職場のいじめハラスメントほっとライン~全国一斉・無料~9月14日実施 世界自殺予防デー・自殺予防週間~

9月14日(火)
午前10時~午後7時

★北海道・東京・山梨・愛知・三重・大阪・福岡の全国7か所で無料電話相談

主催 : 全国労働安全衛生センター連絡会議メンタルヘルス・パワーハラスメント対策局
協力 : コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク

新型コロナウイルスの感染拡大により、職場での差別やいじめも拡がっている。専門スタッフが、職場改善、パワハラ被害者の救済、労災の相談に対応。

北海道 011-756-7790

(担当:札幌地域労組)

東 京 03-3683-9765

(担当:東京労働安全衛生センター) 

山 梨 055-287-8113

(担当:山梨ユニオン)

愛 知 052-837-7420

(担当:名古屋労災職業病研究会)

三 重 059-225-4088

(担当:ユニオンみえ)

大 阪 06-6476-8220

(担当:関西労働者安全センター)

福 岡 092-273-2114/092-273-2161

(担当:連合福岡ユニオン)

*なお各担当団体では、パワハラやメンタルヘルスに関する相談を日常的に受け付けています。

【統 括 045-573-4289
神奈川労災職業病センター 事務局長・川本浩之

目次

◇自殺予防週間にあわせ、全国一斉ホットラインを開設

9月10日はWHOが定めた「自殺予防デー」です。日本においても9月10日~16日は「自殺予防週間」と定められ、様々な取り組みが行われます。私たちは日常的に様々な労働相談に対応していますが、職場のいじめパワハラに関する相談は増加傾向で、過重労働から精神疾患を発症する事例や自死につながる相談も増えてきています。

今回、自殺予防のために「負の連鎖」を断ち切る一つの手段として、職場でのいじめ・パワハラに悩んでおられる方々の相談を受けるためホットラインを開設します。今回のホットラインは、全国一斉であり、全国の個人加盟の労働組合であるコミュニティー・ユニオン全国ネットワークのメンバーが協力して全国ネットで対応します。

新型コロナウイルスの感染拡大により、職場での差別やいじめも拡がっています。

経験豊富な専門のスタッフが相談対応にあたり、相談内容や要望に応じて、職場の改善やパワハラ被害者の救済、労災申請の協力を行います。また、医師や弁護士などの専門家の紹介も行います。職場における「いじめ・パワハラ」で悩んでいる方々、困っておられる方々に少しでも役に立てればと考えています。

◇危険要因の連鎖を断ち切ることで、自殺防止を

わが国では、1998年以来、14年連続して自殺者が3万人を超える状況が続きました。2012年からは3万人を下回っていますが、それでも年間に2万数千人の方が自ら命を絶つ状況が続いています。

警察庁が発表した2020年の自殺者数は21,081人となっており、11年ぶりに増加に転じています。特に、女性や若年層で増加がみられます。新型コロナウイルスの感染拡大により、経済的に追い込まれたり、孤立に陥る人が増えていることが影響していると思われます。

自殺者のうち「被雇用人・勤め人」の人数は6,742人で、全体の31.9%を占めています。「被雇用人・勤め人」の自殺の原因・動機については、「健康問題」32.3%、「勤務問題」23.1%、「経済・生活問題」16.7%と順となっています。

警察庁や厚生労働省も、「自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている。」と分析しています。

◆パワハラ→休職→収入不足→うつ病発症→自殺

◆配置転換→過労+職場の人間関係→うつ病→自殺

◆昇進→過労→仕事の失敗+職場の人間関係→自殺

働く人の自殺問題を考えるとき、労働条件や労働環境の改善を考える必要があります。

企業の対策が一番遅れているのはこの点です。勤務問題から発生する危険要因に早く気付き、この「危険要因の連鎖」をどこかの段階で断ち切ることにより、自死に至るケースを食い止めることは可能なのです。

◇「パワハラ防止法」が施行されたが、パワハラは減っていない

2021年6月30日、厚生労働省は、「令和2(2020)年度個別労働紛争解決制度の施行状況」をまとめ、公表しました。全国379ヵ所の総合労働相談コーナーに寄せられた相談のうち、民事上の個別労働紛争相談件数は27万8,778件にのぼり、「いじめ・嫌がらせ」に関するものは7万9,190件となっています。「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は、9年連続でトップとなり、全体の22.8%を占めています。

厚生労働省の委託事業として行われた「職場のハラスメントに関する実態調査」が取りまとめられ、本年3月に報告書が公表されました。この調査は、2020年10月に実施され、24,000の企業(回収率は26.8%)と8,000人の労働者を対象に行われたものです。

企業調査の結果を見ると、「過去3年間に相談があった」と回答した企業では、パワハラ(48.2%)、セクハラ(29.8%)、顧客等からの著しい迷惑行為(19.5%)となっています。そして、過去3年間の相談件数の推移に関する質問に対して、セクハラ以外では「件数は変わらない」の回答割合が最も高く、ハラスメントに関する相談が減っていないことを企業側も認識しています。

労働者調査の結果では、「ハラスメントを受けた経験」について、ハラスメントを一度以上経験した者の割合は、パワハラが31.4%、顧客等からの著しい迷惑行為が15.0%、セクハラが10.2%との回答がありました。そして、「ハラスメントを知った後の勤務先の対応」について、パワハラにでは「特に何もしなかった」が47.1%にものぼる回答でした。

2019年に「パワハラ防止法」が成立し、2020年6月1日からは職場におけるパワーハラスメントを防止する対策が事業主(中小事業主は2022年4月1日から義務化)に義務づけられました。しかし、この調査報告書からも、職場におけるハラスメントに対する防止対策の取り組みが遅れていることがわかります。

◇拡がる、コロナ禍におけるいじめ・嫌がらせ

新型コロナウイルスの感染拡大により、社会全体で差別やいじめが生じているといわれています。

こうしたなか、東京大学大学院精神保健学分野による「新型コロナウイルス感染症に関わる全国労働者オンライン調査」が取り組まれています。新型コロナウイルス感染症に関連して、「職場で嫌みを言われた」「職場で嫌がらせを受けた」「職場で避けられた」「職場で責められたり非難されたりした」「職場で不本意に自宅待機をさせられた」の5項目に対して、「はい」か「いいえ」で回答を求める調査です。

調査のまとめによると、1回目の緊急事態宣言終了までに、一般労働者では15人に1人が、医療職では10人に1人がハラスメントを経験したと報告しています。ハラスメントの評価として、「はい」の回答が必ずしもハラスメントに該当するとはいえませんが、新型コロナ感染症により職場の人間関係がいびつになっていることは充分うかがえます。新型コロナウイルスは第5波の感染拡大は、全国的に、そして労働者世代(20代から50代)の感染が増えており、先ほどの調査よりも更にハラスメントを受けた人は増えていると思われます。

 厚生労働省のホームページには、新型コロナウイルスに関連したいじめ・嫌がらせ等が起きた場合の対応が掲載されています。しかしその内容は、充分とはいえません。コロナ差別をなくすため、現在起きていることを、ホットラインを通じて集約し、行政の取り組みへと反映させたいと考えています。

◇パワーハラスメントを原因とする労災申請、認定は増加傾向

厚生労働省は、本年6月23日に、2020(令和2)年度に精神障害で労災認定された方が608人で、過去最多になったことを公表しました。仕事が原因で精神疾患を発症したとして労災請求される方は年々増加しており、2020(令和2)年度は2051人でした。請求件数は2年連続で2千件を超えています。

労災認定された608人のうち、「パワーハラスメントを受けた」は99件(決定件数は180件)にのぼり、「同僚等から暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」は71件(決定件数は128件)、いじめとまでは評価されなかったが「上司・同僚・部下とのトラブル」は23件(決定件数は493件)となっており、これらを合わせると193件(決定件数は801件)になります。精神疾患で労災認定された方の約32%は、職場でのパワーハラスメントやトラブルが原因となっています。精神障害の決定件数が全体は1,906件ですので、職場でのパワハラやトラブルに関する労災請求件数が増加していることが、この数字からもわかります。

パワーハラスメントに関する労災申請が増えている要因として、働く人々の人権意識の高まりがあり、職場での嫌な出来事を我慢せず訴える傾向が強くなったことがあると考えます。もう一つは、職場で滅茶苦茶でとんでもないことが起きており、人間扱いされない職場の労働環境の劣悪化が影響し止むを得ず声を上げるということが起きていると考えます。

最近の相談事例を次に紹介します。とんでもない職場実態や人間関係がいびつな職場環境が相談者の訴えからうかがえます。

◆最近の「いじめパワハラ相談」の概要

【 事例1 】パワハラによる体調不良で治療中に退職勧奨を受ける

輸入機器の販売会社B社の総務・人事部門で働いていたSさん。2019年1月に入社して間もなく、メンタル不調の社員のフォローなどに従事し、さらにベテラン社員から、いわれなき叱責を受けるなどして、自らも体調を崩してしまいました。Sさんは、時短勤務、業務量の軽減などを申し出て、治療しながら就労してきたのですが、結局のところ、負担が減ることはありませんでした。

2021年1月、会社はSさんに対して、2か月分の賃金を支払うので3月に辞めてもらいたい、出社も必要ないと、退職勧奨をしました。そもそも体調を崩したのは仕事が原因ですし、わずかな補償で退職することには納得できません。さらに会社は、提案した金額に納得できないなら出社を指示。つまり辞めるか、改善のない職場で働くのかと迫られたのです。3月にSさんはユニオンに加入し、労働条件の改善を求めて交渉することになりました。

ところが会社は、Sさんの病気はあくまでも私傷病であり、会社は十分に配慮してきたという姿勢を崩しません。基本的な事実経過すら認めようとしないため、交渉は決裂しましたが、6月になって、会社の方から神奈川県労働員会にあっせんが申請されたため、これを受けて解決をめざしています。なお、7月には労災請求もしています。

【 事例2 】コロナ禍による出勤削減を問いただすとパワハラを伴う退職強要を受ける

小児科クリニックで働いていたパート労働者のAさん(事務職)とBさん(看護師)は、2020年春のコロナ禍に伴う患者数の減少を理由に労働日数を大幅に削減されました。さらに社会保険の違法な脱退手続きをされたために、ご家族やその企業等も含めて大変な迷惑を被りました。事実関係を問い正そうとしたAさんに対しては、パワハラを伴う退職強要が行われるに至ったために2020年8月に二人でユニオンに加入し、団体交渉を申し入れました。

クリニックを運営する法人側が事実すら率直に認めなかったこともあり、残業代未払いや労働時間管理などについての要求もしました。それらについても不十分な対応に終始したために、今年1月に労働基準監督署に申告。全面解決に向けた代理人弁護士との事務折衝も始まりました。以上のような粘り強い交渉の結果、2021年6月に法人側が2人に解決金を支払うことで和解しました。すでに2人は別の医療機関で元気に忙しく働いています。

 *ユニオンと法人との和解合意書において、本件内容は非開示されています。

事例3 】上司の虚偽文章が原因で雇止めを通告される

通信事業会社の事務職員として、9年間、3ヶ月毎の契約更新を繰り返し働いてきたSさん。突然に雇止めを通告され、その理由は①勤務態度、能力が会社の期待にそぐわない、②含む原則を遵守していない、という内容でした。Sさんは、ユニオンに加入し、雇止めの撤回とその理由の説明を会社に求めました。

会社が雇止めの理由として示したのは、Sさんの上司が作成した「雇用止め依頼」と題する文章でした。この上司は普段からSさんに対して、「パートは数字を打って流すだけの単なるキーパンチャー」「パートは考えて仕事をしたらアカン。ルーティンの仕事だけしていれば良い」「パートより社員の方が上」と強い口調で告げることが多く有りました。また、Sさんがインフルエンザに罹患し上司に電話を入れ休んだ際も、「無断欠勤している」と職場に言いふらし、他にもSさんの虚偽の個人情報を職場に言いふらしたりしていました。

ユニオンが会社と交渉する中で、雇止めについては撤回されましたが、上司が虚偽の「雇止め依頼」の文章を作成したことと職場でのパワハラについては、会社は認めませんでした。そのためSさんは、上司と事務所の所長に対して損害賠償の訴訟を提起し、現在係争中です。

【 事例4 】パワハラ防止を求め改善を要求すると、遠くの職場への異動

サービスエリアで清掃作業の責任者として従事しているTさん。同僚のA社員から長年、無視やA社員の仕事を押し付けられる等、酷いパワハラを受けていました。やがて、夜も眠れなくなってしまい、仕事ができない状態になってしまいました。

以前よりユニオンに加入していたTさんはユニオンに相談。ユニオンは会社に対して、パワハラを防止するための職場環境の改善、未払賃金の支払いなどを要求し、団交を開始しました。重ねて、休職の手続きをし、休職中でも生活ができるよう傷病手当の申請を行いました。

会社は一向にA社員のパワハラを認めないばかりか、Tさんを遠くの職場に異動させて決着を図ろうとしてきました。

Tさんとユニオンはそのような不当な要求に対し、繰り返し抗議しました。その結果、会社がA社員のパワハラを公式には認めませんでしたが、Tさんが前に働いていた職場に復帰させることにより、TさんとA社員とが全く顔を合わすことがないよう職域を分け従事すること、一定の解決金を支払うことで合意・解決しました。

【 事例5 】同僚から長時間に及ぶ電話によるハラスメントと長時間労働で労災認定

トラックドライバーの女性は乗車中、別のトラックに乗る同僚男性から一日に何度も電話をかけられ、会社や他の社員の悪口を聞かされるハラスメントに遭っていました。同僚男性の電話には、多者電話により複数の他の男性ドライバーも加わっていました。同僚男性ドライバーが怒りやすい性格だったため、女性は電話を拒否することができませんでした。会社に相談しても改善されず、結局、女性は適応障害を発症し休職することになりました。

女性ドライバーが加入するユニオンは、職業病患者の支援をしている団体にこの女性の労災申請について相談しました。同僚男性から女性へのハラスメントはひどい内容でしたが、女性の乗車記録により毎月100時間以上の時間外労働時間があることが判明しました。ユニオンと職業病患者の支援団体が女性の労災申請を手助けしたところ、労災認定されました。

【 事例6 】上司によるパワハラと月200時間の時間外労働

Aさんは、ゴルフ場で長時間労働はあったものの設備管理の仕事にやりがいを感じて働いていました。しかし総支配人のパワーハラスメントがひどい職場で、次々に人が辞め、経営状態が悪くなるにつれ、Aさんも営業で売上げを上げるよう求められ、名前だけの役員にも就任させられました。総支配人は、度々部下を怒鳴りつけたりものを投げつけたりし、部下にも同調するよう強要しました。そのころからAさんはうつ状態になり不定期に医療機関にかかるようになりました。その後、Aさんにも総支配人からのパワーハラスメントが始まり、連日怒鳴られ、労働時間もますます増え、月に200時間ほどの時間外労働を行うのが常態化しました。Aさんはうつ病が悪化して出勤できなくなり、休業しました。

Aさんは労働組合に相談し、残業代など未払い賃金や精神疾患に対する慰謝料を請求する訴訟を起こしました。労働基準監督署にも労災請求し、管理職で残業代が出ないため労働時間管理されておらず、実際の労働時間が証明できずに一度、不支給となりましたが、審査請求で追加の証拠を提出して労災と認められました。本人の勤務時間メモや時間外に業務指示を録音していた記録などが証拠となったのです。会社に対する訴訟も、和解で一定の補償額を勝ち取りました。

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