「患者も労働者も差別なく」「非正規職のいない病院」どのように作られたのか 2023年2月2日 韓国の労災・安全衛生

緑色病院の労使双方が先月31日「非正規職ゼロ!」労使共同宣言式に参加し、集合写真を撮影している。/保健医療労組提供

病院に入った時から出てくる瞬間まで、私たちは数多くの『労働者』たちと会う。患者の食べる物を作り、患者が通る病室と廊下を掃除し、保護者の代わりに患者の看病をする労働者は、大部分が非正規職だ。病院の食べて寝て洗う日常は『非正規労働』によって廻っているわけだ。

「非正規職のいない病院」を初めて実現したところがある。患者を差別しないように病院の労働者も差別してはならない、という信念を込めた。ソウル中浪区にある源進財団付設の緑色病院と全国保健医療産業労組・緑色病院支部は、派遣委託非正規職として働いていた療養保護士、調理師、美化労働者を、全員正規職に転換することに合意したと明らかにした。

緑色病院の労使は、2021年7月に『非正規職をゼロにしていく』という共同宣言を発表した。その後、外部派遣業者所属のリハビリ統合病棟の療養保護士17人を正規職に転換した。2022年1月に調理師25人、先月は美化労働者17人全員を正規職に転換し、『非正規職のいない病院』になった。

非正規職の正規職転換には、通常『費用』の心配が伴う。緑色病院も負担が大きかった。そこで、外部派遣業者との契約が終わる度に、契約期間を延長せずに、委託の職員を直営化する方法で段階的に転換した。委託費として支出していた費用は、新しい賃金体系に含まれた正規職労働者の給与として使った。

他の病院ではできなかった試みが緑色病院では可能だった。会社と労組が共に『労働者を差別してはならない』という病院の目標に共感した。緑色病院は、源進レーヨン労働者の職業病闘争の成果で作られた源進職業病管理財団が2003年に設立した、民間型の公益病院だ。任相赫(イム・サンヒョク)緑病院長は記者との電話インタビューで、「(一部の職員が)非正規職の正規職化に拒否感を持つこともあったが、病院職員が病院の設立趣旨を良く理解し、労働組合も非常にたくさんの協力をしてくれたため、特に難しくはなかった」と話した。

全員が正規職に転換した後、一ヶ月が経った現在、病院には大小の変化が生じた。イム院長は、「正規職になった方たちの話を聞いてみると、病院に対する愛情がとても強く生まれたという。また、食堂におられる方たちと清掃する方たちが正規職になり、ご飯がおいしくなり、病院がきれいになったという評価もされている」と話した。会社と交渉の先頭に立った保健医療労組・緑色病院支部のチョ・ユンチャン支部長は、「時々、通りすがりに(正規職に転換された職員たちが)感謝の言葉を一言ずつ伝えてくれる。私たちは民間の中小病院だから、賃金水準を他の大型病院には合わせられないのに、感謝の言葉を聞く度に、少しやり甲斐を感じる」と話した。

緑色病院の構成員たちは、他にも『非正規職のいない病院』が出てくることを願うと話した。イム院長は「労働者を尊重することは、病院経営の基本だと考える。」「医療法人となっている病院の公益的な機能を強化することが、非常に重要だ」と話した。チョ支部長は「私たちが(非正規職のない)1号事業場なので、責任も大きく、気になる部分も多い。」「(他の病院も)会社と労働組合双方に負担になる試みかもしれないが、それでもその過程で怖がらないで欲しい」と話した。

2023年2月2日 京郷新聞 ミン・ソヨン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202302021601011