雇用継承を無視する韓国日東オプティカル、白血病労働者にも「無責任」/韓国の労災・安全衛生2025年6月18日

韓国オプティカルハイテクから持っていった製品を生産しながら、労働者の雇用継承要求には一切答えない韓国日東オプティカルで、白血病被害者が三人発生したことが明らかになった。
ホルムアルデヒド・トルエンに多量にばく露と推定
「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)と金属労組によると、2002年から今まで、韓国日東オプティカル平沢工場で働いたAさんが昨年12月30日、慢性骨髄病白血病の診断を受けた。Aさんは2002~2004年にフィルム切断工程、2004~2016年にはフィルムをコーティングして接合する塗工工程、2016~2024年は色々な化学物質を混ぜて製造する溶解工程で働いた。その過程でトルエン、ノマルヘキサン、フェノール、ホルムアルデヒドなど、有害化学物質を扱った。
パノリムは、Aさんがホルムアルデヒド・トルエンに持続的にばく露したと見ている。ホルムアルデヒドは1群発ガン物質だ。トルエンは国際がん研究所(IARC)は発がん物質に分類しないが、他の発がん物質であるベンゼンが不純物として含まれているものと推定される。Aさんは防毒マスクと安全手袋をはめて働いたが、化学物質を完全に遮断するには無理があったと予想した。トルエンは作業者の皮膚にばく露し、この時に皮膚を通じて吸入することが、空気を通じた吸入より更に有害になる。
工程を分析した結果、トルエンには2013~2024年、ホルムアルデヒドには2016~2019年にばく露したと見た。特に、2016年の溶解工程でトルエンに多くばく露したものと推定される。韓国の日東オプティカルは、ホルムアルデヒドとトルエンを多量に扱っている。化学物質総合情報システムによれば、2020年と2022年にはトルエンを少なくとも1トン程度扱ったが、2016年と2018年には1千~1千500トンも扱った。ホルムアルデヒドは2016年に100キログラム未満、2018年には100~500キログラムを扱った。
被災者は夜間・長時間労働にも就いた。22年間、昼間四日、夜間四日の順番を繰り返す三組二交代で働いた。昼間は午前8時から午後7時30分まで働く。夜間組は夕方6時30分から翌日午前8時まで働く。夜間労働は国際労働機構(ILO)と国際がん研究所(IARC)が指定した二級発がん物質だ。
血液がん2人を追加確認「会社・労働部は責任を取らなければ」
Aさんは現在休職状態だ。投薬と通院治療を並行して、自宅で療養している。4月25日、勤労福祉公団平沢支社に労災申請をした。遺伝歴や個人歴がない。会社はAさんに基本給の一部だけを支払った。先月は30万ウォンだけを支給した。8月からは無給休職に切り替える予定だ。
韓国の日東オプティカルには、更に、少なくとも二人の白血病被害者がいることが判った。被災者は会社関係者と面談中に、被災者と同じ工程で仕事をしていた労働者二人が血液癌の診断を受けたという事実を知ることになった。パノリムによると、この二人は労災申請をすることなく部署を移動して働いている。
パノリムと金属労組は同日午前、仁川弥鄒忽区の中部地方雇用労働庁の前で記者会見を行い、韓国日東オプティカルの白血病の被害調査を要求した。
Aさんは、イ・ソンミン公認労務士(パノリム)が代読した発言文で、会社の責任を強調した。Aさんは「顔と頭・体全体に発疹が出て、日常生活が苦しく、直ぐに息が切れて疲れる。」「月給が途切れて生活が崩れた状態に、恐怖が先立つ」と訴えた。続けて「私と同僚の職員が罹った病気は、果たして偶然だろうか?」「会社はこれ以上責任を回避せず、現場労働者のための安全措置を準備せよ」と要求した。
パノリムは労働部に、△被害者の代理人と被害者が推薦する専門家の立ち会いが保障される特別監督と安全保健診断、△前・現職労働者の疾病実態調査と労災状況の調査、△偏光フィルム製造労働者の安全保健実態調査と職業病予防研究、△半導体・ディスプレイ素材産業労働者の健康権対策作りを求めた。
韓国オプティカルハイテクは2023年10月、亀尾工場が火災で全焼すると、同年11月に清算を決めた。韓国日東オプティカルは、韓国オプティカルハイテクのLCD偏光フィルムの製品を持って生産している。韓国オプティカルハイテクから整理解雇された労働者たちが、韓国日東オプティカルへの雇用継承を要求しているが、受け容れられていない。韓国オプティカルハイテク支会のパク・ジョンヘ首席副支会長は雇用継承を要求して、昨年1月8日から亀尾工場の屋上で座り込みをしている。
金属労組韓国オプティカルハイテク支会のイ・ジヨン事務長は「労働者が病気になって解雇され、空の上に上がらなければ耳を傾けないのか」、「韓国日東オプティカルで起きた労災の真実と雇用継承責任回避の問題を最後まで明らかにし、このすべての責任を日東電工に問う」と話した。
2025年6月18日 毎日労働ニュース イム・セウン記者
https://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=228571