無免許の原動機で出勤途上の交通事故、『業務上災害』の判決が続く 2021年8月17日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/イメージトゥデイ

無免許で原動機に乗って出勤している途中に交通事故が起きたとしても、労働者の重過失による犯罪行為が原因でなければ、業務上災害に該当するという判決が続いて出た。裁判所は、交通事故が労働者の故意または重過失で発生したものかは、厳格に解釈して適用するべきだとした。

ソウル行政法院は先月7日、Aさんが勤労福祉公団に提起した療養不承認処分の取り消し訴訟で、原告勝訴の判決をしたと明らかにした。

会社員のAさんは2019年11月、原動機の免許がないのに電動キックボードに乗って出勤する途上で交通事故が起きた。Aさんは横断歩道の緑色灯が点滅しているのに無理に渡ろうとし、青信号で動き出した貨物車と衝突した。左側の脛骨を骨折する重傷を負ったAさんは、昨年1月、公団に療養給付を申請した。

しかし公団は、「交通事故処理特例法上、無免許運転と信号無視に当たる重過失による『犯罪行為』によって事故が発生した」として、Aさんの療養給与申請を不承認とした。産災保険法 37条2項によれば、勤労者の犯罪行為が原因になって発生した負傷・疾病・障害または死亡は、業務上災害とは見ない。

Aさんは「貨物車の運転者の過失が加わって交通事故が発生したもので、自分の犯罪行為が原因になって発生した事故とは見られない」として、行政訴訟を提起した。

裁判所は「電動キックボードの運転行為は犯罪行為とは見られず、出勤途中に発生した事故は業務上災害に当たる」として、Aさんの請求を認容した。裁判所はAさんの過失は認めながら、Aさんの重過失による『犯罪行為』が原因になったとは断定しにくいとした。

続けて「(Aさんの行為が)無免許運転で起訴猶予処分を受けた以外に、産災保険の保護対象から排除されなければならない程、違法の程度や非難の可能性が大きいとは見難い」とし、「自動車の運転者は、電動キックボードの運転者の行動を満遍なく注意して運転しなければならない業務上の注意義務がある」と指摘した。

『無免許バイクで出勤中の死亡事故』に対しても、業務上災害に該当するという類似の判断が出た。蔚山地方裁判所は、先月15日に死亡したバイク運転者Bさんの配偶者が勤労福祉公団に出した、遺族給付と葬祭料不支給処分の取り消し訴訟で、原告勝訴とした。

工場労働者のBさんは、昨年2月に50CCのバイクに乗って出勤する途中に、T字形の交差点を通過した直後に、1tトラックの後のバンパーにぶつかって転倒して死亡した。Bさんの配偶者は遺族給付と葬祭料の給付を勤労福祉公団に請求したが、公団は無免許運転は犯罪行為に該当するという理由で拒否した。

Bさんの配偶者は行政訴訟を提起した。裁判所は「Bさんが無免許状態で強制保険に加入せずにバイクを運転をしたことが、事故の直接的な原因と見ることはできない」として、配偶者の手を挙げた。

裁判所は「自動車の運転者がT字形の交差点を直進して走行する場合でも、左側から交差点に進入する車輌がある場合はスピードを落として走行するなど、業務上の注意義務がある」とし、「交通事故が主にBさんの重過失による犯罪行為によって発生したとは断定し難い」と判断した。

2021年8月17日 毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=204448