが容易でない航空労働者の職業病研究が急がれると指摘した。

『女性骨盤内器官炎症性疾患・女性生殖官の非炎症性障害』の診療を受けた労働者は、2015年の4942人から昨年の6387人に、29.2%増加した。今年の1~6月にはすでに7170人が診療を受けた。半年で昨年の数値を遙かに超えた。

男性労働者の生殖器疾患発生率の上昇曲線はさらに急だった。『男性生殖器官の疾患』は、同じ期間に879人から1373人に、56.2%増えた。今年の1~6月に1496人が診療を受け、女性労働者と同じように昨年の数値を既に超えた。

航空労働者の生殖器疾患は、全体の平均に比べて増加幅が大きいことが確認された。健康保険の加入者のうち、女性の生殖器疾患受診者は、2015年の442万3025人から昨年の470万5918人に6.4%増加した。同じ期間の航空業の女性労働者の増加率(29.2%)は、その4.5倍も高い。

男性の生殖器疾患受診者は、同じ期間に155万1797人から181万7155人に、17%増加したが、航空業の男性労働者の増加率(56.2%)は、3.3倍も高かった。

航空労働者が最も多く罹る疾病は、男女共通して『筋骨格系・結合組織の疾患』だ。男性は2015年の6446人から昨年の8631人に、33.9%も増えた。今年上半期に1万0412人がこの疾患で診療を受けた。女性は同じ期間に5624人から7107人に、26.4%増加した。今年上半期に既に6938人が病院を訪れた。これは健康保険加入者の内、男性(688万6467人→783万8765人) の13.8%、女性(900万8717人→992万5513人)の 10.2%に比べて、2~3倍高い数値だ。

女性労働者は生殖器官疾病に続き、甲状腺・その他の内分泌腺の悪性新生物(2015年126人→2019年169人)、乳房の悪性新生物(32人→61人)の症状が多かった。男性労働者は生殖器官疾患に続いて、虚血心臓疾患(159人→264人)、甲状腺・その他の内分泌腺の悪性新生物(111人→127人)、脳血管疾患(64人→113人)が続いた。

航空労働者の労災申請、5年間で36件とどまる
航空労働者の職業病研究は微弱

航空労働者の産災申請と承認は珍しい。カン議員が勤労福祉公団から受けた『2015~2020年6月、国内8航空会社の航空運輸業の疾病産災現況と勤労者数』の資料によれば、疾病による産災申請は36件で承認は19件に止まった。筋骨格系疾患の申請12件で承認は6件、脳心血関係疾患は8件申請の内、承認は3件、精神科疾患は9件申請の内、承認は7件に過ぎない。

カン・ウンミ議員は「唯一、航空労働者の中に生殖器疾患で診療を受けた人が多いことについて、具体的な研究と実態調査が必要だ」とし、「実態調査は、航空労働者の職業病分析と産災認定に関する重要な資料として使われることになる」と提案した。

航空乗務員の場合、北極航路の飛行による宇宙放射線への曝露で、白血病・血液癌の発病の心配が提起されたことがある。2018年に乗務員が産災を申請して、関連の研究と実態調査が行われた。この事例のように、航空労働者の職業病研究が必要だということだ。

カン議員は「製造業・建設業・サービス業の職業病研究は色々と行われている反面、航空乗務員と従事者の研究は生ぬるく、産災申請にあい路が多いと見られる」とし、「関連機関が実態調査と研究に、急いで着手しなければならない」と話した。

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=167092

2020年10月20日 毎日労働ニュース ヨン・ユンジョン記者