「加害者になりたくないから、いっそ辞める」保健医療労働者の人手不足を訴える 2023年07月04日 韓国の労災・安全衛生

保健医療労組

「私は適切な人材を配置されなかった被害者であると同時に、これによってすべての患者に適切な看護を提供できなかった加害者です。」

地域のある大学病院で20年近く働いたという看護師のAさんは3日、保健医療労組生命ホールで行われた証言大会で、このように話した。Aさんをはじめとする看護師たちは、医療の人材不足で、患者の安全と生命が危険に追い遣られているとして人材補充が急がれると強調した。

Aさんは一人で18人の患者を担当しなければならなかった経験を打ち明けた。ベッドで体を動かすのが難しい患者の場合、看護師が2時間に一回ずつ痰を取らなければならないが、複数の業務が一度に集中すると、優先順位から押し出されることもあるという。3~4時間に一度、痰を取っていた患者が、肺炎で集中治療室に移ることが発生した。Aさんは「幸い、その患者は集中治療室から回復した後に退院したが、私は一人、犯罪者になった気持ちで過ごすしかなかった」と証言した。

適切な看護を提供できなかったという罪悪感に苦しみ、結局、辞職を選ぶ看護師もいた。首都圏の大学病院で7年間働いた後に辞めたという看護師のBさんは「患者の話に耳を傾けることが一番大事だということは解ってはいるが、患者と目もまともに合わせられずに働くのが現実」で、「内科病棟で看護師一人当たり16人の患者を診なければならなかったが、手術、検査、入・退院、救急状況などが同時に行われ、退勤すると足が棒のようになっていた」と証言した。

保健医療労組

看護師の高い離職率は、病院現場の熟練看護師不足の問題にも繋がる。首都圏の公共病院で働く「末っ子」の看護師だと自己紹介したCさんは、「学校を卒業して1~2ヶ月の教育の後、少なくとも8人、多くは13人の患者に責任を負わなければならないのに、教育を受けていなかった状況に直面すると、自分自身が恥ずかしくて、患者さんにも申し訳なくて、何度も泣いた」と話した。「入社したばかりの頃の同期は四人だったが、今は私一人」で、「毎日変わる環境で働く負担感に勝てず、一様に『このままでは私が患者を殺しそうだ』と言って、病院を離れて行った」と証言した。

中央大学校赤十字看護大学のチャン・スクラン学長は、「上級総合病院と総合病院は、看護師一人が平均16.3人の患者の世話をしているが、アメリカ(5.7人)、スウェーデン(5.4人)と比べると重労働」で、「医療法施行規則によれば、看護師一人当たりに患者2.5人の配置をすることになっているが有名無実だ」と指摘した。

労組は医大の定員の大幅拡充と、看護師対患者の比率、1対5の制度化、職種別人材基準作りを要求している。ナ・スンジャ委員長は、「人手不足のために医療現場では大小の安全事故が頻繁に発生している。」「国民の健康と生命をケアする医療人材を、国が養成し、配置し、支援する保健医療人材の国家責任制を、これから本格的に始めなければならない」と付け加えた。

先月27日、支部128ヵ所(事業所147ヵ所)が、同時に争議調停を申請した。人材補充などの問題解決がなければ、13日から無期限全面ストライキに入る。

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2023年7月4日 毎日労働ニュース オ・ゴウン記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=216000