有機化合物の急性中毒、昨年の死亡者が44.4%増加 2022年3月21日 韓国の労災・安全衛生
昨年、業務上の疾病で死亡した労働者は、2020年より72人(6.1%)増えた1252人と集計された。2004年(1288人)以来、18年振りの最高値だ。特に、その他の化学物質中毒(前年比11人増)、有機化合物中毒(4人増)、金属および重金属中毒(1人増)といった有害物質中毒による死亡者が大幅に増えた。「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)の施行を前に、法が適用される「職業性疾病」はむしろ増加傾向にあり、事業場の有害物質管理・監督に穴が開いていると指摘される。
雇用労働部が20日に公表した『2021年労働災害発生現況』によると、昨年の業務上事故による死亡者は、2020年比で6.1%減った828人と、過去最低水準を記録したが、業務上疾病死亡者は6.1%増の1252人となった。業務上の疾病で死亡した労働者の死亡万人率は0.65で、事故死亡の万人率(0.43)よりも高い。
昨年、業務上疾病死亡者の40.7%は脳心血管系疾患で死亡した。2018年に脳心血管系疾患の認定範囲が拡大された後、持続的に増える傾向を示している。一方、推定の原則の適用にも拘わらず、労災を認められた職業性がんによる死亡者は、むしろ減少傾向にある。昨年の職業性がんによる死亡者は、2020年(162人)より55人減少した107人で、業務上疾病による死亡者全体の8.5%を占めた。
業務上の疾病統計で何よりも深刻なことは、有害物質中毒による死亡者の急増だ。金属・重金属中毒死亡が5人、有機化合物中毒死亡が13人、その他化学物質中毒死亡が50人で、前年比それぞれ25%、44.4%、28.2%増加した。実際、昨年1月に半導体・ディスプレーの下請け会社で、配管工事中に急性毒性物質である水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)が噴出して労働者2人が死亡し4人が負傷する事故、同月、華城の建設現場でコンクリート養生作業中に一酸化炭素中毒で労働者1人が死亡し1人が負傷する事故が続いて発生した。3月には、江原道の東海船舶の亜鉛貯蔵庫で、亜鉛ガス中毒で労働者2人が死亡した。
2021年業務上疾病現況
統計を取り始めたのが、急性中毒のような職業性の疾病が一年に三人以上発生すれば経営責任者を処罰する重大災害処罰法の施行前だったため、事業場の有害物質の安全管理がむしろ疎かになったのではないか、という批判が提起されている。最近、昌原と金海で毒性洗浄剤による急性中毒事故が続いて発生していることとも無関係ではない。労働界は「毒性物質が入った洗浄剤を、虚偽の情報だと偽って製造・流通する業界の慣行が表面化する程、政府当局による事業場の有害物質の管理・監督が杜撰」で、「有害物質の取り扱いに対する産業安全保健監督を強化すべきだ」と要求している。
2022年3月21日 毎日労働 ニュース キム・ミヨン記者
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