『5年間交代制』鉄道機関士の脳梗塞は「業務上災害」 2022年2月4日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/イメージトゥデイ

交代制で働き、精神的な緊張の大きな業務に従事して脳梗塞を発症した鉄道機関士が、裁判所で業務上災害と認められた。裁判所は、業務時間が雇用労働部の告示で定めた業務時間を超過していなかったとしても、交代制勤務の特性や、騒音に曝されていた点など、複合的な業務負担が重要な要因とみている。

  ソウル行政裁判所は3日、韓国鉄道公社(コレイル)の機関士Aさん(53)が、勤労福祉公団の療養給付不支給処分取り消し訴訟で、原告勝訴の判決を行ったと明らかにした。Aさんが訴訟を起こしてから1年6カ月目だ。

  1993年に入社したAさんは週5日、一日平均8時間ずつ、不規則な交代制で働いた。Aさんは機関士の特性上、午前・午後・夜間に出発して列車を運行する循環型勤務体系に従って乗車した。通常働く機関室では平均70~80dbの騒音が発生した。

  また、Aさんが属している事業所は、全国で唯一、崖のある運行区間を担当し、危険度が高かった。さらに、Aさんは副機関士として勤務していた時に、列車と衝突した乗用車の搭乗者四人全員が死亡する事故など、三回の人命事故を経験している。

  そんな中、2018年6月に非常待機勤務を終えて帰宅し、手足のまひ症状で病院を訪れ、「虚血性脳卒中、中大脳動脈領域脳梗塞」と診断された。下半身麻痺の後遺症に見舞われたAさんは、2020年2月、公団に療養給与を申請したが、業務時間が慢性過労基準を満たしていないという理由で不支給とされた。Aさんが発病する前一週間の業務時間は40時間38分で、労働部の告示基準を満たしていないというのが理由だった。

  Aさんは「脳梗塞は業務上の過労とストレスによって発病した」として、2020年7月に訴訟を起こしていた。裁判では裁判所の鑑定医の所見は交錯した。職業環境医学科の鑑定医は、Aさんが25年間、勤務時間の頻繁な変動によって睡眠時間が不規則だったことなどが、脳梗塞の発病に影響を及ぼした可能性が高いと見ている。一方、神経外科の専門医は、「A氏は高血圧や喫煙など、脳梗塞の危険要因を持っていたものと推定される」とし、「業務上の過労と疾病との関連性はない」と判断した。

  裁判所は脳梗塞と業務との相当因果関係を認め、Aさんに軍配を上げた。判決は「長い期間勤務したからといって、交代制勤務に適応したとは考えにくいだけでなく、むしろ勤務期間が長いほど、肉体的、精神的な負担は更に累積される」とした。更に「25年以上、交代制によって勤務したAさんの場合、業務が相当な肉体的・精神的な負担を与えたことが、経験則上明白だ」と念を押した。

  裁判府は△70~80dbの間で騒音が発生した点、△機関室に生理現象を解決する別途の場所がない点、△事故の危険性が高い運行区間での勤務、△人命事故の経験、などを根拠に挙げた。二つ以上の業務負担が、重要な要因として複合的に曝される業務ということだ。

  Aさんを代理したチェ・ジョンヨン弁護士は「Aさんの平均業務時間が過労基準に大きく及ばなかったことは事実だが、交代制勤務などの業務負担要因を幅広く認めた判決」とし、「今回の判決を契機に、交代制勤務を行う鉄道機関士の場合、最初の請求段階から、過労基準に達していなくても、脳心血関係疾患が労災と認められることを期待する」と話した。

2022年2月4日 毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者

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