半導体超強大国のために・・・・労働・安全規制緩和へ 2022年7月21日 韓国の労災・安全衛生

大手企業の税額控除率を高め
団地の容積率を490%に上方修正

政府が『半導体産業超強大国』を作るために労働・安全規制を大挙緩和することにした。半導体業種に対して週64時間までの延長勤労を許容し、化学物質管理法の規制も緩和する。

産業通商資源部のイ・チャンヤン長官は21日、華城市のトンジンセミケムの工場を訪問し、『半導体超大国達成戦略』を発表した。ドンジンセミケムは、日本の輸出規制以降、国内で初めて極紫外線(EUV)露光工程用フォトレジストを開発し、成功的な官民協力のモデルと評価されるメーカーだ。

政府は先ず、半導体など国家戦略技術の設備投資の税額控除を拡大することにした。現行6~10%の大企業の税額控除率を8~12%に、2%引き上げる。中堅企業(最大12%)と中小企業(最大20%)に対する税額控除率は調整せず、大企業だけを高めた。政府は追加の税制優遇の可能性も残している。

9月から延長労働を拡大
装備・化学物質の規制を緩和

労働・安全の規制も大幅に緩和する。現在、日本への輸出規制品目の研究・開発(R&D)にまで拡大許容してきた特別延長勤労制(週52時間→最大64時間)を、9月から全半導体R&Dに拡大することにした。化学物質・安全規制も、設備の交替が頻繁な半導体産業の特殊性を勘案し、国際機関の認証を受けた装備には取り扱い施設基準の適用を免除することにした。また、油漏出の拡散防止装置があれば、緊急遮断設備などの施設基準の適用を免除することにした。

産業通商資源部長官が21日午後、華城市のトンジンセミケムで行われた『半導体産学協力四大インフラ構築協約式』を終えた後、半導体素材の生産施設を見ている。/連合ニュース

今回の対策には、大規模な新・増設が進行中の龍仁・平澤団地を対象とするインフラ支援方案も含まれた。容積率を現行の350%から490%に、最大1.4倍上方修正し、限定された敷地での設備の新・増設を許容する内容だ。これらの産業団地に使われる電力・用水費用に対する国費支援も検討することにした。

政府は今回の対策が9年連続で世界半導体市場シェア2位、メモリー市場シェア1位などの外形的成果にも拘わらず、実際の半導体産業の生態系全般は脆弱になっているという危機感から作られたと説明した。実際、主要国は半導体産業の育成に向けて大規模な支援に乗り出している。アメリカは半導体施設とR&D投資に、5年間で520億ドル(約68兆ウォン)を支援する法案を論議中だ。日本は半導体先端企業を支援するため、今年7740億円(約7兆4000億ウォン)規模の補正予算を緊急編成した。政府は今回の対策を通じて、半導体業界が今後5年間に340兆ウォンの投資計画を円滑に進められるように、インフラ支援だけでなく、規制・許認可の特例を適用する計画だ。

「中小企業の労働時間は増える」
流出事故等の危険を指摘

今回の対策に関して、業界からは中小企業の半導体労働者の勤務時間が増えるという指摘も出ている。特別延長勤労は、災難、災害などの例外的なケースにのみ許容するという趣旨だったが、例外事項と範囲が増え、中小企業の労働者の勤務時間が延長される可能性があるということだ。

労働問題研究所『解放』のオ・ミンギュ研究室長は「政府の特別延長勤労の承認率は最近90%以上に達するほどで、書類をほとんど見ずに通過させるレベルになった」とし、「特別延長勤労のためには個別労働者の同意を得なければならないが、労組がない事業場では会社の要求がそのまま貫徹されるケースが多い」と話した。

オ室長は「特に、中小企業半導体会社はR&D人材と生産人材が重なるケースが相当数」とし、「結局、中小企業の半導体労働者の労働時間が延長されると予想する」と話した。

国際機関の認証を受けた装備には、取り扱い施設基準の適用を免除することにしたことに対しても憂慮の声が聞こえる。半導体の製造に使われる化学物質は、一度の流出事故だけでも致命的な危険を招きかねないだけに、性急な基準免除などは再考されるべきだということだ。

2022年7月21日 京郷新聞 パク・サンヨン、イ・ジェドク記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202207212127005