アスベスト被害で政府に石綿健康被害救済法改正を要求ー中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会省庁交渉2021/6/18

目次

石綿救済法改正に向けスタート

中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会(本部・東京都江東区)は、6月18日、環境省・厚生労働省・法務省に対して「アスベスト(石綿)健康被害に係るすき間のない救済を求める要望書」を提出し、「希望という名の明日へつなぐ。中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会 省庁交渉2021へZOOOOM イン!」が行われた。昨年は中止されたため、2年ぶりの交渉となった。

新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえて、交渉はZoomシステムを使用したネット上で行われた。交渉には各省庁、患者と家族の会役員、発言者の患者・家族が臨み、各地の会員が交渉をネット視聴した。

交渉は、省庁プロジェクトリーダーの松島恵一副会長の司会進行で進められ、冒頭、小菅千恵子会長代行(副会長)のあいさつから始まった。

1時間半の交渉は、要望書に沿って回答を受け、それに対して意見をかわす、という形で進められた。多くの項目で明確な前向き回答は得られなかったが、直接の意見交換が行われたこと、特に、闘病中の中皮腫患者や遺族からの実態、実感にもとづく発言が行われ、ネット上のやりとりであっても、交渉は真剣そのものであった。

本年度は、石綿健康被害救済法の5年ごとの見直し作業が行われることになっており、そのための検討委員会の開催が予定されており、患者と家族の会では、今回の省庁交渉はそれに向けた重要な問題提起であり法改正運動のスタートラインと位置づけており、要望書に掲げた法改正要求項目の実現に向けて全力を尽くすとしている。 以下、要望書の全文。

2021年6月18日

環境大臣 小泉進次郎 様
厚生労働大臣 田村憲久 様
法務大臣 上川陽子 様

中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会
副会長(会長代行) 小菅千恵子

アスベスト健康被害に係るすき間のない救済を求める要望書

アスベスト健康被害をとりまく諸制度に関し、下記の通り要望します。ご回答をよろしくお願いいたします。

1 当事者と参加の政策決定(厚生労働省・環境省)14:00〜14:20

石綿健康被害に係る各種検討会・審議会において、被災当事者の参加が極めて限定的です。民間領域では、日本肺癌学会の胸膜中皮腫ガイドライン作成に参画したり、「日本石綿・中皮腫学会」の市民公開講座に協力して取り組むなど、意思決定や情報発信における当事者の役割を重視しています。以下の事項についてご対応ください。

①厚生労働省、環境省におけるアスベスト健康被害にかかる各種検討会・審議会において、患者と遺族の当事者参加を徹底してください。

【理由】アスベスト健康被害に関する国の委員会には、患者や家族などの当事者はほとんど参加していません。中央環境審議会石綿健康被害救済小委員会には、2009年からは当事者も参加している石綿対策全国連絡会議から委員が参画するようになり、2016年には遺族が参画してきました。2021年夏以降に予定されている同委員会には患者と遺族の参加を求めていきます。

②肺がんをはじめ、中皮腫も近年は治療環境が大きく変化してきています。日本石綿・中皮腫学会や胸膜中皮腫ガイドラインを作成している日本肺癌学会などから推薦された医師を委員に参画させてください。

【理由】アスベスト健康被害に関する国の委員会には、これまでにもアスベスト疾患に対して知見を有する一部の医師の参画がありました。しかし、関係学会を代表する形での委員参画はこれまでにありません。中皮腫や肺がんについては治療環境が変化してきており、治療や研究に取り組む医師も世代交代が進んでいます。

③東京都をはじめ、都道府県や市区町村レベルでは、がん患者支援団体の情報を積極的に発信しているにもかかわらず、厚生労働省、環境省、環境再生保全機構は中皮腫や肺がんの療養支援にかかわる当事者団体と連携した取り組みを拒まれています。ただちに見直してください。

【理由】都道府県や政令指定都市では、がん対策基本法に基づいて、患者支援団体の情報をホームページや冊子で積極的に広報しています。しかしながら、労働基準監督署や環境再生保全機構では一切、患者支援活動に係る情報を周知せず、患者や家族同士が支え合うピア・サポートの取り組みを支援していません。

2 中皮腫治療法の推進について(厚生労働省・環境省)14:20〜14:40

2018年に免疫チェックポイント阻害剤のオプジーボが承認され、中皮腫患者をとりまく治療環境が変化してきましたが、いまだに予後の厳しい疾患です。現在、今後の治療環境を改善させる研究等も進められており、その加速が求められます。以下の事項について迅速にご対応ください。

①石綿被害救済法第一条を改正し、治療研究分野に、石綿健康被害救済基金を活用できるようにしてください。

【理由】石綿健康被害救済基金は、2006年に施行された石綿健康被害救済法で定められ、同法の認定者に対する給付をするために、国・地方公共団体・労災保険適用事業主(約260万事業所)・特別事業主(ニチアス、エーアンドエーマテリアル、太平洋セメント、日本バルカー)によって財源が拠出されています。令和2年3月31日時点での同基金の負債純資産合計額は約800億円となっています(参考:平成28年3月31日時点でも同程度の金額)。数年にわたって基金の残高はほぼ横ばいです。一部の被害者が、制度の申請をしていない問題はありますが、それを考慮しても余裕があり、患者の命と健康に直接的に関わる治療研究に使途を振り向ける必要があります。現在は、法律によって使途が限定されており、法改正によって条文の改正が必要です。

②国内で実施されたオプジーボとアリムタ、シスプラチンの三剤をファーストラインで投与する臨床試験の結果が2020年9月に欧州臨床腫瘍学会で発表され、注目すべき結果が報告されています。また、米国FDAでは「交流電場腫瘍治療システム」(TTF)が認可されています。さらに、「がん悪液質における体重減少及び食欲不振の改善」を目的とした治療薬として一部がん種に対してアナモレリンが認可されています。これらを速やかに、保険適用してください。追加の臨床試験が必要であれば、石綿健康被害救済基金を活用するなどして治験費用を補助してください。

【理由】近年、中皮腫をめぐる治療法と研究が進展し、歴史的にみれば大きな変革期にあるといえます。具体的かつ有望な治療研究がありながら、研究費調達の目処が立たずに承認申請に至るまでの治験が実施できていません。中皮腫は希少がんであるために、治験の募集規模などに関して不利な面があります。

3 石綿救済法の療養手当をはじめとする給付(環境省)14:40〜15:05

制度設計時から、石綿健康被害をとりまく社会状況は大きく変化しています。例えば、労災認定者や労災認定事業場は増加の一途をたどり、一部の被害者に対しては国や企業に対して裁判所から賠償が命じられています。直近では、2021年5月17日に最高裁判所が建設労働者らに対する国の責任を認定しています。国については司法で規制権限不行使が認められている点について、適時かつ適切に対策を施していれば、労働環境から周辺環境(地域・家庭)に石綿が飛散したり、社会全体に石綿が流通するのを防ぐことができたはずです。責任のあり方について、改めて検討した上で以下の事項についてご対応ください。

①建設アスベスト補償基金制度を早急に創設し、建材メーカーを加えて、職種を問わずできるだけ多くの被害者の救済をしてください。

【理由】建設アスベスト訴訟では国と一部の建材メーカーの責任が認められましたが、屋根工などの屋外建設作業従事者に対する責任が認められませんでした。職種による差別をしない形の建設業従事者に対する救済が求められます。政府において、建設アスベスト被害者救済基金制度の検討がされていますが、職種差別を無くし、建材メーカーの責任を前提として関係各社を費用負担させる形での仕組みづくりが必要です。なお、建設アスベスト訴訟の原告がそうであったように、この救済金制度の受給者は労災保険制度等または石綿健康被害救済制度から給付を受けていることが想定されます。救済金制度自体に格差を設けなかったとしても、言わば土台にあたる2つの制度の格差は依然残されており、解決が求められています(次項目)。

②最低限の生活保障がされた上でなければ、現行の療養手当も制度で定められた本来の使途に対して適切に使用できません。石綿健康被害救済制度を「救済」から「補償」に変える抜本的な見直しに着手してください。それが直ちに困難であるとしても、少なくとも石綿健康被害救済法1条を改正し、「被害者の健康で文化的な生活の確保」を明記した上で、例えば生存権を確保するために生活保護費(単身者)を参考にして療養手当の倍増を図るか、新たな給付を設けてください。その上で、消費税や物価変動に対応するため、給付額の見直しのための検討の場を毎年設けてください。

【理由】私たちは、労災保険制度との関連で、公平・公正なものとなる石綿健康被害救済制度を求めてきました。今春、専門家らによる研究会が、「責任」を基礎にして公害健康被害補償法と同レベルの補償を給付する制度が必要であると提言しています(吉村良一「アスベスト被害救済制度のあり方」『環境と公害』50巻4号)。また、建設アスベスト訴訟において、アスベスト禁止が遅れたことの国の責任を認めた大阪高裁判決の内容が確定するとともに、2021年5月17日の最高裁判決が、(建設作業従事者のみを対象にした規制措置ではない)禁止実施まで規制権限不行使が解消されなかったと判示し、さらに石綿健康被害救済制度の対象である一人親方・中小事業主に対する国の責任も認めたことは、あらためて制度の見直しをする必要を示したものと受け止めるべきです。

石綿救済法の目的は同法逐条解説によれば、「国民の健康で文化的な生活を確保すべき責任を負う政府の立場」を踏まえ、被害者へ「健康被害による経済的負担の軽減を図るべく行われるもの」であるとされています。現行の療養手当は医薬品副作用被害救済制度や原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律を参考に月額10万3870円とされていますが、これは入通院に伴う経費的要素として3万3900円、介護手当的要素として6万9970円として算出された合計になります。医薬品救済制度や原爆援護法では、このような給付の他に疾病を発症したために就労等ができなくなった場合の補填的な要素を考慮した手当がありますが、石綿救済法にはありません。具体的には以下のとおりです。 

医薬品副作用被害救済制度は「⺠法上の損害賠償責任とは切り離した新しい発想に基づく救済とし、原則として誰にも賠償責任が無い場合の救済を目的」として医薬品製造事業者の社会的責任として制度設計されています。「救済⽔準は社会的に妥当と考えられる」ものとされ、「障害年金」(障害の状態によって、月額180,000円ないしは、月額225,000円)も支給されています。国の責任も、医薬品の許認可に関わる立場であることや産業政策上の関わり、社会保障的見知から位置付けられているために事務費の一部を拠出しています。

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律は、「国の責任において、原子爆弾の投下の結果として生じた放射線に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ」、悪性腫瘍などの発症者に一定条件で「医療特別手当」(月額142,170円)が支給されています。

生活保護の支給額は、世帯数や年齢、居住地域によって異なりますが単身者の場合の生活扶助は概ね6万円〜8万円となっていて、住宅扶助は概ね3万円〜5万円となります。さらに石綿救済法施行時は消費税率は5%でした。また、原爆援護法や医薬品副作用被害救済制度では、全国消費者物価指数を参考に毎年度改訂されています。

先般の建設労働者に係る裁判の判決において損害が認められた原告の中には、労災認定されない被災者もおり、必要最低限度の保護がされていない状態です。療養手当の見直しは、そのような被災者にとっても重要な課題となります。

③年間の世帯の収支合計が発症前に比べて200万円以上も減額になったとする調査結果があります。同調査では、働き盛りの50代では顕著に経済的困窮の割合が高くなることが確認されています。発症前の所得状況などを加味し、一部の条件に該当する患者には、「特別療養手当」や「療養者家族手当」などを設定して支給してください。

【理由】中皮腫サポートキャラバン隊が2019年度に実施した中皮腫患者へのアンケート調査(回答数88名)では、50代を中心に発症後の世帯収入の減額傾向が顕著にあらわれていました。現行の療養手当とは別に、最低限の生活保障を担保するために、発病前後の所得などを考慮して不足部分に対して一定の補填をする必要があります。

④交通費、差額ベット代、介護保険制度の利用に係る実費について一部の条件に該当する患者には「療養支援手当」を設定して支給してください。

【理由】療養手当は本来の目的とかけ離れて、実態としては生活用品等に優先的に使用されます。そのようなことから、中皮腫患者さんの中には通院にタクシーを利用せず、自転車のカゴにポータブル酸素を乗せて通院する患者さんもいました。交通費はもちろん、保険対象外の医療・介護サービスに係る費用(月単位)は一定額を超えた場合には実費を支給すべきです。

⑤救済給付調整金とは別に、遺族に対して年金ないしは一時金、および就学時のいる家庭には就学援護費を支給してください。

【理由】石綿健康被害救済制度では、遺族に対して葬祭料(約20万円)のほか、

療養中の被災者に支給された医療費と療養手当およびご遺族に支給した未支給の医療費等の合計金額が280万円に満たない場合に、その差額が遺族に対し支給されています。仮に、被災者療養中の給付の合計が280万円を超過したのち、本人が死亡した場合には遺族には葬祭料しか支給されません。全部ないし一部支給される遺族においても、あくまでも被災者本人の療養に伴う給付が支払われている意味合いとなります。家族が中皮腫等に罹患し、家計等に大きな影響が出る家計もあります。労災では遺族年金ないしは遺族一時金が支給され、条件に応じて就学援護費の支給もあります。

4 石綿健康被害の補償・救済の促進(厚労省・環境省・法務省)15:05〜15:30

石綿健康被害者は労災制度や救済制度で補償・救済が図られていますが、「すき間のない救済」を徹底するために以下の事項について迅速にご対応ください。

①労災時効となった遺族を対象とした特別遺族給付金について、一部被災者(2016年3月27日以降の死亡者遺族)の請求権が無くなっており、2022年3月28日以降はすべての対象者の請求権が無くなってしまいます。法改正をして、請求権を無期限で延長してください。また、船員保険受給者の遺族補償に関して、年金受給している遺族がいない場合は同給付金の対象として一時金を支給してください。

【理由】労災保険制度では、被災者の死亡の翌日から5年が経過した時点で、遺族補償給付の請求が時効となってしまいます。アスベスト被害は、本人や遺族が当該疾病診断後にもアスベストばく露との関係性に意識がなく、労災請求しない事例も珍しくありません。そのような背景から、労災時効遺族に対して石綿健康被害救済法において労災時効救済制度を設けてきました。さらに近年でも、労働基準監督署の担当者が「事業主なので労災保険は適用外」との断定的な教示だけをして、特別加入状況や独立以前の就労状態などを確認しないために労災遺族給付の請求権が時効となってしまった事例が確認されます。同様の事例は全国的な問題であると認識しています。これまでに過去2回、請求期限が延長されてきましたが、2022年の請求期限に関しては延長の予定がありません。令和元年度の実績として43件の請求、23件の支給決定がありました。船員保険の遺族給付は遺族年金のみで、被災者死亡後は5年以上経過していても、5年間さかのぼった時点からの遺族年金が支給されます。しかし、遺族年金受給者がいない場合で、特別遺族給付金で指すところの遺族一時金受給者がいたとしても何の給付もありません。

②石綿救済制度の特別遺族弔慰金・特別葬祭料にかかる法施行前の中皮腫および肺がん死亡者の遺族の請求権が2022年3月28日以降に無くなってしまいます。法改正をして、請求権を無期限で延長してください。

【理由】石綿健康被害救済法では、労災時効救済以外にも、そもそも労災の対象とならない被災者遺族に対する給付もされています。2006年3月27日の法施行日以前に亡くなった被災者遺族の請求権はこれまでに過去2回にわたり延長されてきましたが、2022年の請求期限に関しては延長の予定がありません。令和元年度の実績として18件の請求、12件の支給決定がありました。

③中皮腫の死亡年別の死者数に対して、労災や救済法における認定者数は高い年でも7割未満です。厚労省、環境省で過去に実施した個別周知事業を再度実施してください。あわせて、引き続き各法務局での死亡診断書の原則27年間保管を徹底し、人口動態調査における「死亡票」も活用してください。

【理由】戸籍法施行規則において、死亡診断書の保管が定められていますが、特例によって5年廃棄をする事例が一部の法務局(全国50カ所)で発生していました。これによって正確な死因が証明できず、労災時効救済の対象となり得る遺族の請求に著しい困難が出てしまう問題もありました。厚生労働省では統計調査の関係で、死因などが特定できる「死亡票」を電子データを含めて保管していますが、個人情報の関係で利用に制限がかけられています。

④石綿健康被害救済制度における肺がんの認定者は中皮腫の1に対して0.15です(労災は0.73)。石綿健康被害救済基金の残高が積み上がっている原因にもなっています。判定基準が労災制度に対して厳格すぎて、申請・認定が進んでいません。肺がんの判定基準に「石綿ばく露歴」を取り入れ、労災相当の基準としてください。

【理由】石綿健康被害救済制度設計時、中皮腫と同程度の割合で認定者が出ることが想定されていました。石綿関連疾患の国際的な診断基準などを定めたヘルシンキ・クライテリアでは少なくとも中皮腫に対して2倍の石綿肺がん(職業性アスベストばく露を原因とする)が発生するとされています。国際的には、それを上回る水準でアスベストを原因とする肺がんの被災者がいるとされています。

⑤国際がん研究機関(IARC)をはじめ、国際機関において卵巣がん、喉頭がんとアスベストばく露の関連性が指摘されています。労災保険制度における認定疾病に追加してください。

【理由】複数の国際機関で、当該疾病とアスベストばく露との関連性が指摘されています。肺がんと同程度の基準を設けるなどして、認定疾病に追加することが求められています。

⑥石綿救済制度では、良性石綿胸水、卵巣がん、喉頭がんを対象疾病に追加してください。

【理由】労災保険制度では、良性石綿胸水が対象疾病として定められています。発生数が相対的に少なく、病態等の解明が不十分ですが、労災の対象とならない一人親方等の場合で良性石綿胸水を発症した場合は救済されないことになります。なお、疾病名の「良性」は必ずしも罹患者の身体症状に問題がないという意味にはなりません。

⑦石綿救済制度において、申請者が医療機関等に証明などを依頼した際に発生する文書費用、石綿小体・石綿繊維の計測費用について支給してください。

【理由】申請前の石綿小体・石綿繊維の計測は、病院のサービスとして実施するか、数万円程度の「自己負担」によって依頼することになります。肺がんの申請・認定数を鑑みれば、これらの費用について補助し、申請を促すことが必要です。

⑧石綿救済制度の申請において、医師の証明を必須とせず、申請を受け付けて審査することが可能なようにしてください。

【理由】肺がんについては、「石綿が原因であることの根拠」の記載が医師に求められています。石綿を原因とする肺がんの場合、例えば、「胸膜プラーク」の有無に関する診断は重要な指標となりますが、医師によって判断が分かれることも珍しくありません。医師の証明が得られない場合、それが実態的に誤ったものであっても、申請者は証明が得られないということで申請を断念してしまいます。

⑨労災制度および石綿健康被害救済制度における医師証明の共通フォーマットを作成し、現行のものと併用して活用するなど、現場の医師の負担を軽減してください。

【理由】両制度において、医師の所見等を記載する書式は別々です。中には、両制度に請求・申請する請求人もいます。医師も、通常業務の間を縫って書類作成に協力してくれています。医師の負担を軽減してより積極的な制度への勧奨につなげ、請求・申請者の増加を図ることにつながります。

以上。