二大労総が別々に出した重大災害企業処罰法、処罰強化には一声 2020年7月3日

前の国会で、議論もなく任期満了で廃棄された重大災害企業処罰法が、21代国会で成立するか注目される。
民主労総など170の市民・社会団体で構成された『重大災害企業処罰法制定運動本部』と韓国労総が、2日にそれぞれ重大災害企業処罰関連の法律(案)を発表した。

5月27日に発足した運動本部が2日、『重大災害に対する企業および政府責任者の処罰法(案)』の説明会を行った。

運動本部の法律案によれば、事業主と経営責任者などが、安全保健の危険防止義務を果たさず人を死亡に至らしめた場合、3年以上の有期懲役または5億ウォン以下の罰金に処す。
死亡を除く重大災害には、5年以下の有期懲役または1億ウォン以下の罰金に処す。重大災害が発生させた法人には1億ウォン以上、20億ウォン以下の罰金を賦課する。この案は先月30日に運動本部の代表者会議を経て確定した。

重大災害の責任と処罰を強化するために、適用対象を特殊雇用労働者と下請け労働者に拡大し、責任主体も元請けが処罰対象に含まれることを明確にした。監督・許認可の権限に関する注意義務に違反して重大災害を引き起こした公務員も処罰の対象だ。1年以上の懲役または3千万ウォン以上、3億ウォン以下の罰金になる。

刑事処罰だけでは労災の予防は難しいという点を勘案して、懲罰的な損害賠償制度も入れた。事業主と経営責任者などが故意または重大な過失で重大災害を惹き起こした時は、損害額の10倍を越えない範囲で賠償責任を負うようにした。

重大災害の定義規定に、産業災害だけでなく、市民的な災害を包括させているという点も注視に値する。事故性の災害だけでなく、公衆の利用施設や公衆の交通手段を利用中の災害、化学物質による疾病、職場のいじめによる死亡なども、重大災害に含ませた。

同じ事業場で同一類型の産業災害事故が繰り返されるという問題を解決するために、『因果関係推定』の条項も明示した。法案の7条は、当該の事故以前の5年間で、法違反の事実が3回以上確認された場合は、危険防止義務に違反して重大災害が発生したと推定する。ソン・イクチャン弁護士(法律事務所・仕事と人)は、「繰り返される重大災害は、企業の安全保健体系が崩れている時に発生するケースが多いということを根拠に作った条項」と説明した。

運動本部は重大災害企業処罰法の成立を、大衆運動によって引っ張っていくという意志を明らかにした。チェ・ミョンソン運動本部状況室長は、「法案が国会で発議されても、一度も審議されなかった」とし、「大衆的な要求で発議すれば、審議を強制することもできる」と話した。

この日の説明会には、2017年にサムソン重工業の現場でクレーン事故に遭った労働者パク・チョルヒさんなど、産業災害事故で同僚と家族を失った人たちとステラデイジ号と世越号惨事の遺族などが参加して、重大災害企業処罰法の制定が必要だという声を挙げた。

韓国労総もこの日、『重大産業災害予防のための企業および代表者の処罰などに関する法律(案)』を発表した。韓国労総は専門家と利害関係者が参加するフォーラムを二回行って、質問項目の一つ一つを調整する過程を経てきた。

この法案によれば、重大産業災害が発生した企業は、10億ウォン以上の罰金刑に処し、企業の代表者が教唆・ほう助・黙認したり、過失によってこれを放置して重大産業災害を起こした場合、1年以上の懲役または1億ウォン以上の罰金刑を受けるとした。

重大産業災害を起こした企業と企業主を厳罰にして、労災予防の実質的な効果を高めることに焦点を合わせた。そのため、法案の適用範囲と処罰対象において、重大災害企業処罰法制定運動本部の法案とでは違いがある。

先ず、韓国労総の法案は適用範囲を産業災害に限定した。『重大産業災害』の定義を新しく作った理由だ。重大産業災害は2人以上の死亡、3人以上の死傷、または3年連続して死亡者が発生したり、社会的な物議を醸した企業の災害をいう。

処罰対象企業から個人の事業場は除外した。株式会社のように、商法で規定する会社や公共機関・公企業に処罰対象を限定した。韓国労総は、「個人事業主が運営する事業場では、2人以上の労働者が亡くなるような災害はほとんど発生しなかったという点と、これら零細事業所にまで法を適用すれば、予防効果よりも個人破産の心配の方が大きいという点を考慮した」と説明した。代わりに、法の保護を受ける対象は『労務を提供する者』と包括的に規定して、一人自営業者まで含ませた。

企業の犯罪能力を認める条項を新設したことも目を引く。現行法では法人の犯罪能力を認める規定がないだけでなく、法人が犯罪の主体になれるかという論議によって、この間、労働者が大量に産業災害によって死亡する事故にあっても、企業は軽い処罰に終わった。これを防止するために、韓国労総は「この法の適用において、企業は犯罪能力がある」という条項を設けた。

韓国労総は、近く市民・社会団体との討論会を開いて、法案に関する意見を集約する。それ以降に、共に民主党の労働尊重実践議員団を通して、議員立法を進める方針だ。

2020年7月3日 毎日労働ニュース  オ・コウン記者