労災認定ようやく2件:積極申請、迅速認定を/厚生労働省は、「会社証明なしでも申請受理すること」もっとアピールを。

厚生労働省が、新型コロナウィルス感染症について2件を労災に認定したと公表し、報道によれば加藤厚生労働大臣が記者会見でつぎのように述べたということだ。

・・・各医療機関において、感染予防対策を講じていただきながら、日々懸命に、患者さんへの治療・看護などの業務に当たっていただいておりますけれども、こうした皆さんが何かあったときに対応できる、そういった安心感を持っていただくという意味においても、労災保険がセーフティネットの役割をしっかり果たすことが重要だと考えております。
このため、医療従事者については、業務外での感染が明らかなもの以外は、原則として労災補償の対象になる
というこの取扱いを、先月28日に全国の労働局に通知し、労働局における適切な対応の徹底を指示いたしました。・・・

2020年5月15日加藤勝信厚生労働大臣記者会見概要

厚生労働省のコロナ労災の請求・認定件数は5/14現在更新され次のようになった。

20200514korona_rosai_seikyukensu

請求件数は39件に伸びたが、仕事や通勤で感染発症したと思ったら、まず積極的に申請をして、それに対して厚労省は迅速認定で臨んでもらいたい。認定は「わずか」に2件だ。

なお、労災認定された2件は、医療従事者が1件、 理容室や美容室、旅行業などの生活関連サービス業従事者が1件ということだ。厚生労働省は、たとえば、さらに具体的な職種情報を開示するなどして、労災申請の喚起に努力する必要がある。

またここにきて、東京都内の看護師が労災申請した件で、記者会見が行われるに至った。労働現場、なかんずく感染被災者はそれだけ深刻だということだ。

・・・新型コロナの感染拡大に伴い、医療従事者らからは速やかな労災認定を求める声が上がっている。15日には、90人を超す職員や患者が感染した中野江古田病院(東京都中野区)の女性看護師が新宿労働基準監督署に労災申請した。女性は4月29日に陽性が判明し、現在は入院中だという。
代理人の川人博弁護士によると、女性は夜勤専従だったが、院内で多数の職員が感染したため、早出や残業をしながら感染者を看護していた。医療用のフェイスシールドやマスクは使い回すよう指示されていたという。
女性は弁護士を通じ「労災補償されるか、されないかで、天と地の差がある。同じ状況にある人が一人でも多く労災で救われてほしい」とコメントした。【矢澤秀範】

毎日新聞2020年5月15日 19時06分

・・・「職場の雰囲気、相談できない」
政府が労災申請を呼びかける一方、現場の医療従事者にとって、労災申請のハードルが低くない実態も浮かび上がっている。15日は新型コロナの集団感染が起きた病院で働く看護師の女性が、職場で感染したとして労災申請。「職場は『騒ぐな』という雰囲気で、相談できなかった」などと苦悩するコメントを寄せた。
代理人の川人博弁護士らによると、女性が勤める東京都内の病院では職員や患者が計約100人感染し、患者10人以上が死亡した。女性の部署では、看護師1人あたり16人の感染患者を担当。病院からはフェースシールドや専用のマスクが配布されたが、使い回すよう指示されていたという。
女性は4月中旬、発熱や下痢などの症状が表れて自宅待機となり、下旬にPCR検査で陽性と判定された。重い症状になったため5月上旬から入院している。しかし、勤め先からは労災申請の説明がなかったという。(滝沢卓、岡林佐和)

朝日新聞2020年5月16日 5時00分

こうした声に応えて「(コロナ)労災隠しをしない、させない」ことが事業者と厚生労働省に強く求められている。

厚生労働省には、コロナ感染者を出している事業場への労働基準監督を強化し、同時に、「会社証明がなくても労災申請は受理する」と声を大にして社会にアピールしてもらいたい。