職業性胆管がん事件(校正印刷会社SANYO-CYP):職業性胆管がん問題、SANYO-CYP事件年表

SANYO-CYP社における胆管がん被害状況(敬称略)

2011年3月~2020年3月(敬称略)

年/月/日出来事
2010/021969年生のG、胆管がんで死亡(在職:1994~2004、発症:2009)。(Gの発症より前に、すでに8名発症。Gよりあとに8名発症)
2011/03/16京都ユニオンを経由して、関西労働者安全センターにGの件などで相談あり。
2011/04Gの労災請求受理(時効中断処理)(大阪中央労働基準監督署)
2011/12熊谷信二産業医大准教授、2012年5月産衛学会に「胆管がん5名」の発表抄録提出
2012/03/073名(F、G、②)の労災請求などのため面談申し入れをSANYO-CYP社に送付
2012/03/14SANYO-CYP社顧問弁護士から通知、面談拒否。S社、事業主証明事実上拒否(その後、在職者を含めすべて証明拒否)
2012/03/303名の労災請求提出(大阪中央労基署)
2012/05/07熊谷准教授、大阪労働局・大阪中央労基署担当者に調査状況詳細説明(大阪中央労基署)
2012/05/18NHKニュースウォッチ9のトップニュースで報道
2012/05/19毎日新聞報道、夕刊から各紙報道
2012/05/21厚生労働省安全衛生部長「印刷業における化学物質による健康障害防止対策について」(2012.5.21基安発0521第1号、同第2号)
2012/05/31日本産業衛生学会で熊谷准教授「オフセット校正印刷労働者に多発している肝内・肝外胆管癌」報告
2012/06/12厚生労働省安全衛生部計画課「胆管がんに関する相談状況について」(東京、宮城各労働局管内で各胆管癌の発症、死亡事案の相談あり)
2012/06/13厚生労働省労働基準局「印刷事業場における胆管がんの発生について」(S社からさらに労働者3名の胆管がんの請求)
2012/06/25厚生労働省安全衛生部計画課「胆管がんに関する労災請求について」(宮城県内の事業場で2名(30歳代男性、40歳代男性)の労災請求
2012/07/10厚生労働省安全衛生部計画課「胆管がんに関する一斉点検結果の取りまとめ等について」(全国561事業場の一斉点検のとりまとめ結果、S社や宮城の労災請求事業場の調査業況など)
2012/07/12(社)日本印刷産業連合会が労働衛生協議会設置、初会合
2012/07/18全印総連が小宮山厚生労働大臣に要請書
2012/07/19S社4遺族、時効事案を一斉労災請求(大阪中央労基署)
2012/07/20連合が厚生労働省に「胆管がんに対する労働安全衛生対策に関する要請」
2012/07/23厚生労働省安全衛生部長「印刷業等の洗浄作業における有機塩素系洗浄剤のばく露低減化のための予防的取組について」(2012.7.23基安発0723第1号)
2012/07/25厚生労働省安全衛生部計画課「胆管がん発症に関する各種取組み状況について」(全国約16,000事業場の通信調査実施、大阪市大圓藤教授疫学調査グループによる疫学調査実施など)
2012/07/31S社顧問弁護士が記者会見、被害者側も記者会見-熊谷、本田真吾(在職中に肝機能異常で退職)が会社見解を「ウソ」と批判
2012/08/03圓藤教授、久保教授らの市大グループが記者会見。疫学調査、日本胆道学会による症例調査を実施、8/7から市大病院で胆管がん外来開設
2012/08/28厚生労働省職業病認定対策室「胆管がんの労災認定に関する検討会の開催について」(「印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」の設置)
2012/08/29オフセット印刷従事歴のある40歳代男性が名古屋西労基署に労災請求(表2の3番、名古屋労災職業病研究会が支援)
2012/08/31労働安全衛生総合研究所「大阪府の印刷工場における疾病災害調査報告書A-2012-2」公表(5/28、6/7,6/30,7/1(模擬実験)に現場調査実施)
2012/09/05厚生労働省安全衛生部計画課「印刷業に対する有機溶剤中毒予防規則等に関する通信調査の結果(速報)等について」(全国全数通信調査の速報、労災請求事案を除く胆管がん相談事案22件、胆管がん相談窓口相談状況)労災請求件数が印刷業での胆管がん労災請求件数34件、それ以外2件と公表、うちS社は12件(9月4日現在)
2012/09/06厚生労働省印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会第1回
2012/09/21日本胆道学会(東京)緊急企画で熊谷報告「リスク2900倍」
2012/09熊谷「オフセット校正印刷会社における肝内・肝外胆管癌に関する調査中間報告書」公表、厚生労働省業務上外検討会に提出
2012/10/12厚生労働省安全衛生部化学物質対策課「印刷業に対する有機溶剤中毒予防規則等に関する通信調査の結果(最終版)」(全国全数通信調査の最終報告(回答47労働局7105事業場、集団説明会の開催状況、胆管がん労災請求45件(うち遺族請求29件)、S社は13件に)新たな11人は男性10人と女性1人、女性を含む6人は死亡、年齢別では30代1人、40代2人、50代2人、60代6人-30代の男性はS社の従業員
2012/11/01厚生労働省胆管がん業務上外検討会第2回 胆管がん:新たに7人が労災申請計52人に・大阪市の校正印刷会社S社の従業員らに胆管がんの発症が相次いだ問題で、厚生労働省は1日、新たに印刷業関連で7人が労災申請し、計52人(うち死亡32人)になったことを明らかにした。(毎日新聞2012/11/1)厚生労働省によると、新たに申請した7人はいずれも男性。年齢別では30代1人、40代2人、50代2人(うち死亡1人)、60代2人(いずれも死亡)。このうち30代と40代の計2人がS社の従業員だった。この日は専門家による検討会も開催され、原因物質や今後の課題などについて協議した。(共同)
2012/11/18SANYO-CYP胆管がん被害者の会会合第1回
2012/12/11厚生労働省胆管がん業務上外検討会第3回 印刷会社の従業員らに胆管がんの発症が相次いでいる問題で、厚生労働省は11日、印刷業に従事して胆管がんを発症したとして、新たに4人の労災請求があったことを明らかにした。これにより、労災請求は計56人(うち35人が死亡)となった。新たに請求された4人のうち1人は、胆管がんが多発した大阪市の校正印刷会社S社の30代の男性従業員。他の3人は、60代2人、70代1人で、いずれも遺族からの請求だった。(産経)
2012/12/16「胆管がん多発事件はどうして起こったか」シンポジウム(エル大阪)主催:全国安全センター・関西労働者安全センター ※衆議院選挙投票日
2013/01/01(産経新聞)印刷会社の元従業員らが相次いで胆管がんを発症した問題で、厚生労働省は、大阪市の印刷会社に勤務した3人について、発症と業務の因果関係があったとして労災認定する方針を固めた。
2013/01/27被害者の会会合第2回
2013/01/31厚生労働省胆管がん業務上外検討会第4回
2013/02/20胆管がん16人認定厚生労働省方針(朝日)
2013/03/14厚生労働省胆管がん業務上外検討会第5回 厚生労働省業務上外検討会報告書 ジクロロメタン・1,2-ジクロロプロパンの2物質が原因推定、SANYO-CYP社は1,2ジクロロプロパンの高濃度・長期間ばく露原因、時効適用は除外(発症時から)
2013/03/27SANYO-CYP社16名分の労災決定、支給決定通知書発送(大阪中央署)
2013/03/28SANYO-CYP社が記者会見(顧問弁護士のみ)
2013/04/02SANYO-CYP社に対して家宅捜索
2013/04/04SANYO-CYP社・山村健司取締役から関西労働者安全センターに入電
2013/04/07被害者の会会合第3回
2013/04/21被害者の会とSANYO-CYP社との話し合い第1回
2013/04/22被害者の会結成で記者会見
2013/05/10がんサポート誌取材(野内、本田が対応)
2013/05/12被害者の会会合第4回
2013/05/14日本産業衛生学会総会、許容濃度委員会の提案を了承。・1,2-DCPの許容濃度(8時間平均)を1ppmとする。・1,2-DCPについて発がん性を「第2群A」(ヒトに対しておそらく発がん性がある。証拠が比較的十分な物質で、疫学研究からの証拠が限定的であるが、動物実験からの証拠が十分である)に分類する。・「化学物質を含む洗浄剤を使うオフセット印刷工程」の発がん性を「第1群」(ヒトに対して発がん性がある)に分類する。
2013/05/21厚生労働省胆管がん業務上外検討会第6回 野内豊伸氏を業務上判断(SANYO-CYP社17人目)
2013/06/13厚生労働省胆管がん業務上外検討会第7回 宮城の2件、愛知の1件業務上判断。1件は業務外。<ただし、印刷業請求事案。※以後の本表の記載についても、すべて印刷業の請求事案について> 愛知の1件は、ジクロロメタン単独ばく露(12年)で初。
2013/06/16被害者の会とSANYO-CYP社との話し合い第2回
2013/07/28被害者の会とSANYO-CYP社との話し合い第3回(胆管がん発症した管理職2名が出席)
2013/08/01厚生労働省胆管がん業務上外検討会第8回 北海道の1件を業務上判断(1,2-DCP1985年から11年間ばく露)、2件を業務外、4件を継続検討
2013/09/01被害者の会会合第5回
2013/09/03厚生労働省胆管がん業務上外検討会第9回 大阪の1件を業務上判断、3件を業務外
2013/09/26大阪労働局がS社と社長を労働安全衛生法違反(産業医未選任、衛生管理者未選任、衛生委員会未設置)で大阪地検に書類送検
2013/10/01厚生労働省胆管がん業務上外検討会第10回 福岡の2件を業務上判断、3件を業務外
2013/10/06Iの遺族と面談-以後、被害者の会に参加
2013/10/20被害者の会とSANYO-CYP社との話し合い第4回
2013/10/29「胆管がん問題を踏まえた化学物質管理のあり方に関する専門家検討会」報告書
2013/11/19厚生労働省胆管がん業務上外検討会第11回 埼玉の1件を業務上判断、3件を業務外
2013/12/01被害者の会とSANYO-CYP社との話し合い第5回
2013/12/17厚生労働省胆管がん業務上外検討会第12回 青森の1件を業務上判断、3件を業務外
2014/01/23被害者の会とSANYO-CYP社との話し合い第6回
2014/01/23厚生労働省胆管がん業務上外検討会第13回 北海道の1件、愛知の1件を業務上判断、3件を業務外
2014/02/27被害者の会とSANYO-CYP社との話し合い第7回
2014/03/04厚生労働省胆管がん業務上外検討会第14回 大阪の1件を業務上判断(ひょうご労働安全衛生センターが支援)、4件を業務外
2014/04/15厚生労働省胆管がん業務上外検討会第15回 静岡の1件を業務上判断、2件を業務外
2014/05日本産業衛生学会、1,2-DCPについて発がん性を「第1群」に分類
2014/06/10厚生労働省胆管がん業務上外検討会第16回 愛知の2件を業務上判断(同一企業であるが、別事業場)、2件業務外
2014/06国際がん研究機関(IARC)の化学物質評価会合(第110回、熊谷教授ら日本人5名参加)で、1,2-ジクロロプロパンについて、グループ3からグループ1に引き上げと結論。速報が、ランセット・オンコロジー電子版2014/7/11号に掲載。ジクロロメタンは、グループ2Bからグループ2Aに引き上げ。
2014/06/25改正労働安全衛生法(化学物質のリスクアセスメント義務づけ等)が交付-2016年6月までに施行予定
2014/07/24厚生労働省胆管がん業務上外検討会第17回 京都の1件を業務上判断、2件業務外
2014/09/11厚生労働省胆管がん業務上外検討会第18回 東京の1件を業務上判断、3件を業務外
2014/10/16大阪区検がS社と山村社長を労働安全衛生法違反で大阪簡裁に略式起訴(10/21、両者は各50万円の罰金支払い)
2014/10/22被害者の会、SANYO-CYP社が和解合意について記者会見(9/25付合意成立)
2014/12/02厚生労働省胆管がん業務上外検討会第19回 福岡の1件を業務上判断、4件を業務外
2018/032017年度末における全国の胆管がん労災請求件数が累計で104件、労災認定件数は42件になった。SANYO-CYP社のおける発症者が新たに1名(労災請求)、計19名に。
2019/032018年度末における全国の胆管がん労災請求件数が累計で110件、労災認定件数は45件になった。
2019/04/23SANYO-CYP社のおける発症者(死亡)が新たに1名判明し計20名に。
2019/06/29国立がん研究センター東病院と大阪市大病院で職業関連性胆管がん患者を対象とするオプジーボの医師主導治験を開始されるとの発表。職業性胆管がん患者のがん細胞の遺伝子変異の特徴からオプジーボ投与奏効可能性高いとの判断に基づく。
2019/07SANYO-CYP社の元労働者で2018年に申請した1名が労災認定され、認定者は合計19名となった。

安全センター情報2014年12月号の記事を加筆修正