工期短縮に生命を脅かされる建設労働者 2022年1月26日 韓国の労災・安全衛生

建設労組

「建設会社は工期さえ短縮できれば、どんなことでもする。工事に無理があって亀裂が入るとハンマーで掻き出したり、水を混ぜたりしたコンクリートを注入します。建設会社の利益のために、こうした慣行は黙認されている。」(ユン・スンジェさん)。

建設労組は25日、「工期短縮が招いたマンション建設現場での重労働と手抜き工事の証言大会」を行った。建設労働者たちは、光州のアイパーク崩壊事故の根本的な原因とされている無理な工期短縮は、特定の工事現場だけの問題ではないと口を揃えた。

建設現場でコンクリート打ちをしているポク・ギスさんは、「できるだけ利益を増やそうとする現場を考えると、光州市のマンション倒壊事故には驚かない」と言った。ボクさんは「先日も打設後に鉄筋が崩れた現場で働いた。」「人命事故がなかったので外部に知らされなかっただけで、こうしたことは一度や二度ではない」と証言した。

労組が公開した打設日誌によると、アイパークは3階から38階まで、7・8日に1階ずつ打設された。アルミニウムの型枠を作るキム・フンさんは「コンクリートが安全な強度にまで固まるには、少なくとも28日は必要だが、現場では12日以内に作業するのが当然視されている」と話した。鉄筋工のキム・サンユンさんは「仕事を一日でも早く終えれば1銭でも多く儲かるという論理のため、労働者たちは血と汗を流している。」「ヘッドランプを着けて、朝4時から働くのが正常なのか、訊きたい」と問い返した。

現場の労働者たちは不法多段階下請けが『早く早く』の慣行を煽っていると指摘した。建設現場で解体・整理の作業をするイ・スンファンさんは「下請業者を選定するとき、最低価格の落札で決めるやり方が問題を起こしている。」「安い工事費用の中から利益も出さなければならないため、安全と品質を無視した工事が行われている」と主張した。彼は「法的に禁止されている下請けが、現場では普通に行われている。」「国土交通部や雇用労働部、市役所が点検しているが、抜き打ち点検ではないため、手抜き工事が見付かりにくい」と指摘した。

建設労働者たちは工期短縮の慣行によって、きつい労働に追い込まれている。労組が韓国労働安全保健研究所と共同で、昨年5月から7月にかけて、アルミ型枠の労働者440人に実施したアンケート調査によると、労働者の一日平均の労働時間は9.65時間と集計された。 アルミ型枠の労働者の10人中7人が過労状態であることが判った。適正労働時間と対比した実際の労働時間を表す「平均過労指数」は、1.5を記録した。適正な労働時間に合わせるためには、作業時間を33%減らさなければならないという意味だ。

アルミ型枠の労働者の一時間当たりの平均熱量消耗量は134Kcalで、事務職労働者の5.85倍、完成車製造業の労働者の2.71倍も多くのエネルギーを使っていることが判った。作業は一個当たり8.5~29kgのアルミの型枠を1メートル以上持ち上げる「突っ込み」を繰り返す方法で行われる。アルミ型枠は25坪のマンションで230~240枚、34坪のマンションで260枚程度が使用される。

労組の関係者は「10時間近くを、平均的にはマラソン、瞬間的には100メートル競走をするレベルの心拍数になる。」「5年で身体のバッテリーが底をつくので、それ以上は仕事をし辛くなる」と説明した。

労組は、「アルミ型枠労働者の労働強度を下げるためには、割り当てられた作業量を処理して、それによって賃金を支払う慣行から撤廃すべきだ」と主張した。

2022年1月26日 毎日労働ニュース シン・フン記者

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