「アスベストを再び偉大に?」ロシア関連の発がん物質の禁止解除の動きでトランプは批判を浴びる/MSN News, 2025.6.20
中皮腫をはじめとするアスベスト関連疾患により、毎年何千人ものアメリカ人が命を落としており-この死者の多さから、バイデン政権は、屋根材や自動車部品に長く使用されてきた発がん性物質であるアスベストを禁止する措置を講じた。しかし、こうした死を防ぐための長年の取り組みにもかかわらず、ドナルド・トランプ大統領の環境保護庁は、この禁止措置の見直しに動きつつある。
トランプが執務室に入ってから5か月の間に、「彼の政権下の環境保護庁(EPA)は規制緩和の波に駆り立てられている」と、Fast Companyは報じている。「これまで、同庁の指導者は、『永久化学物質』と呼ばれるPFASに関する規制の緩和、温室効果ガスが公衆の健康に有害であるという重要な判断の撤回、及び石炭灰規制の執行緩和に関心を表明してきた」。
「リー・ゼルディン長官とEPAの最新の動きは、この政権がアメリカに住む人々の健康や福祉を無視して、汚染物質排出者に便宜を図っていることを示す、またも憂慮すべき兆候である」と、非営利団体環境保護ネットワークの事務局長のミシェル・ルースは、AP通信に語っている。
アスベスト禁止措置の審査を30か月延期するというEPAの提案は、「再び命を危険にさらすことで、この国を後退させることになる」と、アスベスト疾患啓発組織の会長兼共同設立者であるリンダ・レインスタインはニューヨーク・タイムズに語った。
アメリカに輸入されるアスベストの大部分はブラジルから輸入されているが、合衆国地質調査所(USGS)によると、約4分の1はロシアから直接輸入されている。ロシアはアスベストの世界最大の生産国である。
ロシア産のアスベストは、他の経由地を通じて間接的にアメリカに輸入されてもいる。
Ars Technicaは、「トランプのアスベスト支持は、アメリカへのアスベストの主要供給国であるロシアで歓迎されている」と付け加える。2018年にロシアのあるアスベスト企業は、トランプの顔と「アメリカ第45代大統領ドナルド・トランプにより承認済み」と書かれたシールを貼ったアスベストの販売を開始した。
2019年にニューヨーク・タイムズは、フェイスブックのページに掲載されたこの写真を指摘した。写真には、トランプ大統領の顔と承認済みとの主張が刻印されたアスベストのパレットが写っており、これは「広報戦略だ」と指摘された。
「不思議なことに」と、Fast Companyも報じた。「トランプ自身は1997年の著書『Art of the Comeback』で、アスベスト禁止措置は『マフィアが主導した陰謀だ』と主張し、『なぜなら、アスベスト除去作業を行うのはしばしばマフィア関連企業だったからだ』と述べていた」。
批判者は、アスベスト禁止措置の見直し決定を激しく非難している。
「トランプ政権はたんに『規制』を標的としているだけでなく、皆さんの健康を標的としている。がんを引き起こすアスベストを復活させることで利益を得る者は誰か?ロシアだ」と、米下院議員テレサ・レガー・フェルナンデス(民主党・ニューメキシコ州)は指摘した。
「これはトランプのもうひとつのプーチン支持政策だ。ロシアはアスベストの主要生産国だ」と、Courier Newsroomの特派記者アラン・パイパーは書いた。
「これは一体何だ?アスベストを再び偉大にするつもりか?」と、元務長官で民主党大統領候補のヒラリー・クリントンは皮肉った。
Atlantic誌のノーマン・オーンスタイン博士は、「死の支持者」と簡潔に書いた。
安全センター情報2025年11月号


