フィジカルAI時代「ロボットを閉じ込めて止める安全管理だけでは限界」/韓国の労災・安全衛生2026年07月10日

人工知能がロボットと結合し、実際の作業環境を認識して動く技術が高度化し、産業安全基準にも変化が求められている。今までのようにロボットを柵の中に囲って、人が近づくと止めるというやり方だけでは、新たな危険に対応するのは難しいという指摘が出ている。
『静的』リスク評価から『動的』リスク評価へ
フィジカルAIは、AIとセンサー、ロボット、制御システムが組み合わされ、実際の作業環境を認識して行動する技術である。今までのデジタルAIが情報を分析して回答するだけだったとすれば、フィジカルAIは自ら判断した上で物理的な動作を行う。産業用ロボットも、固定されたプログラムに従って繰り返し作業を行っていた段階から、人と同じ空間で働く協働ロボット、更にはAIベースの自律ロボットへと移行している。
このため、これまでの安全は決められた動作を安全にする技術であったが、フィジカルAI時代の安全は自ら判断するロボットの行動を安全にする技術に進化すべきだという主張が提起されている。大韓産業安全協会は『フィジカルAI時代、産業安全の新たなパラダイムと対応戦略』をテーマに、年次産業安全衛生月記念特別セミナーを開催した。セミナーは先月8日午後、京畿道高陽市のキンテックスで開催された。
イ・ジュンナム協会認証部長によれば、現在の産業用ロボット安全システムは、ロボットの動作と作業環境が予測可能であるという前提のもとに構築されている。防護ウールで人とロボットを分離し、人が危険区域に接近すると装置を停止させる方式が代表的である。しかし、AIベースのロボットは、環境を認識し判断した上で動く。 同じ入力でも異なる行動が現れることがあり、経路もリアルタイムで変わることがある。
新たなリスクも提示された。AIが作業者の手を工具と誤認識する誤判断、照明の変化や反射光・粉塵によるビジョン認識エラー、正常作業データ中心の学習によるデータ偏向、自律移動ロボットが増えることによる衝突・挟み込みのリスクなどである。サイバー攻撃によりロボットの経路や速度が変わると、デジタル侵害が実際の産業災害につながる可能性があるという懸念も出ている。イ・ジュンナム部長は、従来の静的リスク評価だけで、これらのリスクを包括することは難しいと説明した。設置時に一度だけ危険要因を点検する方式から離れて、センサーで作業環境を継続的に監視し、危険度を計算してロボットの速度を落とすか自動停止させる、リアルタイムの危険性評価が必要だということだ。
ロボットの安全、機械を超えた空間とデータの問題で
キム・ジュンヨン成信女子大学デジタルモビリティ&ロボティクス研究所長は、ロボットの安全は建築物の観点から考えるべきだと強調した。サービスロボットがオフィス、ホテル、病院などの屋内空間に入ることで、エレベーター・出入口の連動、通信・監視インフラ、歩行者と共存する動線が、安全の前提となったという説明だ。
キム・ジュンヨン所長は、ロボットと親和した建築物は、ロボット運用のための物理的・デジタルインフラと中央制御システムを備え、人と安全に相互作用できる建築物だと説明した。ロボット導入後に事後的に補完するやり方ではなく、設計段階から、安全動線、緊急停止区域、故障対応責任体制、保守・モニタリングの体制を含めるべきだと話した。
協会は、フィジカルAI時代の産業安全基準は、機能安全、AI安全、サイバーセキュリティ、動的リスク評価を包括する、統合安全体制へと発展すべきだと考えている。技術導入の速度に安全基準や認証制度が追いつかないと、新たなタイプの産業災害リスクが拡大する可能性があるとの指摘が出ている。
2026年7月10日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者
https://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=235621


