『昼・夜が変わる交代制勤務』過労死の危険はより高く2020年10月8日 韓国の労災・安全衛生

マンション警備員のAさんは昨年10月、団地内の老人ホームのトイレで亡くなっているのが発見された。Aさんは隔日で、24時間ずつの交代勤務をしていた。勤労契約書には昼間8時間、夜間4時間ずつ、合計12時間の休息を取ると記載されていたが、亡くなる前4週間の労働時間は、週平均62時間に達した。

法人タクシー所属のタクシー運転手Bさんは昨年3月の明け方、乗客と料金問題で揉めた。出動してきた警察官に状況を説明していた彼は、突然倒れて亡くなった。Bさんは毎日午後6時から翌日午前6時まで、一晩中タクシーを走らせた。倒れる前12週間の労働時間は毎週平均60時間を超えた。

宅配労働者のCさんは生前に、1個当り平均3㎏の宅配物を一日250個配送した。一日の移動距離は120~140kmに達した。彼は午前8時30分に家を出て、午後10時まで働き、週末も配送をすることが多かった。Cさんは昨年7月、道路でエンジンを掛けたまま頭をハンドルに当て、意識がない状態で発見されたが、その後亡くなった。発病前12週間の労働時間は毎週平均61時間だった。

長時間働いて倒れたこれらを死へと追い遣った共通の原因は、脳心血管系疾患だ。脳心血管系疾患は、過労死を招く代表的な疾患だ。特に、交代勤務など夜間の勤務が、脳心血管系疾患の主原因であることが分かっている。

7日、正義党の議員が勤労福祉公団から受けた資料を分析した結果、2018年から今年7月までに産業災害を認められた脳心血管系疾患者の内、最も多くの比率を占めた職種は、警備労働者など『建物などの総合管理事業』従事者であった。これらは脳心血管系疾患者(1403人)の10.3%(144人)に達した。『タクシーおよび軽車輌運輸業』(10.0%)、『飲食および宿泊業』がその後に続いた。いずれも交代勤務などで夜間に働くことが多い業種だ。

今年の1~7月に脳心血管系疾患で亡くなった労働者の、業務上疾病判定162件に関する分析でも、同趣旨の結果が出た。脳心血管系疾患の産業災害判定時に考慮される7つの業務負担加重要因の内、『交代制業務』に当たるケースが55人(34.0%)で最も多かった。

脳心血管系疾患は、急激な業務環境の変化や短期・慢性過労の有無などを総合的に考慮して、業務上疾病判定委員会が認定の可否を判断する。

労働した時間が産業災害認定基準に多少不足しても、精神的な緊張が大きい業務、有害な作業環境に曝露する業務、肉体的な強度が高い業務など、業務負担の加重要因があれば、産災と認められる。

大型建設会社のマンション工事現場の責任者として働いていて倒れて亡くなったDさんが、これに該当する事例だ。Dさんは昨年7月、出勤する途中の午前6時に、道路で倒れている状態で発見され、二ヶ月後に亡くなった。Dさんは梅雨を前に、3ヶ月前から工事期間を短縮するための現場会議に参加し、元請けの所長の叱責に苦しめられた。工事の遅延で会社の代表の呼び出しを受けることもあった。

姜恩美議員は「脳心血管系疾患による産災死亡は、交代勤務と精神的ストレスが主な要因になっている。」「職場内でのいじめ、顧客からの暴言など、健康障害要因に対する予防措置を強化し、過労死防止のための法案などで制度を改善すべきだ」と話した。

http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=202010080600035&code=940702

2020年10月8日 京鄕新聞 チョン・テヨン、イ・ヒョサン記者