公共分野のパワハラ対策、99%は条例がないか不良債権化 2023年07月02日 韓国の労災・安全衛生

ゲッティ・イメージバンク

市民団体「職場の甲質119」が基礎自治体226ヶ所の「パワハラ」条例を全数調査して公開した結果によれば、政府が公共機関のパワハラ根絶対策を準備してから5年が経っても、政府の対策通りの条例を制定した基礎地方自治体は226ヵ所の内、広州市、新安郡、麗水市の3ヶ所に過ぎないことが分かった。

政府は2018年に公共分野パワハラ根絶総合対策を樹立し、ガイドラインを配布した。政府は地方自治体が措置すべき事項として、△条例・指針の整備、△半期毎に機関段階でのパワハラ実態調査の実施、△パワハラ予防と再発防止教育、△監査・監察部署内にパワハラ専門担当職員を指定・運営、などを提示した。政府のこのような措置は勤労基準法の職場内いじめ禁止制度が公務員に適用されないことを反映したものだ。代わりに公務員には国家公務員法・公務員行動綱領・公務員苦情処理規定・公務員懲戒令などが適用されるが、被害者保護・予防措置などに関する内容は不備だと指摘されてきた。

パワハラ条例の全数調査の結果、基礎自治体226ヵ所の内、143ヵ所(63.3%)は条例を制定していないことが判った。条例を作っている自治体は83ヵ所だった。条例は作ったが、申告・相談機関に関する条項が不十分だったり、ない基礎自治体は45ヶ所(54.2%)、虚偽申告に対する処罰を明示するなど、いわゆる「毒素条項」を盛り込んだ自治体は、43ヶ所(51.8%)と集計された。

パワハラ条例がある基礎自治体、83ヵ所でも、政府のガイドラインにきちんと従っていない事例が摘発された。条例の適用範囲を見ると、適用範囲が『市、所属機関、投資・出捐・出資機関に勤めるすべての人材』と明示された基礎自治体は、僅か25ヶ所に止まった。『所属公務員だけに適用』する基礎自治体は27ヶ所で、条例適用範囲が明示されていないところが2ヶ所あった。この他にも『予防および根絶計画』条項と『パワハラ実態調査』条項がないか、不十分な基礎自治体はそれぞれ12ヶ所、67ヶ所だった。『申告または相談機関』に関する条項がなかったり、不十分なところも45ヶ所だと明らかになった。

職場の甲質119のイム・ヘイン労務士は「総合対策が施行されてから既に5年だが、未だに公共部門のパワハラ予防、対応体系が正しく作動しているとは見難い。」「組織文化に疑問を感じて退職したり、更には自殺する公共部門の労働者が増え続けている。牛を失ってから牛小屋を修理するような後追い行政にならないためには、今すぐ総合対策を遵守しなければならない」と話した。

2023年7月2日 ハンギョレ新聞 キム・ヘジョン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1098338.html