腹膜中皮腫患者ニチアス提訴●ご本人は提訴翌月に逝去/岐阜

1971年3月から1976年2月までニチアス羽島工場に勤務し、パッキンや建材の製造に従事したことからアスベストに曝露し、悪性腹膜中皮腫を発症した70代の男性が、病気になった原因はニチアスが安全配慮義務を怠ったことが原因として、同社に対して5452万円の損害賠償を求める訴訟を、2025年10月14日に岐阜地方裁判所に提起した。
男性は当センターの会員さんだったが、提訴後の11月にお亡くなりになった。発症直後は、腹水が貯留し嘔吐を繰り返し、食事が取れない状況が続いていたが、治療の効果があり、2年弱ほどは症状が落ち着いた状態で過ごされていたのでとても残念だった。
この提訴についての記者会見は行っていなかったが、提訴を岐阜地裁で調べ物をしていた中日新聞社の記者に発見されたことから弁護団に連絡が入り報道された。本訴訟は、アスベスト訴訟関西弁護団の平方かおる、位田浩、今山武弁護士らが担当している。
中日新聞の取材に対し、お亡くなりになった男性の奥様は、「主人はアスベストのせいで重い病気に罹ってとても苦しみました。その苦しみは見ているだけでも耐えられないほどでした。主人の他にもアスベストのせいで苦しんでいる方は大勢おられると思います。ニチアスは非を認めてせめて被害者の救済に取り組んで欲しいと思います」というコメントを発表した。
提訴の前に証拠保全期日があり、岐阜地裁で男性に対する尋問が行われた。筆者も傍聴し、男性のニチアスでの作業状況についての話を聞いたが、建材の原料になるアスベストの袋を鎌で切ってスクリューコンベアに投入していた話が印象に残った。
文・問合せ:(一社)名古屋労災職業病センター

安全センター情報2026年4月号