教員の精神疾患休職者数最多/文部科学省●20代で休職者が増加
昨年12月22日、文部科学省は「2022年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」公表した。公立学校の教職員数は総計918,987人(22年5月1日現在)。その中の精神疾患による病気休職者等数についてである。
精神疾患による病気休職者等数は6,539人(全教育職員数の0.71%)で、2021年度の5,897人から642人増加し、初の6,000人台に乗り過去最多だった。
学校種別では、小学校が3,202人(0.77%)、中学校が1,576人(0.68%)、高等学校が819人(0.49%)。2020年のコロナ禍の時には減少したがその後また増え続けている。
6.539人について、精神疾患による休職発令時点での所属校における勤務年数をみると、おおよそ15%が1年以内に一度休職し、さらに休職に至っている。お互いに多忙のなかで相談相手が探せない状況がある。また、勤務年数が上がると任務・負担が増えていきストレスが増していく。
年代別では、20代が0.84%(1,288人)、30代が0.84%(1,867人)、40代が0.85%(1,598人)、50代以上が0.60%(1,786人)。20代の休職者が増え続けている。
精神疾患による休職者の休職発令後の状況について。2022年度中新規に休職発令した者のうち、2023年4月1日現在で復職した者は1,520人、引き続き休職1,905人、退職767人で、合計4.192人。
2021年度中またはそれ以前に休職発令され2022年度も引き続き休職となっている者で、2023年4月1日で復職した者は1,086人、引き続き休職758人、退職503人で、合計2,347人。
2つを合わせると、復職した者2,606人、引き続き休職2,663人、退職1,270入である。一旦休職すると期間は長期化する傾向にある。
この間、新規に休職発令された者の推移は、2020年度は3,037人、2021年度は3,807入、2022年度は4,192年と急激に増えている。休職者の2023年4月1日現在における病気休職期間は、3年が2人、2年以上3年未満が568人、1年以上2年未満が1,447入、6月以上1年未満が1,973人、6月未満が2,489人と1年未満が70%近くを占める。短期間の段階で無理して復職しているように見受けられる。それとて長期化させない対策が必要である。
休職は原則90日を超えた者を指すが、休職に至る前に精神疾患が理由で「1か月以上の病気休暇取得者」(休職を含む)は、前年度比11.4%増の計1万2,192人だった。年代別でみると、20代の2.02%(3,096人)がもっとも多く、20代教員の50人に1人が1カ月以上休んだことになる。
文科省は、「教員不足により、いわゆる『できる教員』に仕事が集中する一方で、相談相手の中堅教員が不足しているなど複合的な要因がある」と分析している。2023年度に一部自治体で復職支援の効果を検託する調査を始めているが、「まだ対策を探っている段階」という。
学校現場では、育休や産休で年度途中に休む教員の代わりとなる臨時教員が見つからない「教員不足」も問題化している。教員採用を希望する者が減っている、現場では人手不足が深刻、病気や定年で退職した後臨時教員でも現場に戻るきにならないという状況になっている。
安全センター情報2024年6月号