現場監督の脳出血、労災認定。コンビニ店舗の内装工事で長時間労働/東京

発症前1ヶ月残業122時間

Tさん(59歳)は、K工務店に勤務し、コンビニの店舗の内装工事の現場監督として働いていた。
昨年3月、現場から帰って事務所で書類作りをしていて、自販機で飲み物を買うために外に出たところで倒れてしまった。救急車で近くの病院に搬送され、脳出血と診断された。幸いいのちに別状はなく、リハビリも順調に進んでいた。脳出血を発症して倒れる2か月前は、一日も休みが取れないほど忙しかったそうである。病院の医療相談員に相談してみたところ、東京労働安全衛生センターを紹介された。

昨年6月、病院でTさんご夫妻と面接し事情を伺った。Tさんの仕事は、コンビニ店舗の内装工事の現場監督だった。施工管理、工程管理、予算管理、安全管理などの仕事一切を任されていた。現場の説明会の立会いや見積書、工程表の作成、提出、受注後の下請業者の手配、材料の発注、工事の段取り、現場での仕上げの手直しなどの現場仕事のほかに、事務所で予算、工程、出来高支払い等の事務仕事も担当していた。

昨年1月から、新装開店や改装工事が複数重なり、何箇所もの現場を掛け持ちして回らなけ
ればならなかった。会社は7名いた社員のうち3名が退職、1名が入院中だった。工事担当者はTさんほか2名となり、忙しいからといって他のひとに任せることはできなかった。発症前55日間は、無休で勤務していた。

自身の作業日報などが役立った

Tさんは、作業日報用のノートを作っていた。それを見れば当時の多忙な業務内容や、残業、休日出勤等の記録がわかった。ノートの記録をもとに、Tさんの発症前の実労働時間を集計すると、発症前1か月間の時間外労働時間は133時間、発症前2か月間の平均でも100時間を超えていた。Tさんは、工事の工程記録と勤務時間を一覧表にまとめ労働基準監督署に提出した。

会社はTさんの労災申請に協力せず、請求書への事業主証明を拒否したため、昨年8月、大田労基署に休業補償給付請求の手続をとった。その後3回にわたり担当者による事情聴取が行われ、今年3月末に支給決定の通知を受け取ることができた。
Tさんがノートにつけていた作業日報や勤務の記録が認定に大いに役立ったと思う。

記事/問合せ 東京労働安全衛生センター

安全センター情報2007年6月号