22次世界安全保健大会「補償を越えて予防に」 2021年9月23日 韓国の労災・安全衛生

17日、WHOとILOが共同で発刊した『2000-2016年仕事による疾病と災害負担の推計』報告書の表紙。報告書によれば、全世界で毎年労働者200万人が仕事によって亡くなる。

22次世界安全保健大会(World Congress on Safety and Health)が、テレビ会議方式で、20日から23日までの三泊四日の日程で、122ヶ国の関係者が参加してカナダで開かれている。「連結された時代の予防:すべてのために安全で建康な仕事を作るグローバル解決法」というテーマで開かれる今回の大会は、国際労働機構(ILO)と国際社会保障協会(ISSA)、そして『カナダ職業保健安全中心』(Canadian Centre for Occupational Health & Safety)と『仕事と健康研究所』(Institute for Work & Health)が共同で主催している。

大会はグローバル供給チェーンと技術によって、高速でデータと知識の交換、そして情報処理が行われる今日の高度連結世界で、労働者の安全と健康を保護する機会をどのように模索するかを集中的に議論している。このために「安全と保健の永年の課題を解決するための革新」「変化する仕事の世界が職業安全保健に投げかける含意」「予防文化(a culture of prevention)の増進」という三つの争点を主な議題として提示している。

仕事に関連する災害と疾病は徐々に減ってはいるが、高危険な産業で、伝統的な危険が未だに存在している。新規の職員と青年労働者が危険に直面する可能性は依然として高い。これに加えてデジタル化とグローバル化、そして人口の変化と仕事の柔軟性の増加が『仕事の世界(the world of work)』の様子を変えている。このために生まれる新しい仕事の形態と組織が、労働者の安全と健康に与える影響がますます大きくなっている。

このような挑戦に対処するための解決法を、世界各国の労使政代表と研究者が討論を通じて準備することが大会の目標だ。特に「仕事のために生じる災害と疾病はすべて予防可能だ」という考え方を確立することによって、産業災害は必然的で職業病は避けられないという誤った観念を潰すグローバルな運動が必要だと、今回の大会組織委員会は強調する。

演説者としてヨアヒム・プルオISSA会長は、「60年前に世界安全保健大会が始まって以来、予防の世界には巨大な変化があったが、最も重要なパラダイムの転換は、社会保障機関が自らの活動の中心を『災害と疾病に対する補償』から『活力ある予防戦略』に変化させたこと」と話した。ガイ・ライダーILO事務総長は、2019年に採択された『ILO百周年、仕事の未来宣言』で、「安全で建康な労働条件は良い雇用の根本」と明示した点を想起させ、「予防を中心に置く安全保健文化は、COVID19伝染病の管理と安全な業務の再開、そしてより良い未来を作るのに必要不可欠だ」と指摘した。

オオン・トゥド国際労働組合総連盟(ITUC)事務次長は、「仕事による死を防ぐには、職業安全保健を結社の自由や団体交渉権のように、ILO基本協約として作らなければならない」とし、「これを来年の国際労働会議(ILO年次総会)で必ず達成すべきだ」と強調した。「ILOが職業安全保健を職場の基本原則と権利だと認定するまで、10秒毎に労働者一人が死んでいく現実は続くだろう」と展望を述べた。

ILOと世界保健機構(WHO)の統計によれば、全世界で毎年200万人の労働者が仕事によって死ぬ。しかし、その根拠になる各国政府の産業災害と職業病の統計は一方的に作成され、労働者と労組に対する情報の疎外と格差によって、関連の報告書のレベルがいい加減な現実を考慮する時、実際の死亡者は(200万人をはるかに越える) 300万人に達するものと、国際労総は推定している。

国際労総はこのような悪循環を断ち切るために、△職業安全保健(Occupational Safety and Health)サービスに対するアプローチ権をすべての労働者に保障し、△安全保健委員会をはじめとする安全保健管理体制(OSH Management System)に労働者と労組を積極的に参加させ、△危険な仕事を拒否する権利を労働者に実質的に保障し、△産業災害と職業病関連の報告書を正しく作成して積極的に公開する、ことを要求している。

2017年にシンガポールで開かれた21次世界安全保健大会では、産業災害と職業病に因る死亡を予防することを目的とする『Global Vision Zero Campaign』をスタートさせている。

2021年9月23日 毎日労働ニュース ユン・ヒョウォン客員記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=205070