白血病で死亡した『北極航路』乗務員、死亡1年後に労災(産災)認定「宇宙放射線被ばく」原因 2021年5月21日 韓国の労災・安全衛生
宇宙放射線が多い北極航路を飛行する業務を担当して白血病に罹った航空会社の乗務員の疾病が、乗務員が死亡して1年が過ぎて産業災害と認定された。航空会社で放射線被曝が産災と認定されたのは今回が初めてだ。
勤労福祉公団は21日、5年間白血病で闘病し、昨年5月に亡くなった大韓航空の乗務員のKさんの疾病に、業務関連性を認めたと明らかにした。公団は産災認定の理由として、「業務中に相当量の放射線に曝露した。」「放射線と疾病との因果関係が認められた」とした。
2009年に大韓航空に入社したKさんは、乗務員として6年間、北極航路を飛行する業務を担当し、2015年に急性骨髄性白血病を発病した。Kさんは、宇宙放射線に被曝したことと、夜間・交代勤務などが発病に影響を及ぼしたとして、2018年に産災を申請をした。しかしKさんは昨年5月、申請の結果を見ることなく亡くなった。
北極航路は宇宙放射線が最も強い地域として知られている。Kさんは、宇宙放射線被曝に関して産災申請をした大韓航空で初めての事例だ。これから類似の事例を経験した同社の前・現職乗務員も産災を申請したり、申請を準備していることが分かった。
Kさんの死亡が産災と認定され、航空会社の乗務員の被曝問題に関する根本的な対策が必要だという声が出ている。2019年8月、カトリック大ソウル聖母病院のカン・モヨル教授、延世大医大のユン・ジンハ教授など、国内の研究陣が発表した論文を見ると、航空運送産業従事者の白血病発病率は、公務員より1.86倍、一般労働者より1.77倍高かった。女性の航空運送産業従事者は全体の癌発病率でも、公務員より2.27倍、一般労働者より2.09倍高かった。
Kさんを代理したキム・スンヒョン労務士は、「疫学調査は長くかかるとはいうが、3年もかけなればならなかったのか、疑問だ。結局、Kさんは亡くなってから産災が認められた。」「乗務員の被曝問題に関して、政府が全数調査を始めなければならない」と話した。
2021年5月21日 ハンギョレ新聞 パク・ジュンヨン記者