雪・雨が降っても高所に登るケーブル・通信労働者 2022年8月26日 韓国の労災・安全衛生

公共運輸労組希望連帯本部と正義党のカン・ウンミ、リュ・ホジョン、ペ・ジンギョ、イ・ウンジュ議員は25日、『ケーブル・通信労働者の産業安全保健実態と制度改善方案作り国会政策討論会』を行った。/チョン・ソヒ記者

ケーブル・通信を設置・修理する労働者の半分は、雨や雪が降っても屋上や塀に登って作業をした経験があることが明らかになった。感電と墜落の危険がある乗柱作業をする時も、二人一組の原則が守られないことがほとんどだったり、高所作業台を使用することも少なかった。元請け大企業が作業の大部分を外注化し、間接雇用の労働者が『危険の外注化』に放置されているという指摘だ。

88.1%が一人で電柱作業

公共運輸労組希望連帯本部は25日、国会議員会館で「ケーブル・通信労働者の産業安全保健の実態と制度改善方案作りの国会政策討論会」を開催した。正義党のカン・ウンミ、リュ・ホジョン、ペ・ジンギョ、イ・ウンジュ議員が共同で主催した。

労働環境研究所『仕事と健康』は、4月6日から5月4日まで、連帯本部に所属する7支部の組合員1037人に安全保健の実態調査を実施した。76.2%は元請け企業から設置・修理業務を請負った下請け業者に所属していた。

労働者たちは労災の危険に露されていた。特に、設置・修理労働者は墜落事故の可能性が高いのに、予防措置は不十分なレベルだった。産業安全保健基準に関する規則(安全保健規則)89条2項によると、現場でクレーンを利用する際、事業主は作業者に合図をする信号手を置かなければならない。186条4項4号では、作業監視者を配置することとしている。しかし、回答者の内、電柱に昇る乗柱作業で二人一組が守られていると答えた労働者は12%に過ぎなかった。信号手や作業監視者なしに一人で仕事をしているということだ。墜落事故を予防するために高所作業台を使っている割合も35%に止まった。

悪天候でも、電柱・屋上・手すり・塀に登って高所作業をする人は半分を越えた。雨が降っても作業を行うと答えた人は49.6%だった。55.2%は雪が降っても作業をしていた。特に、歩くのも難しいほどの風が吹く時に、屋上で作業をすると答えた労働者が50.1%もいた。

SKブロードバンドのホーム顧客センターを運営する協力業者の労働者を対象に、産業安全保健法の違反事例を調査したチェ・ジンス公認労務士は、「SKブロードバンドの間接雇用労働者の実態を調査した結果、産業安全保健法などの施行規則に違反した事例が、17項目も摘発された」と話した。「協力業者のすべてが100人以上の事業場だが、産業安全保健委員会も設置されておらず、労災発生を隠蔽した事例も報告された」とし、「現場の労働者は窒息・墜落・感電・挟まれ・創傷といった事故と、顧客と対面して起きるストレスなど、健康有害要因に常時曝されていて、厳格な産業安全保健法令の遵守が求められるが、危険が外注化されていて、協力業者の全般に法違反が見付かっている」と付け加えた。

雇用規模さえ把握できない下請け労働者

ケーブル・通信の設置・修理労働者は、雇用の規模さえ調査されたことがない。政府の労災統計では、小規模建設業労働者に分類されるので、正確な被災状況も判らない。希望連帯本部は、この日の討論会に参加した雇用労働部の関係者に、ケーブル・通信業界全般に対する勤労監督と実態調査を要求した。

専門家たちは、根本的に雇用関係を改善することが産業安全問題を改善する方法だと口を揃えた。

『仕事と健康』のハン・インイム事務処長は、「請負業の経営者の無責任と、業務を外注化する時に安全保健規制を守るための費用が考慮されていないために、我が国の下請け・請負労働者の労災発生率が高いと調査されている」とし、「通信を設置・修理する業務は必須である上に、常時・持続的な業務なので、直接雇用することが正しい」と強調した。

チェ・ジンス労務士は「協力企業は、労災自体を災害と認識するよりも、産業安全保健法を災害だと認識する傾向がある」とし、「(そのために)労災も元請けが責任を持つようにすべきだ」と主張した。

キム・ユジョン公認労務士は「多段階下請けの中間搾取がなくなれば、その費用を労働者の保護に使うことができる」、「元請けの直接雇用によって、労働者の健康権を管理する必要がある」と話した。

2022年8月26日 毎日労働ニュース チョン・ソヒ記者

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