執拗な嘆願で急性脳出血死亡、裁判所は「公務上災害」 2021年12月1日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/イメージトゥデイ

公務員が執拗な嘆願に苦しめられ、精神的なストレスによって急性脳出血を起こして死亡したのは『公務上災害』に該当すると、裁判所が判示した。裁判所は死亡直前の労働時間が適正な水準だったとしても、嘆願によるストレスが通常のレベルを遙かに越えていたとすれば、死亡と業務の間に相当因果関係が認められるとした。

法曹界によれば、ソウル行政法院は殉職した教育公務員Aさんの妻が、人事革新処に提起した殉職遺族給付不承認処分の取り消し請求訴訟で、26日に原告勝訴と判決した。

1997年に書記補に任用された後、仁川市の教育支援庁の生涯教育チーム長として働いたAさんは、管内の学院(塾)の指導・監督業務を担当した。2019年2月頃、学院の受講生の両親のBさんから嘆願があった。浪人中の子供が中国漢語水平試験(HSK)で4級以上の条件があれば、推薦で中国の北京大に行くことができるので、ある語学院を受講したが、学院がキチンと講義をしないという内容だった。Bさんは主務官にこのような事実を訴えて、教育庁も直接訪問した。

Aさんなど教育庁の職員は、語学院が登録以外の教習過程も運営して、講師の採用を通知しなかった部分を摘発して、院長に罰点20点の行政処分を行った。しかしBさんは処分が軽いとして、重いレベルの行政処分をずっと要求した。ついに学院の院長は、Bさんが『嫌がらせ』をしているとして、区議会議長などを同行して、教育支援庁の教育長と面談することになった。その後も、Bさんが「国民直訴の鐘」に嘆願すると直ぐに、教育庁は学院の名称表記違反、未登録教習過程を理由に、学院に警告(罰点25点)と過怠金20万ウォンの最終処分を行った。

そしてAさんは最終処分の直前に同僚の母親の法事の弔問に行って、突然、後に倒れた。急いで病院に運ばれたが、6時間目に急性くも膜下出血と診断され、急性心停止で亡くなった。Aさんの妻は人事革新処に、殉職遺族給付の支給を申請したが、公務上の過労としての相当因果関係を認めにくいとして、拒否された。脳出血発症前の6ヶ月間に超過勤務をしていないなど、業務の強度が正常な範疇にあったというのが理由だった。Aさんの妻は昨年12月に訴訟を提起した。

裁判所は「Aさんは嘆願のストレスによって脳出血が発生したと見られる」として、遺族の請求を認容した。裁判所は「故人が慢性的な肉体的な過労状態にあったと認めることはできない」としつつ、「学院に関する嘆願の提起による精神的なストレスが通常のレベルを上回ったと見られるという点に照らして、脳出血が精神的なストレスによるものだと推定される」と判示した。精神的なストレスによる反復的な血圧上昇が、脳出血を引き起こすという裁判所の鑑定所見も判断の根拠として作用した。

特に、Bさんが直接教育庁を数回訪問して、持続的に電話をして、重いレベルの行政制裁を要求した部分が、Aさんに相当なストレスを引き起こしたと見た。裁判所は「学院長が地域の政治家を同行して教育長と面談したことは、Aさんの立場からは大きな負担だった」とし、「嘆願の葛藤が続いている状態で、長期化した嘆願を終結するために最終処分を準備していたので、精神的なストレスが通常のレベルを上回った可能性がある」と説明した。結局、裁判所は「故人の死亡が公務上災害でないとみた処分は違法で、これを取り消す」と判決した。

遺族を代理したソン・イクチャ弁護士は、「業務時間が週40時間内外であっても、ストレスによる脳心血管疾患発病の可能性を認めた判決」とし、「特に事務職の場合、業務の場所が会社に限定できず、業務時間も業務の性格によって無限に延びることがある。この事件のように、責任と強度など、質的な部分を評価する必要がある」と話した。

2021年12月1日 毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者

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