経済界がまた「労働者も労災責任を負うべきだ」/韓国の労災・安全衛生2026年06月24日

経済界は産業災害を減らすために、労働者の安全規則遵守義務を産業安全衛生法に明記するよう求めた。労働者が安全規則を守らずに労災が発生した場合、労働者も処罰されるべきだという主張である。労働界は、事業主の安全衛生措置の責任を労働者に転嫁しようとする意図だとして反発している。経済界が法改正の理由として挙げた根拠も不十分だという指摘もある。
労働者の安全規則遵守違反が労災の原因
経総は23日、『重大災害予防のための勤労者の役割強化方案』報告書を発表した。経総は「多くの企業が労働災害予防の責任を果たすために莫大な資源を投資しているが、実際には重大災害の削減傾向は停滞している。」「産業安全衛生政策上、労災防止の重要な主体である勤労者の義務と責任の向上の努力が足りない状態で、事業主の処罰と責任の強化だけに集中するだけでは、労災予防の効果に限界があり、法制度の改正が急務である」と強調した。
経総は具体的な制度改善策として、産業安全衛生法に、△保護具の着用、△危険区域への立ち入り禁止、△防護装置の任意解除・破損の禁止、△安全作業手順の遵守、といった勤労者の安全規則遵守義務を明示する方案を提示した。
経総が製造・建設業を含む117社を対象に実態調査を行った結果、最近の3年間に発生した労働災害の原因として『勤労者の安全準則の不遵守』を指摘した割合が58.5%であることを根拠として提示した。
経済界は、労働者に安全準則遵守の法的義務を課すだけに止まらず、使用者の懲戒権の強化も主張した。安全活動の優秀者を表彰し、安全準則の違反者を処分できる基準と手続きを整備すべきだということだ。経総の調査の結果、安全準則違反者に対する懲戒制度を設けている企業は41.9%である。経総は「個別企業が労働組合と争って、安全規則違反者に対する懲戒基準を整備することは現実的に不可能であるため、労使の意見を収集して、政府が客観的で明確な懲戒基準と手続きに関するガイドを示す必要がある」と強調した。
経総は、事故死亡の高危険要因(SIF)の発掘と改善提案、ヒヤリ事故の報告と改善提案など、労働者が直接参加する事業所の安全活動を安全衛生教育として認める方策も提案した。
経総自身も「小規模事業所の安全人員・システムが不足」
労働界は経総の報告書に一つひとつ反論した。先ず、経総の分析と主張は、大企業に限定されているという主張だ。
韓国労総のチェ・ジョンファン報道官は、「50人未満の事業所を含む中小零細事業所の場合、依然として生産中心の経営環境の中で、安全衛生管理が後回しにされることが多い。」「重大災害予防のための実質的な投資と体系的な管理が十分に行われていない状況で、中小零細事業所の実情を正しく反映しないままに、責任強化と制度改編だけを強調するのは妥当ではない」と指摘した。
実際、経総も報告書で「300人未満の事業所の勤労者の安全準則の不遵守率が平均を上回っている。」「中小規模の事業所の場合、専任者の不足によって、管理者の現場監督の限界や安全衛生システムの欠如が原因であると判断される」と明らかにしている。
チェ・ジョンファン報道官は「作業手順の不遵守や保護具の不着用など、基本的な安全準則違反の問題も、労働者個人の責任だけと捉えてはならない。」「事業主が安全な作業環境の造成、十分な教育・管理・監督など、責任ある労災予防活動を忠実に実施することが前提である」と強調した。
経総の主張とは異なり、実際の現場では既に、労働現場で労働者が労災の責任を負い、処罰されたり懲戒されたりすることが多いというのが、労働界の分析だ。民主労総のチェ・ミョンソン労働安全衛生室長は「既に現場では、労働者が業務上過失致死の疑いで処罰されるケースは一度や二度ではなく、重大災害処罰法施行後には管理監督者を選任して、全ての責任を負わせている」とし、「労働災害の責任を労働者に転嫁するために、尹錫悦政権の時に推進されていたが中断された、産業安全衛生法の改正を再び持ち出した」と批判した。
経総の調査の結果、企業の58.5%が最近3年間に発生した労災の原因として『勤労者の安全規則の不遵守』を挙げたことも、信憑性が低いとの指摘だ。経総自身も報告書で「回答内容に関する証拠書類は求めておらず、回答企業の中には労災原因を統計的に分析・管理している企業とそうでない企業が混在している」と説明した。
チェ・ミョンソン室長は「経総は、労働者が最も頻繁に違反する安全規則の一つとして『二人一組作業の単独実施』を主張しているが、果たして労働者が解って二人一組作業に違反しているのか、それとも使用者が人員を準備しなかったためなのか、問わざるを得ない」と指摘した。
2026年6月24日 毎日労働ニュース キム・ハクテ記者
https://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=235280


