ポスコ・浦項製鉄所の労働者、職業性がんで集団労災申請 2020年12月15日 韓国の労災・安全衛生

金属労組浦項支部ポスコ支会

ポスコの浦項製鉄所で働いて、肺癌・ルーゲリック病・血液癌に罹った労働者8人が、勤労福祉公団に産業災害補償を申請した。

金属労組・浦項支部ポスコ支会は14日、ポスコ・浦項本社前で記者会見を行い、「製鉄所は職業性癌の発病率が高い事業場なのに、ポスコで職業性癌に関連した産災申請は10年間で4件に過ぎない。」「今回の集団産災申請を契機に、職業性癌の産災申請が全国的に拡がらなければならない」と明らかにした。

支会によれば、この日、産災申請をした8人のうち、5人は肺癌や肺繊維症、2人はルーゲリック病、1人は血液癌と呼ばれる細胞リンパ腫の診断を受けた。ルーゲリック病と診断された2人は、それぞれ昨年と今年に亡くなっている。肺疾患関連の診断を受けた5人とルーゲリック病を病んで亡くなった2人は、浦項製鉄所内で石炭の塊りのコークスを作る火成部と、溶鉱炉から出た金物を冷ます冷熱部で働いた。細胞リンパ腫の診断を受けた労働者は建設プラント労働者で、浦項製鉄所に派遣されて、寿命が終わった高炉などを修理する業務を行った。コークスの生産過程では、結晶型ガラスケイ酸とベンゼンといった発ガン物質が発生すると知られている。発ガン物質が多量に含まれた粉塵などを、製鉄所の労働者は安全保護具もなく吸入してきたというのが支会の説明だ。

2018年の産業災害補償保険法・施行令の改正によって職業性癌の産災認定範囲が拡大し、職業性癌の産災承認も増える傾向だ。しかし、ポスコでは、依然として職業性癌の産災申請は簡単ではないと労働者は説明する。支会が勤労福祉公団に情報公開を請求して受け取った資料によると、ポスコで最近10年間に提起された業務上疾病の承認申請は43件に過ぎなかった。職業性癌に関連する申請は4件だった。この内3件が承認され、1件は不承認の判定を受けた。

ハン・テジョン支会長は「労働者が働く工程で、どんな物質を取り扱い、どんな危険性が内包されているのか、十分な教育が行われていない状況」とし、「職業性癌の場合、発ガン物質に曝露してから、短くて10余年後に発病するので、既に退職している状況で、産災申請はさらに難しい」と話した。

クォン・ドンヒ公認労務士は「製鉄所の工程は発ガン物質に曝露しやすい環境なのに、ポスコ製鉄所の1万7千人余りの労働者の中で、職業性癌の産災認定が3件ということは、産災の隠蔽が蔓延していると見ざるを得ない。」「職業性癌が立証されるのは、疫学調査がどれくらい忠実に行われているかに掛かっていて、ポスコの態度も重要だ」と話した。

2020年12月15日 毎日労働ニュース オ・コウン記者

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