被災遺族がなぜ家族の死を直接暴く必要があるのか・・・「遺族支援制度の改善が必要」/韓国の労災・安全衛生2026年06月23日

産業災害で家族を失った遺族たちが、事故原因の究明のために自ら行動しなければならない現実が繰り返されている。労働・捜査当局の調査が、非公開で期限なく行われるため、遺族の情報へのアクセスが低下することなどが原因として指摘されている。遺族に調査状況を案内するなど、制度改善が必要だと指摘されている。
京郷新聞の取材を総合すると、先月4月に全南・長城郡の畜産協同組合の牛市場新築工事の現場で、トラック運転手のバン・ジュヒョクさんが作業中に事故で亡くなった直後から、遺族たちは事故の経緯を直接調査している。娘のバン・インギョンさん(34)は、事故当時に現場にいたスタッフを一人ひとり訪ねて資料や証言を確保した。加害者の処罰を求める嘆願書への署名を集め、これをメディアに知らせるためのプレスリリースも作成した。
インギョンさんは「遺族の立場からは、事故がなぜ発生したのかを知る必要があるが、(当局は)関連資料は非公開だという回答を繰り返している。」「元請け業者も、事故発生の経緯や責任の所在について何の説明もない。なんとか確認しようと、あちこちに助けを求めている」と話した。
2025年にエレベーター安全技術研究所の職員が転落して死亡した事故の遺族のキム・ヒョジンさんも、事故の原因を見付けるために奮闘している。キム・ヒョジンさんは故人と一緒に働いていた従業員に聞き込みを行い、事故当時に使用されていたエレベーターの機種と作業環境を調査した。故人の業務記録とメモを調べながら事故原因を追跡し、捜査機関に意見を伝えた。「調査結果を待たなければならないという言葉しか聞けず、無条件で待つしかなかった。」「正当な権利として質問をしても、回答をもらうのが難しい状況で、遺族は弱者になるしかない」と話した。
2024年に慶北の文京市で発生した労災事故で家族を失ったカン・某さん(29)は、労働庁と警察から聞いた断片的な情報を根拠に事故の経緯を再構成し、真相解明に必要な資料を集めた。関連法令や判例を調べ、無関係な複数の労災事件の審理を傍聴することもあった。カン・某さんは「助けてくれる人も、認めてくれる人もいなかった。」「一人で離れ小島になり、広大な海を漂っているような感じだった」と話した。
現行制度では、労働災害が発生した場合、雇用労働部と警察を中心に事実解明の手続きが進められる。労働部と警察が、それぞれ事業所の重大災害処罰法違反の有無と業務上過失致死の有無を捜査する構造だ。捜査の機密を保持するという趣旨だが、捜査経過などに関する情報提供が十分でないため、遺族が自ら動かなければならない状況が繰り返されている。
労務法人チュンムのチョ・ヨンファン代表は「情報公開請求や面談の要請、申立書の提出など、遺族が参加する方法がない訳ではない」としながらも、「調査が進行中の段階で遺族が得られる情報が非常に限られているため、もどかしさを感じることが多い」と話した。高麗大学法学専門大学院のパク・ジスン教授は、「現在は調査の過程での信頼に基づくコミュニケーションが不足しており、遺族の疎外感や不満が増大している側面がある」と話した。
被災者の遺族は「労災発生後、遺族は極めて脆弱な状態にある」として、政府レベルの支援が必要だと声を揃えた。事故処理の手続きや遺族の権利に関する説明、相談窓口の設置、当局の調査進捗の共有などが必要だと主張した。キム・ヒョジンさんは「作業場と遺族が対等な立場に置かれるよう、制度的な支援が切実に必要だ」と語った。
パク・ジスン教授は「遺族に対して事故後のカスタマイズされた進行手続きを正確に説明し、先ずコミュニケーションのガイドラインを整備する必要がある。」「労働委員会の権利救済代理人や国選弁護人制度のように、遺族を代弁して客観的に事態を把握できる代理人制度が必要だ」と話した。
雇用労働部の関係者は「労働災害が発生した場合、労働福祉公団が迅速に対応チームを編成し、補償手続きだけでなく、遺族支援も同時に行う」とし、「死亡事故については、できるだけ不便が生じないように関連手続きを簡素化し、迅速に処理している」と説明した。労働部の別の関係者は「遺族からの問い合わせがあれば、担当の労働部が案内している。」「情報公開請求などの公式な手続きによっても確認できる」と話した。
2026年6月23日 京郷新聞 アン・ヒョビン記者


