労働組合が変えた社内安全文化 2022年11月25日 韓国の労災・安全衛生

ハ・インヘ安全管理労働者

『労働組合』。国語辞典では、労働者が労働条件の改善と経済的および社会的地位の向上を目的に組織する団体であるとしている。それだけ労働組合がある事業場とない事業場の差は大きい。安全管理もやはり、労働組合の有無によって劇的に変わった事例がある。

蔚山の自動車外装部品工場の話だ。該当の事業場は2018年に労働組合ができた。労働組合ができる前、事業場は10時間交代で工場を運営していた。形は10時間で、実際には12時間近く働いていた。このような昼夜交代制では、過労や職業病誘発の危険が大きくならざるを得ない。最近、社会的な争点として浮上したSPCの労働者の労災事故は、全て昼夜交代制が招いた惨事でもある。被災者たちが、普段昼夜12時間交代制による苦痛を訴えていたためだ。一人は交代時間を前に配合器に挟まれて死亡し、もう一人は上下車の作業中に指を切断された。

蔚山の自動車部品メーカーも昼夜交代による交代時間を前に、大小の事故が起きていた。しかし、労働組合ができて連続二交代8.5時間の勤務に変わった。このため、些細な事故が減り始めた。

また、労働組合ができて産業安全保健委員会がきちんと開かれるようになった。産業安全保健委員会は50人以上の事業所で作ることができる。労働者代表と会社側代表各3人以上10人以内の同数で構成された委員会だ。毎年四半期ごとに施行しなければならない。また、産業安全保健委員会の委員長の必要によって、追加で開くこともできる。労働者が会社で働きながら確認した危険要素を整理し、会社側に伝えられるようになった。当然、会社側との協議を通じて、会社内の危険要素を一つずつ処理できるようになった。

化学物を使用する工程では、化学物警告標識が貼られ始めた。適切な安全保護具が支給された。一般の防塵マスクから防毒マスクに変わり、化学物作業用の保安眼鏡も支給され始めた。当然ながら化学物に対する物質安全保健資料(MSDS)教育が施行された。

かつて該当業者ではフォークリフトの衝突事故が発生したことがあった。フォークリフトの作業空間と人の移動空間が区分されていなかったためだった。完成品を移動しようとする労働者と、完成品を最終組立工程に移動するために上下車作業をしていたフォークリフトが衝突して発生した事故だった。しかし、労働組合が結成された後、底面に作業者の移動空間とフォークリフトの作業空間を区分した。また、フォークリフトに方向指示器と後方カメラ、後進警告灯と警報装置が設置された。フォークリフト衝突事故を減らすための措置が施行されたのだ。

安全教育もきちんと実施された。毎月1時間以上ずつ社内安全教育が行われた。化学物の使用と化学物の有害性教育、フォークリフト衝突事故の予防教育、筋骨格系疾患の予防教育を本格的に開始した。かつては作業者たちにサインだけもらって、書類上だけで安全教育をしたと偽装したが、今はそうではなくなったのだ。

同時に労災処理も過去に比べて容易になった。業者に所属する作業者は肩の筋肉や膝を酷使することが多く、筋骨格系疾患で仕事が難しい場合、労災処理して、適切な治療と休息を保障されるように雰囲気が変わったのだ。過去には肩の筋肉を損傷したり、膝の関節疾患を患ったりすると、病院に数日行って、直ぐに現場に投入されることが多かった。

労災申請はもちろん、公傷さえも受けにくかった。当時は病気になったら仕事を辞めるだけだった。労災を申請するには心理的な負担が大きかったためだ。しかし、労働組合ができて、筋骨格系疾患があれば病気休暇申請はもちろん、労災申請をすることがはるかに容易になった。

単に会社だけが変わったのではない。定期的な安全教育を通じて、労働者の安全意識も大きく変わった。安全教育を行う度に、過去には「ただやれば良いと」と認識していたことが「安全手続きを守りながらすべきこと」に変わった。作業の開始前に危険要素はないかを確認して作業を始める雰囲気も形成された。

もちろん、この業者で社内安全文化を確立するためには手入れすることが多い。老朽化した化学物の排気施設も変えなければならない。もちろん老朽化した施設の交替は相当な費用がかかる。中小下請け業者の場合、長い時間が必要である。しかし、労働組合ができて社内の安全文化は劇的に変わった。労働者が産業安全保健委員会を開くようにし、労働組合を通じて危険性の評価を行い、これを産業安全保健委員会を通じて、社内安全文化に変えてきた。

「重大災害処罰等に関する法律」(重大災害処罰法)が施行されている。だが、依然として労災は絶えない。単純に、会社が安全管理者を一人二人を増員するだけでは足りない。社内の安全文化は会社代表と安全管理者だけで作るのではない。現場で有害物質を飲んだり、射出金型機器に指を挟まれたり、フォークリフトとぶつかったり、長時間労働で膝と肩の筋肉を損傷する経験を持っている労働者が、労働組合を通じて会社に自分の話ができてこそ、真の労働安全文化を確立できるのだ。

より多くの事業場で、労働者の災害予防のアイディアが弘まるように、きちんとした労働組合が定着しなければならない。

2022年11月25日 ハ・インヘ安全管理労働者

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