「疫学調査」を待つ間に死亡した労働者、7割が『労災認定』/韓国の労災・安全衛生2025年10月6日

2001年1月から2008年3月まで、サムソンディスプレイ天安事業場で働いた故ヨ・グィソンさん(当時39歳)は、2021年9月19日、秋夕を二日後に控えて乳がんで亡くなった。2017年に乳がんの診断を受けたヨ・グィソンさんは、2019年12月に勤労福祉公団に労災を申請したが、いつ終わるかも判らない疫学調査のせいで、最終結果を知らないまま目を閉じた。結局、ヨ・グィソンさんは死亡した四ヶ月後に労災を承認された。
ヨ・グィソンさんのように、労災を申請した後、疫学調査が行われている途中に亡くなった労働者に労災が認められる比率が、年度別に、少なくとも半分を越えることが判った。この8年間では、10人中7人に近いことが判った。政府が業務上疾病の労災処理期間短縮のために推進している疫学調査の大幅縮小方案を早く実施すべきだと指摘されている。
国会・環境労働委員会のパク・・ヘチョル「共に民主党」議員が、勤労福祉公団から受け取って8日に公開した資料によれば、2018年から今年8月までに141人の労災申請労働者が疫学調査の途中で亡くなり、この内66%が死亡後に労災を認められた。
年度別に見れば2019年の疫学調査期間中に死亡した労働者8人が全員労災を認められた。2020年(82.4%)と2018年(77.8%)、2021年(75%)も労災認定比率が高かった。最も低かった昨年も、52.2%の労働者が疫学調査期間中にに亡くなった後、業務と疾病の相関関係を認められた。
労災認定の可能性が高いのに、疫学調査が長くなり、自身がなぜ病気に罹ったのか、労災に該当するのかを知らないまま、亡くなる労働者が少なくないのだ。ヨ・グィソンさんの夫は、妻が亡くなる一ヶ月前に勤労福祉公団に送った手紙で、「まだ疫学調査が終わっておらず、(労災申請後)一年八ヶ月という時間が流れ、その間に妻の病状は悪化した。」「妻のことを考えて、どうか労災判定を急いで下さることを切実に願います」と訴えた。
疾病に罹った労働者が、労災を申請して認められるためには、医療機関の特別診察、研究機関の疫学調査、業務上疾病判定委員会などの手続きを経なければならない。現在、特別診察をすると166.3日、疫学調査をすると604.4日が追加でかかる。
パク・ヘチョル議員が勤労福祉公団から受け取った資料によると、疫学調査を行う勤労福祉公団の職業環境研究院と安全保健公団の産業安全保健研究院の疫学調査期間は日を追う毎に増えている。
2020年に275.2日だった職業環境研究院の1件当たりの疫学調査期間は、昨年は588.8日にまで延びた。産業安全保健研究院は、同期間441.4日から699.8日まで延びた。
全体の調査件数対比の完了比率は、2020年49.5%、2021年41.9%、2022年38%、2023年54.4%、昨年44.3%と一年だけを除いて50%を下回った。疫学調査の依頼が殺到し、調査期間も長くなり、きちんと消化できていないのだ。
労働部は先月一日に発表した「業務上疾病労災処理期間短縮方案」で、鉱業従事者の原発性肺がん、半導体製造業従事者の白血病など、疾病と有害物質の間の相当因果関係に対する研究・調査が十分に行われ、業務との関連性を確認できる場合、疫学調査を依頼する手続きを経ずに、公団の災害調査を経て、判定委員会で業務関連性を審議される方案を推進することにした。
パク・ヘチョル議員は、「特別診察と疫学調査の大幅縮小といった政府の対策が早く推進されるべき必要性が立証された。」「労働者が、自身がなぜ病気に罹ったのか判らないまま死を迎えることを減らすためにも、遅滞なく対策を施行すべきである」と注文した。
2025年10月6日 毎日労働ニュース カン・ハンニム記者
https://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=230586


