遺族補償年金、特別加入、消滅時効等は法改正で~建議を踏まえた労災保険法改正案要綱
3月号で労働政策審議会建議「労災保険制度の見直しについて」を紹介したが、3月19日の労災保険部会に以下の「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案要綱」が示され([]書きは編集部による)、「おおむね妥当と認める」との答申された。今後、国会に提出されることになる。
目次
労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案要綱
第1 労働者災害補償保険法の一部改正
1 遺族補償年金における支給要件等に関する事項
(1) 遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金(以下「遺族補償年金等」という。)を受けることができる遺族の要件について夫が60歳以上であること又は厚生労働省令で定める障害の状態にあることという要件を削る。
(2) 遺族補償年金等について、遺族の人数が一人であり、当該遺族が55歳以上又は厚生労働省令で定める障害の状態にある妻である場合の額の特例を廃止し、遺族の人数が一人である場合の額を一律で給付基礎日額の175日分とする。
2 特定の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者等を構成員とする団体に関する事項
(1)特定の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者等を構成員とする団体が労働者災害補償保険の適用を受けることにつき政府が承認するための要件として、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第33条[労働保険事務組合]第1項に規定する業務であって労働者災害補償保険に係る保険関係に係るもの、業務災害の防止に関する活動に係る業務その他の労働者災害補償保険に係る保険関係に係る業務を適切に実施することができる団体として厚生労働省令で定める要件に適合するものであることを定める。
(2) 政府は、(1)の承認を受けた団体(以下「承認団体」という。)の労働者災害補償保険に係る保険関係に係る業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、当該承認団体に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとするとともに、承認団体がこの命令に違反したときは、当該承認団体についての保険関係を消滅させることができるものとする。
3 労働者災害補償保険法第29条[社会復帰促進等事業]第1項各号に掲げる事業のうち政令で定めるものの実施に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができるものとする。
4 療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、複数事業労働者療養給付、複数事業労働者休業給付、複数事業労働者葬祭給付、複数事業労働者介護給付、療養給付、休業給付、葬祭給付及び介護給付を受ける権利について、これらの保険給付を受けるべき労働者のその保険給付の原因である事故に係る疾病が、その疾病の性質上、労働者災害補償保険法第12条の8第2項に規定する災害補償の事由に該当するものかどうか等を容易に判断することができない疾病として政令で定めるものである場合には、当該保険給付を受ける権利の消滅時効の期間を2年から5年に延長する。
5 その他所要の改正を行う。
第2 船員保険法の一部改正
(略)
第3 石綿による健康被害の救済に関する法律の一部改正
1 特別遺族年金を受けることができる遺族の要件について、第1の1の(1)に準じた改正を行う。
2 その他所要の改正を行う。
第4 労働基準法の一部改正
1 災害補償の請求権の消滅時効の期間について、第1の4に準じた改正を行う。
2 その他所要の改正を行う。
第5 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律の一部改正
政令で定める事業について、当分の間、労働者災害補償保険の適用事業としない暫定措置を廃止する。
第6 施行期日等
1 施行期日
この法律は、令和9年4月1日から施行する。ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行する。
(1) 3の一部 公布の日
(2) 第5及び3の一部 公布の日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日
2 検討規定
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
3 経過措置及び関係法律の整備
この法律の施行に関し、必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行う。
2026年4月1日からの給付額等の引き上げ
なお、2026年4月1日から以下の改正が行われる。
〇葬祭料、複数事業労働者葬祭給付及び葬祭給付の定額部分の額が、315,000円から330,000円に引き上げ
〇介護(補償)等給付
・ 常時介護を要する者の最低保障額が、85,490円から90,790円に引き上げ
・ 随時介護を要する者の最低保障額が、42,700円から45,400円に引き上げ
〇介護料
・ 常時監視及び介助を要する者の最低保障額が、85,490円から90,790円に引き上げ
・ 常時監視を要し、随時介助を要する者の最低保障額が、64,090円から68,090円に引き上げ
・ 常時監視を要するが、通常は解除を要しない者の最低保障額が、42,700円から45,400円に引き上げ
〇労災就学援護費
・ 高等学校等(通信制を除く)の支給額が、20,000円から21,000円に引き上げ
・ 高等学校等(通信制)の支給額が、17,000円から18,000円に引き上げ
安全センター情報2026年5月号


