「日曜日に有給休暇を使うには証拠書類が必要だった」 2022年8月2日 韓国の労災・安全衛生

プラカードは「流通財閥は利潤より労働者の健康権を」/マート産業労組

浦項でEマートのレジ係として15年間働いたパク・ソンヨンさん(52)は、「10年前までは日曜日の休みは空の星を掴むようだった。当時、婚約者と初めて会うために日曜日に年次休暇を出したパクさんは、管理者から『証拠書類を提出せよ』と言われた」。お客さんが多くて売上が多い週末は、有給休暇を取ることさえ管理者の顔色を伺わなければならず、職員間の競争も激しかった。パクさんは「同僚の同意書を取ってこいと言われたこともある」、「どんな理由が重要で重要でないのか、管理者の判断を受けなければならなかった」と話した。

  『月二回義務休業』が導入されてからは、日曜日の休業が旱天の慈雨のようだったという。月単位のスケジュール勤務をする計算員たちは週に二回休むが、休業日はほとんど平日だ。3年前にパクさんが勤めていた店舗では「金・土」休業ができたが、交代が一人なので「私の番」が来るまでには一年を軽く越える。最近、義務休業の廃止に関連する記事を見ながら、パクさんは恵みの雨のような週末が消えるのではないかと心配だと話した。パクさんは、「入店業者の店主や協力業者・派遣の職員も、週末に休めないのが心配だ」、「月に四回のうちの二回(日曜日)休むことを多くの人が望んでいるのか」と話した。

  『大型マートの義務休業』が10年ぶりに廃止される可能性が予想され、マート労働者のため息が深まっている。大統領室が国民提案10大案件の中の「トップ3」は選定しないという考えを明らかにしたが、尹錫悦政府が規制緩和と市場の自律という政策基調を強調している上に、投票で一位に選ばれたために関連する議論は容易には収まらないだろう。マート労働者は他人が休む時に休めないので、休息権・健康権保障のための最後の砦として義務休業が必要だと声を高めている。

順番に休めば良いんじゃないのって? 「現場を知らない声」

  大統領室が先月31日の午前0時までで行った国民提案オンライン投票の結果、大型マートの義務休業の廃止が57万7415件の「いいね」を集め、10件の案件の中の一位になった。大統領室は1日、当初10日間の投票で上位3案件を決めた後、国政に反映する計画だったが、クリック数操作事態のため、優秀提案3件を選定しないことにしたと明らかにした。

  大型マートの義務休業は、2012年に流通産業発展法の改正で導入された。路地商圏の保護と労働者の健康権のために月1~2回を義務休業とし、0時から午前8時までの営業時間を制限することにした。翌2013年に改正された法律で、義務休業日を「毎月二日」に、営業時間制限を「午前0時から午前10時まで」に拡大した。義務休業と営業時間制限は、2018年に大型マート7社が出した憲法訴訟で合憲と決定された経緯がある。

  国民提案投票で義務休業の廃止議論が急浮上し、規制の実効性を巡って甲論乙駁が続いたが、実際に現場で働く労働者の健康権・休息権についての議論は排除されている。一部では「週52時間制の定着」や「スケジュール勤務」を理由に、10年前とは違って、労働者の休息権は大きくは侵害されないという主張も出ている。しかし「現実を全く知らない話しだ」というのが共通した指摘だ。マート産業労組イーマート支部のキム・ソンギョン事務局長は、「キャッシャーは大部分義務休業日がなければ週末に休むことができない」とし、「土・日が最も忙しいので、週末に有給休暇を使おうとしても、あみだ籤をするなど、社員間の内部の葛藤も激しくなる」と話した。

「自治体条例改正の可能性は排除できない」

  この日、大統領室が国民提案「トップ3」を選定しないという立場を明らかにしたが、簡単に関連議論が収まることはなさそうだ。公正取引委員会は大型マートの営業時間制限や義務休業の範囲から、オンライン配送を除く方案を推進中だ。クパンやマーケットカーリーのようなオンライン流通業者は、営業制限を受けないのがマートに対する優位性だという理由からだ。国民提案投票に義務休業の廃止を含めたこと自体が、尹錫悦政府の政策基調と無関係ではないため、大統領室の立場を政策推進の中止と解釈することは難しいという指摘だ。

  もちろん、義務休業の廃止は流通産業発展法の改正が必要な事案であるため、国会通過までには越えなければならない山が多い。ただ、現行法(流通産業発展法12条の23項)でも「利害当事者と合意」を経て、公休日でない日を義務休業日に指定できる。地方自治体別に違うが、京畿・慶北の一部地域は、第二・四日曜日ではなく、水曜日に休んでいるというのが労組の説明だ。「利害当事者」の範囲をどこまでと見るか、法で明確に規定していないために、労働者の意見が正しく反映されない可能性も排除できない。実際、2020年9月に、麗水市は秋夕を迎えて、義務休業日を第二・四日曜日から、秋夕・第四日曜日に一時的に変更すると告示したが、当時、労働者とは別途の意見収斂手続きを経ておらず、論難になったことがある。

2022年8月2日 毎日労働ニュース オ・コウン記者

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