あなたが知っていなければならない職場いじめの全て2019年7月7日

7月16日から職場内いじめ禁止を規定した勤労基準法が施行される。当事者にさえ「曖昧な」事例でも、改正案が施行されれば「いじめ」と判断されて懲戒対象になる。
職場内いじめ禁止は勤労基準法第76条2に包括的に規定されている。「使用者または勤労者は、職場での地位または関係などの優位を利用して、業務上の適正範囲を越えて、他の勤労者に身体的・精神的苦痛を与えたり、勤務環境を悪化させる行為をしてはならない」という条項だ。したがって、ある行動がいじめになるには、これらの条件を充足しなければならない。
最も難しいのは「業務上の適正範囲」だ。2月に雇用労働部が発刊した<職場内いじめ予防対応マニュアル>によれば、適正範囲は業務上の必要性と社会通念によって判断する。すなわち業務上の適正範囲を越えたとされるには、業務の必要性が認められなかったり、業務上の必要性は認められても、その行動が社会通念上問題があるとされなければならない。卑劣な言葉、悪口、いじめなどがこれに該当する。
その他にも行為の内容、程度、持続性などが判断基準になる。労働部のマニュアルによれば、本人の意志を無視して、飲酒、喫煙、会食に参加することを「持続的に」強要する行為もいじめに該当する。会食はこれからは業務の延長戦ではない。
更にマニュアルは、△業務の成果を認めなかったり、嘲弄する。△皆が敬遠する難しい業務を繰り返し与える。△雑用だけさせたり、仕事を与えない。△業務と関連した情報の提供や意思決定の過程から排除する。△個人の事情に対する陰口。△身体的な威嚇や暴力。△人づてやオンライン上で侮辱を与える言動、などもいじめに該当すると指摘している。
では、被害者はどのような救済を受けることができるのか? 職場内でいじめに遭えば、被害者は先ず会社の人事チームや苦情処理委員会などにいじめの事実を申告することができる。申告主体は必ずしも被害者でなくてもかまわない。勤労基準法改正案第76条3によって、いじめが事実と明らかになれば、会社は被害者が要請する勤務地の変更、有給休暇などを提供しなければならない。加害者には懲戒、勤務場所の変更などの措置を執らなければならない。
もし会社が申告者や被害者に不利益を与えるようなことがあれば、勤労基準法第109条によって3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金に処されることになる。また、会社は職場内いじめの予防・対応規定を、就業規則に定めなければならない。10人以上の事業場は、既存の就業規則に△禁止されるいじめ行為、△予防教育、△いじめ発生時の措置、△懲戒条項、△再発防止対策などを追加したり、別に関連の規定を作って労働部長官に申告しなければならない。これを履行しなければ過怠金500万ウォンが賦課される。
取るに足りないことと見なされた陰湿ないじめを「職場内いじめ」と名付けて、法でこれを禁止したことは大きな進展だ。市民団体「職場の甲質119」は「史上初めて職場内いじめの概念を法律に導入し、職場内いじめによる産業災害認定の範囲を拡げて、職場の甲質を減らせる基盤を用意した」と評価した。

2019年7月7日 京郷新聞 イ・ハヌィ記者