シドニー・アスベスト危機, The Sunday Morning Herald, Australia

豪サンデー・モーニング・ヘラルド紙は、「シドニー・アスベスト危機」という特設サイトを設けて、今年になってからの関連記事を紹介している。以下に3月17日付け「州立学校の4校に1校が埋もれたアスベストの毎月の検査が必要」を紹介する。

https://www.smh.com.au/topic/Sydney-asbestos-crisis-6gj9

ニューサウスウェールズ州の州立学校の4校に1校近くが専門家による毎月の検査が必要とされる、独自のアスベスト管理計画のもとに置かれる。敷地内にアスベストが埋まっているのが発見された公立学校は、現在州内に569校ある。9年前は341校だった。教育省の広報担当者によると、アスベスト管理計画がある学校の増加は、地中のアスベストを特定し管理するための積極的な検査の結果だという。「教育省は、独立した産業衛生専門家の指導のもと、労働、安全衛生法、(教育省の)アスベスト管理計画に従って、確実にその場所を修復している」と広報担当者は述べた。

リバプール・ウェスト・パブリック・スクールは、アスベストに汚染されたマルチ(土壌被覆材)が現場で検出されたため、2月に閉鎖を余儀なくされた。KATE GERAGHTY

今年、地中のアスベストの再検査件数が昨年の倍となる見込みである。建物内にアスベストが確認された学校については、別の登録がある。シドニーの汚染危機では、7つの学校を含む75か所でアスベストを含有する土壌被覆材[mulch]が見つかっている。

アスベスト安全根絶庁のジュリア・コリンズ氏によると、国内には640万トンのアスベスト含有物があるという。「建物や家屋には膨大な量がある…だから、重大な問題であり、私たちの建築環境からアスベストを完全に除去するまで継続する問題だと思う」と、同庁の啓発・国際部長であるコリンズ氏は語った。劣化が進むにつれてアスベストはより危険性を増す、固着されたアスベストは触れられなければ「比較的安全」とコリンズ氏は言う。

建設会社やDIYリフォーム業者にアスベスト管理について助言しているEDP Consultantsのジョン・バティ代表取締役は、オーストラリアは以前、アスベスト管理と汚染に対するアプローチが甘かったと述べた。バティ氏は、アスベスト教育委員会と全国アスベスト啓発キャンペーンのメンバーであり、アスベスト・有害物質コンサルタント協会の創設メンバーの一人でもある。「過去に起こったことは、[学校が]近隣の汚染された土地を買収したか、または、学校が[アスベストを含有する家屋が]取り壊された場所に建てられたのかもしれない」と、彼は言う。「一般的には、大きなアスベストの断片は取り除かれるが、小さなアスベストの破片が残り、それが庭の花壇になったりする」。

2003年にオーストラリアは、アスベストの製造、使用、再利用を禁止した。禁止にもかかわらず、ニューサウスウェールズ州環境保護局は、土壌添加剤に含まれる広範なアスベスト汚染といまなお闘っている。サン-ヘラルド紙が閲覧した内部説明文書によると、ニューサウスウェールズ州の廃棄物処理施設を監査した結果、「回収微粉末」-建設廃棄物から作られ、造園に使用できる土壌添加剤-を生産している施設から、驚くべきレベルのアスベストが検出された。

バティ氏によると、認可を受けたアスベスト除去業者を現場に入れるには、2000ドルから1万ドルの費用がかかり、さらに認可を受けた廃棄物処理場にアスベストを持ち込むには、1トンあたり250ドルから350ドルの費用がかかるという。バティ氏は、個人と環境の健康を守り、費用を管理するために、改築や解体の早い段階でアスベストを特定することの重要性を強調した。「不適切な解体慣行によって、あなた自身やあなたの大切な人がアスベストに曝露するリスクがあるだけでなく、廃棄物が…土壌被覆材や破砕骨材などのサプライチェーンに戻されたり、適切に管理されなかったためにリスクがより高い地域社会に戻されたりするという問題もある」と彼は言った。

https://www.smh.com.au/national/nsw/one-in-four-state-schools-requires-monthly-checks-for-buried-asbestos-20240307-p5famn.html

安全センター情報2024年5月号