ポスコの女性下請け労働者の血液癌の発病、平均の15.5倍 2021年3月11日 韓国の労災・安全衛生

金属労組浦項支部

ポスコの下請け業者で働く女性労働者の血液癌の発病率が、女性労働者全体より15.5倍も高いと調査された。ルーゲリック病も11.5倍も多く発病した。更に17種の疾患発病率が平均よりも高く、作業過程で発生する有害物質への曝露が原因と見られる。

正義党のカン・ウンミ議員は10日、ポスコの97の下請け業者の労働者の、特定疾患発病率の実態調査結果を発表した。勤労福祉公団の、2010年から2019年までのポスコの下請け労働者の疾患類型と人員に関する資料を再分析したものだ。

ポスコの下請け業者は浦項製鉄所に55社、光陽製鉄所に42社ある。年平均の健康保険加入者数で、ここで働く下請け労働者は全部で2万5324人で、女性労働者は1529人だ。

女性労働者の癌発病状況を、健康保険の全国職場加入者の女性と比較したところ、血液癌は15.5倍、ルーゲリック病は11.5倍、目・脳と中枢神経系統の癌は8.8倍も高いことが分かった。中皮軟組織癌は4.7倍、肺癌は3.4倍、呼吸器胸廓内機関癌は3.3倍、唇口腔癌は3倍と調査された。17種の疾患の発病率が全国平均より高かった。

下請け業者の男性労働者の事情も特に違いはなかった。悪性中皮腫癌2.1倍、甲状腺癌1.5倍、皮膚癌1.3倍など、5種の癌疾病の発病が平均より多かった。

事業場の特性と思える発病状況も確認された。白血病とルーゲリック病は浦項製鉄所の下請け業者の女性労働者にだけ発病し、鼻腔癌は元請けと浦項製鉄所の下請け労働者にはないが、光陽製鉄所の下請け業者の男性労働者にだけ発病した。悪性中皮腫は浦項製鉄所の下請け業者の男性労働者にだけ発病した。

製鉄所の癌発病は作業環境に関連すると見られる。「仕事と健康」によれば、製鉄所では結晶型硝子ケイ酸・コークスオーブン排出物質・石綿・6価クロム・電離放射線などの発癌物質が発生する。これらの物質は肺癌と血液癌・前立腺癌・悪性中皮腫・鼻腔癌・甲状腺癌などを誘発すると知られている。カン議員の実態調査結果と大きな差はない。

カン議員は「ポスコの癌の発病が、特定地域と特定事業場に集中していて、工程との関連性を排除できない」とし、「労働部は元請けだけでなく、下請け業者に対しても安全保健診断と危険性の評価を実施すべきだ」と注文した。

2021年3月11日 毎日労働ニュース チェ・ジョンナム記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=201718