同じ職業でも「これ」によって職場内の危険要因が異なる/韓国の労災・安全衛生2025年2月17日
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同じ産業群内で同じ職業に就いていても、男女によってばく露される危険要因が違うという研究結果が出た。事業場内の有害要因を減らす対策を作るに当たって、性別を考慮し、女性の安全保健上の有害・危険要因に正しくアプローチしなければならないということだ。
カナダのケベック大学のカレン・メッシング名誉教授とソウル大学保健大学院のキム・スンソプ教授の研究チームは13日、国際学術誌『仕事、環境と健康、スカンジナビアンジャーナル』に、『同じ職業内の職業的な危険ばく曝に対する性別間の差』という研究論文を掲載した。カレン教授は『見えない苦痛』『歪んだ体』等を書いた女性労働者健康研究の権威者だ。
研究チームは2020年の第六次労働環境調査を分析した資料を土台に、産業群と職業が一致する男女の労働者を連結・比較し、職業的有害・危険要因による有病率を比較した。この時、年齢、教育水準、雇用状態、会社規模なども考慮して、最も似ている二人の男女の労働者を連結した。正規職の賃金労働者と週当り40時間以上働く労働者2万2511人と、そのうち403職種の男女労働者それぞれ3918人(計7836人)を分析対象にした。身体的(振動・騒音など)、化学的(化学製品・物質取り扱いなど)、生物学的(感染性物質ばく露)、筋骨格系的、心理社会的な危険(怒った顧客との対応経験など)の計18種類の職業的な有害・危険要因に関する応答が利用された。
全体標本を分析した結果、男性は身体的・化学的・生物学的な危険に曝される確率が、女性は心理社会的な危険に曝される確率が一層高かった。筋骨格系の危険に関して、男性は重い荷物を持って立っている姿勢に、女性は反復的な手の動きと座っている姿勢に曝される確率が高かった。
産業群と職業が同じ男女の標本を分析した時も、筋骨格系危険要因の中で、立っている姿勢や反復的な手の動きの場合に性別間の格差がより大きくなった。
研究チームは、同じ職業であっても、割り当てられた業務が性別間で異なる可能性があるため、このような結果が導き出されたと分析した。一例として、工場で女性製造業の労働者が製品包装のような低強度・高反復作業に投入されれば、男性は箱の積載のような高強度・低反復作業に参加する可能性が大きいということだ。
また、同じ業務をしても、男性と女性の労働者は、身体的・生理的な差異によって作業環境に対する職業的な危険に曝らされるレベルが異なって経験すると見た。研究チームは同じ食堂の接客の職員であっても、女性労働者の速度は男性より83%速く、女性労働者が一日三倍多く歩いたという今までの研究を例に挙げ、手足の長さという身体的な差が、性別間のばく曝レベルを変えることもあると話した。
キム・スンソプ教授はこの研究に関して自身のSNSに「障害者、移住民、性少数者、女性労働者など、脆弱階層の労働者を研究してみれば、『彼らも主流の労働者と同等に仕事ができる』という主張だけでは、彼らの安全と健康を効果的に増進することは難しいと考える」とし、「身体的、文化的差異を明確にしながらも、差異が差別に繋がらないようにする必要がある」と話した。
2025年2月17日 京郷新聞 パク・チェヨン記者