特殊雇用職『産災(労災)適用除外禁止』、定期国会処理が急浮上 2020年10月16日 韓国の労災・安全衛生

特殊雇用職の産災保険離脱率を高めている「適用除外申請制度」を改善しようとする動きが速くなっている。共に民主党は宅配労働者の過労死問題を契機に、適用除外要件を厳格にする産業災害補償保険法の改正を推進して、定期国会で通過させる計画だ。

環境労働委、労働部所属機関の国政監査・・・・適用除外制度に叱責続いて

15日、国会・環境労働委員会で行われた経済社会労働委員会など、雇用労働部の所属機関の国政監査では、産業災害の予防問題が俎上に上がった。与野党の議員は特殊雇用職の低い産災保険加入率と、重大災害の反復発生事業場の問題を提起して、制度改善を注文した。

宅配労働者と学習誌の教師など特殊雇用職14職種は、産災保険法によって産災保険に加入することができる。これらは働き始めた日から産災保険の適用対象になるが、本人が適用除外を申請することができる。政府は、特殊雇用労働者が事業主の入職申告がない状態で働いて怪我をしても、業務上災害と認定する。事業主が入職申告をしない方が特殊雇用労働者にはかえって有利だということだ。

適用除外が、保険料の納付を敬遠する事業主によって悪用される事例も少なくない。最近では、過労死で亡くなったCJ大韓通運宅配労働者のキム・ウォンジュンさんが、亡くなる前に作成した適用除外申請が、代理作成されたことが確認された。故人が所属した代理店で働いた12人の宅配労働者の内9人が、先月、適用除外申込書を一括して提出したが、この内6枚の筆跡が2枚ずつ同じだ。3人が申込書を代理作成していた。

ヤンイ・ウォンヨン議員はこの日の国政監査で「勤労福祉公団が検討した結果、委任する意志があっても、代理作成が確認されれば違法とするか」と質問した。労働部の関係者は「代理作成に関する効力の有無は法律に規定がないが、通常、間違って作成された場合でも産災保険を適用している」と話した。クォン・ドンヒ公認労務士は「代理店主が、故人が作成を委任したという事実を証明できなければ、刑事処罰の対象になり得る」と話した。

共に民主党のユン・ジュンビョン議員は、「特殊雇用職も一般労働者と同じに、産災の被害を受ければ、審査の結果によって適用の有無を分ければ良い」として「あえて適用除外申請制度を残して、事業主が悪用し、労働者を不便にさせる必要がどこにあるのか」と叱責した。同党のイム・ジョンソン議員は「使用者が、適用除外申込書を作成すれば給与がいくらか増えるといったやり方で、推奨・懐柔するケースが多い」として「このような方式なら、産災保険の適用対象を拡大してもしなくても同じだ」と指摘した。イム議員は地方雇用労働庁長の産災保険適用除外事例を全数調査するように注文した。労働部のパク・ファジン労働政策室長は「適用除外で産災保険を拡大しようとしていた当初の趣旨を生かせていないと判断している。」「(適用除外事例の全数調査は)地方庁の勤労監督官には関与できる根拠がないが、勤労福祉公団が産災保険を管理している点などを考慮して検討する」と答えた。

与党、『必須労働者保護対策』の補完立法を推進

政府は10月6日『必須労働者安全と保護強化対策』を発表して特殊雇用職の適用除外申請理由を制限することにした。病気や育児、事業主の帰責による休・廃業にだけ申請を受ける方案を推進する。与党はこのような内容の産災保険法改正案を14日、環境労働委の共に民主党議員が共同発議した。これらはこの日、国政監査の開始前に記者会見を行い「政府は産災保険適用の除外申請に対し、全数調査をせよ。」「(適用除外理由を制限した)産災保険法改正案の早急な処理を要求する」と話し、定期国会で改正案を必ず処理するという意志を明らかにした。

宅配連帯労組は15日、ソウル地方雇用労働庁の前で記者会見を行い、8日に死亡したCJ大韓通運のキム・ウォンジョンさんの産災保険適用除外申込書が代筆で作成され、源泉無効処理をしなければならないと主張した。/チョン・ソヒ記者

ただ、国政監査と共に民主党の記者会見では、特殊雇用職の産災保険適用で最大障害物である専属性基準に関する話は出なかった。来年の上半期までに専属性基準の改編案を準備することにした政府の動きを、ひとまず待つことにしたものと見られる。

産災保険問題の他にも、不十分な労災予防対策を指摘する声も高かった。江原道・三陟にあるサムピョセメントでは、今年5月と7月に電源切っていない状態で仕事をして、労働者が亡くなる重大災害が発生した。設備の電源を切った後、再稼働できないようにログアウトと点検の立て札を付ける予防措置をしていなかった点が原因と明らかになった。

国民の力のキム・ウン議員は「5月の事故の後で電源の遮断が事故の原因と明らかになったのに、わずか二ヶ月後に同じ理由で労働者が亡くなる事故が発生した。」「労働部は同じ事故がサムピョセメントで反復発生するのを防げなかった理由と改善策を把握して、報告せよ」と声を高めた。

与野党が政争なく特殊雇用・アルバイト労働者と移住労働者といった社会的弱者の保護対策を注文したのは、この日の環境労働委・国政監査の特徴の一つだ。共に民主党のイ・スジン議員(比例)は、労働部がサムスン電子光州事業場の産災隠蔽問題を調査し、労働者の身辺を保護していないことを指摘した。同党のユン・ミヒャン議員は、密陽のケシッパッで働く移住労働者が、一日10時間を超えて働いた上に、賃金を労働時間当たりで受け取るのでなく、エゴマの葉の収穫量により受け取っている事例を指摘した。他の農場主の畑に行って働くなど、不法派遣の疑惑もあるとして、労働部に対策を注文した。国民の力のイム・イジャ議員はスターバックスコリアのソン・ホソプ代表に、売り場の労働者を保護するための感情労働保護対策を注文した。ソン代表は「スターバックスが韓国のコーヒー文化を色々と変えたように、顧客文化も変えられるように努力する」と答えた。

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=167043

2020年10月16日 毎日労働ニュース チェ・ジョンナム記者