クパン物流センターのコロナ19集団感染は、抑圧的な統制による人災 2020年9月28日 韓国の労災・安全衛生


『クパン発のコロナ19被害者支援対策委員会』が28日、ユーチューブで『クパン集団感染、富川物流センター労働者人権実態調査報告会』を行っている。/対策委提供

「仕事中に倒れた女性を見たことがある。ところが、その女性が同僚に申し訳ないと言ったほどだ。119に連絡しようとすると、管理者が連絡させないようにした。」

5月、クパンの富川新鮮物流センターでコロナ19の集団感染が発生した。クパンの労働者84人とその家族など、合計152人が感染した。この物流センターは1ヶ月以上閉鎖され、7月初めに再稼働に入った。

この集団感染事件は、クパンの初期の不適切な対応と、不安定で過酷な労働条件が招いた人災だという主張が提起された。労働・人権・法律家などの団体が集まった『クパン発のコロナ19被害者支援対策委員会』は、クパンの労働者24人を深層インタビューして28日に発刊した『クパン富川物流センターの労働者人権実態調査報告書』でこのように明らかにした。

インタビューに参加した労働者は、実績に追われ、防疫規則は遵守できず、改善を要求すれば解雇の脅しに苦しめられた、と証言した。ほとんどが日雇いか契約職である労働者は、リアルタイムで把握される『時間当り生産量』によって、他の労働者との無限競争に苦しめられていた。実績が低ければ管理者に呼ばれて警告された。労働者は羞恥心と侮辱感を感じると話した。

報告書は、クパンが常時、契約解約と再契約によって、低成果者や不満提起者を統制し、排除していると指摘した。日雇い、3ヶ月契約職、9ヶ月契約職、1年契約職、無期契約職、正規職などに労働者を区分し、位階制を強化して、まるで昇進の梯子を上がるように不安定労働を持続させる雇用装置を作ったということだ。

クパンの労働者は、管理者の勧めで、産業災害でなく公傷処理が日常化されていたと明らかにした。また、当日身体の具合が悪くても、休むためには証拠書類を提出しなければ病休処理されず、契約職は具合が悪くても出勤することさえ起こった。

このように、防疫に脆弱な雇用形態と労働条件に加えて、クパンの不適切な初期対応がコロナ19確診者をさらに増やしたというのが報告書の判断だ。 物流センター労働者の場合、本来は特定の作業台で仕事をすることになっているが、実際は色々な作業区域に行かされて働くことが少なくなかったのに、濃厚接触者を分類する時には、このような事情は考慮されなかった。報告書は、「クパンは、最初の感染の事実と作業者の動線を、できるだけ速かに全職員に知らせて、該当作業の動線が重なる作業動線について、現場労働者に自発的な情報提供をさせるべきであった」と指摘した。追加の感染者が出てきた事実を、同僚が集まったカカオトーク団体のチャットに上げると、直ぐに管理者が削除したという証言も出てきた。

報告書は、作業速度を早めるためのクパンの抑圧的な統制のやり方が、労働者に現場の問題を提起できないようにさせ、労働者間、労働者と管理者間の疎通を断絶させたと指摘した。この日、ユーチューブを通じて行われた報告会で、全国不安定労働撤廃連帯のキム・ヘジン常任活動家は、「クパンの集団感染事件は労働条件の問題であり、危険が労働者個人に転嫁される問題であった。」「構造が変わらなければ、感染病の危険は続くだろう」と話した。

http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=202009281605001&code=940702

2020年9月28日  京鄕新聞 チョン・テヨン記者