今年の労災認定第一位は『配達の民族』・・・変わる労災地図 2023年10月03日 韓国の労災・安全衛生

今年1~8月の労働災害認定件数が最も多い事業場は、『配達の民族』の物流サービスを専門に担当する『優雅な青年たち』であることが判った。伝統的に労災が多い業種は建設・製造業だったが、産業構造の変化によって、韓国社会の『労災地図』が新しく描かれている。

共に民主党のユン・ゴンヨン議員に勤労福祉公団から提出された資料で、今年1~8月の『優雅な青年たち』の労災(事故・疾病)申請件数は1312件、承認件数は1273件だった。ライダーの死亡事故で遺族が労災を申請して承認されたのは5件だった。HD現代重工業と大宇建設が521件と467件を記録して、2位と3位に名前を挙げた。

『優雅な青年たち』は昨年も労災承認が1837件で1位を記録した。『優雅な青年たち』の労災承認件数は、2018年に31件、2019年は163件、2020年は376件、2021年は941件、昨年は1837件で、毎年増加傾向にある。また、別の食べ物配達アプリケーションのクパンイーツの労災承認件数は、昨年は410件(12位)、今年の1~8月には181件(19位)だった。

配達ライダーの労災急増の理由は、昨年オンライン飲食サービスの取引額が26兆ウォンを上回るなど配達市場が成長し、従業員の規模も大きくなったためだ。配達ライダーの労災保険適用拡大の制度変化も影響を与えた。配達ライダーの労災保険適用は、2012年5月から始まった。適用除外申請制度のせいで死角地帯にいるライダー多かったが、2021年7月から適用除外理由を疾病・育児休職などに厳格に制限し、労災保険の枠の中に入ってきた配達ライダーが増えた。

7月から、「主に一つの事業に労務を常時提供し、報酬を受けて生活する」という専属性の基準も廃止され、死角地帯はさらに減った。これまで色々なプラットフォーム業者から仕事を受けて仕事をする配達ライダー、代行運転手などは、専属性要件を充足できず、労災保険の適用を受けられない事例が少なくなかった。専属性基準の廃止で、アプリで代行運転手に仕事を与えるカカオモビリティの労災承認は37件に達し、運輸・倉庫および通信業分野で承認件数基準16位に跳ね上がった。

労働界は、低賃金、プラットフォーム業者のアルゴリズムも労災発生の要因と見ている。配達ライダーは勤労基準法上の労働者ではないという理由で最低賃金を受け取れず、勤労監督からも排除されている。これは長時間労働と配達件数を増やすための速度競争に繋がっている。最近、『配達の民族』、『ヨギヨ』などは、配達ライダーの統制を強化するために新しいアルゴリズムを導入した。全国代行運転労組、ライダーユニオンなどが参加している『プラットフォーム労働の希望探し』は、「配達が予想より長くかかると判断される場合、アプリで『5分後に配車が満了します。現在、この配達を行っていますか?』というメッセージが送られる。」「ライダーは運転中にスマートフォンを操作して応答せざるを得ずに危険だ」と話した。

クパンと物流子会社の労災承認件数も高い順位を記録した。クパン㈱は、今年1~8月に332件(共同7位)、2022年に1464件(2位)、2021年に1957件(1位)、2020年に758件(1位)、2019年に334件(5位)、2018年に178件(10位)だった。今年1~8月にクパン・フルフィルメントサービス大邱センターは322件、クパン・ロジスティクスサービス有限会社は262件で、運輸・倉庫と通信業の分野で『優雅な青年たち』に続いて2、3位を記録した。クパンの物流インフラが大きくなり、従業員数が増えたことが影響を及ぼしたと見られる。労働界はクパンの「物流革新」は、労働者の安全・保健を犠牲にさせた代価だと主張する。

ユン・ゴンヨン議員は、「オーストラリア政府は最近、配達ライダーの重大災害予防のために、プラットフォーム従事者に最低賃金を保障する方案を推進している。」「雇用労働部も変化する労災の地形に対応するための前向きな方案を用意するべきだ」と話した。

2023年10月3日 京郷新聞 キム・ジファン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202310031216001