混乱と新たな方法の模索、がん治療軌道に戻す努力-英国メゾテリオーマUKのCOVID影響調査(新型コロナウイル感染症が中皮腫患者に与えた影響)
イギリスのメゾテリオーマUKは、とりわけアスベスト関連がんである中皮腫のための、全国的な専門家(とくに中皮腫専門看護士)によるリソースセンターである。このチャリティ団体は、専門家による中皮腫情報、支援と教育を提供するとともに、イギリスのすべての中皮腫患者とその介護者のためのケアと治療の改善に献身している。2017年に日本の中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の代表団がイギリスを訪問したおりにも、その活動を直接うかがっている。
メゾテリオーマUKは、2020年5月と9月に、中皮腫患者さんに対するCOVID-19の影響調査を行った。第1回調査は患者・介護者を対象にし、第2回調査は中皮腫専門看護師を対象にしたもので、今回紹介するのは第2回調査報告書だが、第1回調査の結果の概要も含まれている。
ロックダウン下のイギリスで中皮腫をはじめとしたがん患者さんが体験した状況は、日本とは異なる点も少なくないようだが、内在している問題点は共通しているものと思われる。
メゾテリオーマUKのウエブサイトには「中皮腫とコロナウイルス」の特設ページもあり、こちらを参照することも報告書の内容の理解の助けになろう。また、朝日新聞GLOBE+のイギリスで一般開業医している日本人医師によるイギリス情報なども参考になるかもしれない。
患者・家族に限らず顔を合わせての国際交流も困難な状況が続いているが、お互いの経験を共有しつつ、共感と連帯を中断させないことをこころがけたい。
目次
概要
イギリスの中皮腫発症率は世界でもっとも高い。
それは避けることのできるがんであり、治療は治らなく、中皮腫罹患者は有益な治療にアクセスできるほんの短い間の機会しかもたない。悲しいことに、COVID-19パンデミックに伴い、中皮腫患者とその家族は、とりわけもっとも影響を受けるがん患者になった。状況が絶望的になった者もいる。
メゾテリオーマUKは、2020年5月1日に第1回CO VID影響調査をまとめた。回答者(患者35人と介護者29人)は、パンデミックがもたらしつつある影響を率直に述べ、経験しつつある恐れや心配、現実的な困難を共有した。この第2回調査は、同じ問題を扱っているが、メゾテリオーマUKの27人の看護士チームを通じてのものである。
メゾテリオーマUKの各看護士は、NHS(国民保健サービス)病院を本拠にしており、各人は、COVIDパンデミックの最初の6か月間を通じて、患者を支援し、パンデミックの影響を最小限にするとともに、可能な限り継続性が維持できるようにサービスを適応させるため、休むことなく働いた。
20人の看護士が18項目の調査に回答し、COVIDパンデミックを通じて中皮腫罹患者を世話した自らの経験から直接得られた課題、懸念及び主要な関心事を詳細に記述した。
2回の調査双方の知見には多くのオーバーラップがあり、多数の勧告が繰り返されるとともに、新たな勧告もなされた。主要な勧告はがん治療に焦点をあてている:
すべての者にとってがん治療を軌道に戻すことがもっとも重要である。
- すべてのイギリスのNHSトラスト、GP(一般開業医)及び一次医療サービスは、COVID以前のサービス提供へ(必要な適応つきで)100%復帰を実現するための期限が与えられるべきである。
- すべての臨床試験はリスクアセスメントを実施され、可能な場合には再開されるべきである。
- とりわけ私たちのもっとも影響を受けやすいがん患者のために、在宅治療サービスを検討考慮する。
- 早急に免疫抑制のより少ない治療計画が利用可能にされるべきである。
- 末期(ターミナル)診断されたがん患者の特有の状況に対処するための特別のガイドラインと助言が利用できるようにされるべきである。
- がん患者が大事(Cancer patients matter)であり、すべてのがん患者がCOVID治療を受けることができることの公的な再確認を継続する。
背景
COVID世界的流行のアウトブレイクを受け、個々人の安全を最大化するとともに、COVIDが生み出した医療需要に適応するために、必然的に私たちの全国的がんサービスには広範囲な混乱があった。
2020年5月、中皮腫患者とその家族に対するこの影響を把握するために、メゾテリオーマUKは、患者と介護者の初期のパンデミック経験に焦点をあてた調査を行った。この概要はNHSイングランドに直接送られた報告のなかに示されており、「キャンサー52」及びキャンサーチャリティ・フォーラムによって設立された「COVID・キャンサー・インテル」イニシアティブによって共同実施された大規模フィードバックにも貢献した。
メゾテリオーマUK第1回COVID影響調査(2020年5月)
主な知見の要約
- 中皮腫患者は病院に通うのを怖がっており、COVID-19に曝露することを懸念している。
- 50%が、治療が延期またはキャンセルされたと記述した。すべての回答者が治療中だったわけではない。
- 回答者の64%が、スキャンまたは外来の予約が変更されたと答えた。
- 回答者は、いかに感じたかを説明するのに、「おびえた、見捨てられた、不安な、迷いの中にそして不安定な中に取り残された」と感じたという言葉を使った。
- 患者は、面談による診察の機会を失っているが、電話診察はすぐに受け入れられた。彼らをチェックするための臨時電話は高く評価されている。
- 家族/介護者が、電話による医療専門家とのコミュニケーションの機会を失う可能性がある。
- 患者がNHS隔離[Shielding]患者リスト(SPL)に自動的に含まれるかどうかについては差があった。SPLへの自動的包含の欠如は、人々が自分は隔離される必要がないと思い込むことにつながった。医療専門家と患者は、SPLに登録する方法について大きな混乱を経験した。
- 家族支援やチャリティ/社会サービスによって、人々は一般的に買い物や必須の用足しに困難を経験しなかった。
- 病院の処方は、それらが病院内でしか利用できないことに問題がある。
- ルーチンの運動、趣味や家事補助の確立はすべて、社会的隔離の否定的影響に立ち向かうのに役立った。
- 家族や友人と連絡を保つためのソーシャルメディアの利用は有用だったが、それを以前利用したことのない者にとっては困難だった。
- 病院、地域保健及び緩和医療の専門家との相互連絡は頻繁だった。
- 患者のフィットネス及びメンタルヘルスは劣化した。
- 多くの心配が表明された:
- -治療の中止による中皮腫の進行
- -COVID19への曝露の恐れ
- -中皮腫に加えてCOVID-19に耐える能力
- -中皮腫の既往のゆえにCOVID-19に対する治療が差し控えられるという思い込み
- -残された限られた人生を、家族や愛する者と一緒にではなく、ロックダウンのなかで過ごすこと
- 家族や友人の存在と彼らからの支援がもっとも喜ばれたが、地域社会のイニシアティブ、オンライン・ショッピングや医療専門家からの接触も評価された。
- 多くの回答者にとって、イギリスの中皮腫コミュニティ(患者、アスベスト支援グループやメゾテリオーマUK)が有用であったし、それらからの最新情報は有益であった。
- 調査全体を通じて、NHSへの感謝と称賛及び医療労働者への気遣いが表明された。
調査結果は数多くの勧告につながり、メゾテリオーマUKは、チャリティの多くの患者・家族向けサービスを通じて、とりわけチャリティが資金提供する専門のNHSを基礎にした「中皮腫臨床看護専門家」のチームを通じて、提供される支援の設計及び増強にこれらの知見を活用した。
メゾテリオーマUK臨床看護専門家
チャリティは、インバネスからプリマス、ケント、ウェールズ、ケンブリッジ及びそれらの間の多くの場所のNHSにおける、27人の専門の「中皮腫臨床看護専門家(中皮腫CNS)」に資金提供している。私たちががんチャリティのさらなる要請を受けたとき、彼らのアドボカシー的役割において、患者の進行中の諸問題や経験に関連したことについて可能な限り詳しくフィードバックするために、私たちの専門家看護士の洞察と経験を詳細に調査することを決定した。
第2回調査
方法
メゾテリオーマUKは、具体的に私たちの看護チームを対象に、第2回調査項目(付録1[省略])をまとめた。調査は、中皮腫患者の視点から私たちのがんサービスに何が起きているかを把握及び強調するとともに、看護士と彼らの臨床チームが継続してかかえている課題を把握するように、設計された。
調査は2020年8月下旬、チャリティの運営チームのメンバーによって、25人の中皮腫CNSに配布された。サービス部長と看護部長は含まれていない。回答はEメールで返送され、匿名化されて照合された。調査は18の質問項目をもち、そのうち13は記述回答を求めた。回答は、現出しつつある課題を確立するために分類された。
結果
コンタクトをとった25人の看護士のうち20人から回答を受け取った。多くの看護士は一つまたは二つのチームで働き、それゆえ集団的回答を選ぶかもしれないことから、全数回答は期待されていなかった。また、調査要請は夏季休暇中に配布され、回答期間は短かった。
診断及び照会
診断サービスに関する経験は様々だった。看護士らは、照会数が減少したこと、診断される患者の数が通常よりも少なかったことを確認した3人の看護士は、患者が一般開業医にアクセスするうえで経験した困難に、面談による診察の難しさが加わったと記述した。おそらく、一般開業医の照会よりも、救急部門での初期症状経由で診断された患者のほうが多かったことが強調された。
3人の看護士は、診断サービスには何の混乱もなかったと言った。他の者が経験した混乱はすべての地域にまたがっていた。諸手続の調整や実施により長い時間がかかったことに加え、CTスキャン、胸腔鏡検査や生検へのアクセスが遅れ、一定期間中断した場合もあった。パンデミックに入って5か月以上経つにもかかわらず、多くの看護士がなお、調査実施の時点で、進行中の混乱のなかで働かなければならなかった。胸腔鏡検査(3人の看護士)、CTスキャン(7人の看護士)、外科生検(1人の看護士)のアクセスすべてが、いまもなお影響を受けているものとして強調された。チームが回復・修復サービスを検討したとき、集中化されたハブからの診断サービスの送還が、残念なことにさらなる遅れをもたらした。
患者・介護者の恐れまたは心配
圧倒的にもっとも共通する患者がCNSに表明した恐れは、COVIDに罹患すること、また、曝露リスクの高い場所と考えることから病院に通うことを望まないことについてだった。13人の看護士が、これを重要な関心事としてあげた。
看護士らが強調した第2の恐れは、病気の進行についての懸念や心配であり、6人の看護士が、治療の遅れ、治療または治験の中止が、患者が恐れていることであると確認した。
患者は、放っておかれ、見捨てられ、またいらだつ感覚を報告した。患者は独りで死ぬために家に送られたと感じたと話し、また、逆に言えば、入院が認められたら、訪問者もなしに独りで死んでいくのではと恐れた者もいる、と看護士は言った。
現在のがんサービス改善の優先事項
看護士らは、現在のがんサービスの状況を改善するための最優先事項は何であると、患者と介護者が言うと思うか、尋ねられた。確認された圧倒的な優先事項は、治療・臨床試験へのアクセス及び通常受けられる治療オプションを軌道に戻すことだった。看護師らはまた、患者はオンライン/電話予約を喜んでいるが、面談による予約を本当に大事に思っており、その機会を失っているとも示唆した。看護師らは、可能な限り早くまた幅広く、面談による予約を回復すべきであると感じていた。ある看護士はまた、治療に関連したリスクや病院環境に入ることに関する、神話を払拭する可能性の高い、より明瞭な情報を必要としていると言った。
看護士のもっとも困難または悲しい問題
患者との顔を合わせた接触の欠如が、看護士にとって最も困難で悲しい問題と感じられ、6人の看護士は、このことがどのように感じさせたかを記述した。また、顔を合わせた接触の欠如が、患者が適切に評価されず、コミュニケーションスキルやトレーニングをフォローできず、悪い知らせは電話ではうまく伝えられず、患者や存家族との関係を築くことが一層困難であることを意味したことに対する懸念もあった。
終末ケア、愛する者と過ごせることや人生の終わりに訪問者がないことが困難として確認され、6人の看護士が状況を記述した。患者とその家族は、とりわけそのような短い寿命なのに一緒に過ごすことができないことに、非常にだまされたと感じた。
看護士らはこの期間に、患者や家族との電話の回数と複雑さが増したと感じた。彼らはまた、患者が支援を受けるのを確保するために、患者にリーチアウトすることに以前よりはるかに積極的だった。看護士らは、とりわけ隔離され、家族と切断された者について、電話やオンライン接触だけで患者を元気づけることに困難を見出した。
看護士らはまた、個人的に彼らに対する影響についても話した。ある看護士は、「それは私に本当に影響を与えた-キャリアを通じて私が考える以上に。ときどき私は、誰とも会話ができないと感じた-何も残っていないと」。 別の看護士は、自分は標準以下のケアばかり提供しているとしか感じられなかったと書いた。
一般的に言って、9人の看護士は患者を支援するのにかなり手間がかかったと言い、5人はやや多くと言った。顔を合わせた接触が減るなかで、看護士は、必要な支援を提供するために、電話により多くの時間を費やした。サービスや治療を中止・中断すること、どの治療や治験が行われているかについて最新情報を維持することは困難だった。放射線学への要請が通常よりも多くあり、CTスキャンの調整はときどき困難だった。
役に立つひとつのことを実施
看護士らは、現在の状況に役立てるためにやりたい、または変えたいことがひとつあるとしたら、それは何かと尋ねられた。彼らは、顔を合わせた相談をもう一度可能にしたいと回答した。彼らは、臨床試験の再開と毒性の少ない薬の確保を望んだ。看護士が実施したいと思った最後のことは、病院環境での家族の中皮腫患者の訪問及び付き添いを認めることだろう。
新しい働き方
看護士らと彼らが働くチームは、様々な新しい働き方を採用した。電話(11人)やビデオ(6人)を使ったバーチャル診療所がもっとも共通になりつつある。加えて、バーチャル支援グループ(10人)、バーチャルMDT(中皮腫多職種チーム)会議(11人)やチーム会議(10人)があった。ある看護士は、在宅で働くことができ、別の看護士は、新しい看護士主導の患者ケアサービスを確立した。ほとんどの新しい働き方は、明らかにパンデミック後も継続するであろうことが、ひろく予想された。
患者とのバーチャル・コミュニケーションの経験(ビデオ及び電話)
患者とバーチャルに働くことの数多くの長所と短所が確認された。
〇バーチャルに働くことの長所
- 病院に行く必要なし
- CNSとのより頻繁な接触が可能
- ケアの継続性の増加
- 旅行時間の減少
- 患者のCOVID曝露への不安に適応
- 患者がそれを好んでいるように思われること
- 患者に紹介したサービスでより素早いバーチャル予約の取得
- 駐車の問題または費用がない
- 医療専門家の在宅労働が可能
- 患者は自宅のほうがくつろげる
- 同じ部屋にいなくてもスピーカーフォンを通してまたは3方向会話で介護者も関与可能
- より頻繁なフォローアップ提供が容易
〇バーチャルに働くことの短所
- 非言語的手がかりを拾うことの困難
- 患者を検査できない
- 医師が見えないことで患者が不安を感じる
- パフォーマンス状況の評価が困難
- 悪い知らせを伝えること/難しい会話が困難
- 技術を評価する必要性
- 聞き取り困難がある者にとっての困難
- 興奮した患者に支援を提供することの困難
- 血液検査やX線検査を行えない
隔離の助言についての理解
2020年5月に実施されたメゾテリオーマUKの最初のCOVID調査は、隔離[Shielding]に関する大きな混乱を明らかにした。看護師らは、患者が隔離の助言の複雑さに苦闘し続けてきたことを確認するとともに、当初の「ダンケルク精神」は時とともに衰えたと感じていた。患者が、進行中の隔離で家族や友人、とりわけ孫を失っていると感じるにつれて、看護士らは、「私たちはこれを乗り越えられる」という姿勢が減少したことを観察した。メンタルヘルスや信用への影響、孤立感や誰かが自暴自棄と言うものが、その犠牲を払っている。結果と生存が悪いことから、これは中皮腫罹患者とその家族にとってはさらに複雑だった。人々は、長く生きるのでなければ、隔離にほとんど意味はないとはっきり感じており、彼らはこの時期に愛する者との接触を望んでおり、また多くが、中皮腫の診断の既往のゆえにCOVIDに罹患したら治療を提供されないだろうと考えていた。何人かの患者は、このために隔離の登録をしないことを選択し、それを苦痛と思ったために説明や助言を避けた者もいた。
看護士らは、隔離に関する進行中の混乱を確認した。ある看護士は回答のなかで、医療専門家も混乱させられることを強調して、患者はなお隔離し続けるべきであるのか疑問を提起した。別の看護士は、隔離が終わって以降に流された助言がさらに混乱を増したと記述した。
ソーシャルメディアやインターネットへのアクセスは、患者が最新情報を維持するのを容易にするように思われる。
患者の懸念や混乱、ときには隔離への抵抗にもかかわらず、看護チームは患者にガイダンスを守ることを奨励するとともに、要請されたときに病院に通うのは安全であると安心させた。
ガイダンスと情報源
調査は看護師に、患者の必要性に合ったガイダンスや情報源をもっているかどうか尋ねた。イギリス全体での助言の欠如、それが各国で異なり、変更の頻度の高いことは、最新情報を保ち、助言を提供し、ガイダンスに従うことを困難にした。情報源には、自らのNHSトラスト、政府のウエブサイト、メゾテリオーマUK、NHSE、CRUK、LCNUK及びキャンサー・ワンボイスが含まれた。
ラインマネージャーや自らのNHSトラストからの支援は多様で、ラインマネージャーからの支援はきわめて不十分だったと言う者もいた。PPE(個人保護具)への限られたアクセスと誰がそれを着用すべきかに関するガイドラインの信頼性の欠如が、当初懸念を生じさせた。在宅で働くことができるようにするIT技術へのアクセスが、問題点のひとつとして確認された。
患者を地域の支援またはレビューに照会しようとするときの、一般開業医や一次医療サービスへのアクセスが、幅広く強調された。
死亡後の困難
メゾテリオーマUKは、葬儀の手配及び死後検視官との連絡の困難について、家族からの電話を受けてきた。私たちはそれゆえ看護士に、患者の家族の経験がどのようなものだったか、感じていることがあるかを尋ねた。葬儀に限られた人数しか参列を許されなかったことが、多くにとって明らかな問題だった。思いやりがあり支えてくれた葬儀担当者がこの期間を通じていたことについての肯定的なコメントもあった。死亡証明書または検視官事務所との連絡に関するコメントはなかった。
給付や民事請求の遅れ
すべての看護士が回答し、給付または補償の請求と受給、支援または支払いにおける何らかの遅れに気づいた者はいなかった。例外がひとつあり、ある患者は民事請求が遅れたと感じた。また、入院中のある患者が、書類仕事を仕上げるための弁護士の訪問を受けることができなかったという状況があった。
患者を代表してのメゾテリオーマUK CNSの主要なメッセージ
混乱が少なかったか、なかった場合には患者は感謝を表明したが、今後私たちは、第2波があったときに、サービスが維持されるようにするために、診断から治療まで、がんサービスを守る必要がある。これは国全体を通じて公平であるべきであり、また、それでも病院には通うことは安全であるという、はっきりしたメッセージと結合されるべきである。
一般開業医と一次医療サービスは軌道に戻されて、COVID以前のサービスを提供する必要がある。
隔離についての助言は、誰が影響を受けやすく、どのように自らを守るのかについて、より明瞭かつより一貫したものである必要がある。
何人かの患者は、隔離から出てくることはロックダウンよりも難しかったと感じた。COVIDパンデミックの長期影響があるだろうし、患者には継続した支援が必要である。スタッフは疲労し、士気は低い。あなた自身が怖くて不安でいるなかで、他の人の不安、心配や恐れに対処しなければならないことは、その犠牲を払ってきた。
最後のCOVID関連コメント
一般開業医へのアクセスは、いまもそれを欠いていることから、再度強調する。看護師らは、人々に最新情報を保ち、支援を提供し続けることに関して果たしたチャリティ団体の役割に感謝している。看護師らは一般に、NHSが協力して、パンデミックに対応したやり方は本当に素晴らしいもので、主要な労働者に対する人々の反応も元気づけられるものだったと感じていたように思われる。
結論
4か月後にまとめられ、第1回は患者で第2回は看護士の回答であったにもかかわらず、メゾテリオーマUKが実施した2つのCOVID調査の結果には、数多くの類似性がある。
COVIDに罹患すること、COVID治療の資格がないまたは値しないと思われることへの恐れや、治療が中断されている間に中皮腫が進行することに対する絶え間ない心配が、圧倒的な問題だった。
いくらかの患者はなお臨床試験または調査にアクセスできないことを意味する、一定の多様性はあるものの、ほとんどのがんサービスがいまでは回復している。将来の何らかのCOVID急増においても、すべてのがんサービスを公平かつ持続的に回復することは、私たちがこのパンデミックとともに前進することから、不可欠かつ優先事項であると一般的に考えられている。
隔離に関する混乱及び孤立によって生じた感情的精神的負担はいまもなお明らかである。患者の平均余命が非常に限られ、家族、友人や愛する者との時間に没頭する緊急性のある、中皮腫のような病気では、これはおそらく一層明らかである。
いくらかの働き方の変化がおそらくサービスを強化した。バーチャル・コンサルテーションは歓迎される選択肢を加えたが、どちらの調査も、患者と臨床チームには、必須の標準的なケア、治療やコミュニケーションを維持するために、顔を合わせたコンサルテーションが必要であることを確認した。
一般開業医と一次医療サービス、とりわけ緩和ケアサービスへのアクセスは中断させられ続けており、この2次サービスの看護士らは、緊急に対処される必要があるものとして、優先順位づけしている。
中皮腫罹患者が訪問を受け、付き添いを伴なう権利をもつよう、看護士からの請願があった。いかなる治療に関わりなく、1年以内に死をもたらす可能性のある病気をかかえて生きることは、NHSトラスト全体を通じて採用されてきた、一般的な訪問制限アプローチを振り払う、疑いない正当な理由になる。
最後に、看護士らは、パンデミックを通じて広く表明された、NHSに対する感謝と支援をいまも感じることができ、これは非常に心の温まることである。看護師らは、彼ら自身に対する個人的なCOVIDパンデミックの影響が認知されることを望んだ。モラルが影響を受け、彼らもまた管理する自ら及び家族のCOVID体験をもち、各自が独自の恐れや不安をかかえながら、臨床チームは疲労し、時には必要な支援を提供するのに苦労している。
勧告
この第2回調査の結果は、2020年5月に実施された前回調査による数多くの知見と勧告を支持した。
以下の勧告は、双方の調査の知見を考慮したものである。
- すべての者のためにがん治療を軌道に戻すことが不可欠である。
- すべてのイギリスのNHSトラスト、一般開業医及び一次医療サービスは、COVID以前のサービス提供への(必要な適応つきで)100%復帰を実現するための期限が与えられるべきである。
- すべての臨床試験はリスクアセスメントを実施され、可能な場合には再開されるべきである。
- とりわけ私たちのもっとも影響を受けやすいがん患者のために、在宅治療サービスを検討する。
- 早急に免疫抑制のより少ない治療計画が利用可能にされるべきである。
- 末期診断されたがん患者の特有の状況に対処する特別のガイドラインと助言が利用可能にされるべきである。
- がん患者が大事(Cancer patients matter)であり、すべてのがん患者がCOVID治療を受けることができることの公的な再確認を継続する。
- 電話コンサルテーションは容認できるものであり(ビデオが好ましいかもしれない)、COVIDパンデミック後もルーチンとして考慮されるべきであるが、臨床検査や悪い知らせ伝えるために、また患者の要請に基づいて、面談による予約を利用できるようにすべきである。
- 隔離の助言・ガイドラインは個人に適合させたものにするとともに、より詳しいものにすべきである。・病院と地域の処方を互換性のあるものべきである。
- 処方の家庭配達サービスを検討する。
- 完全なCOVID影響及び医療労働者の長期的支援の必要性を調査する。
- チャリティのバーチャル及びオンライン・サポートを通じて人々に提供する情報を維持するよう、NHSイングランド会議とともにチャリティに要請を続ける。
- COVIDがもたらした働き方(バーチャル診療所、MDTチーム会議、支援グループ)のどれがベストに機能したか確認するとともに、全国的ガイドラインを作成する。