市民団体と労働組合がマレーシアの新天然資源相に対してアスベスト禁止の最終決定とASEANでの主導的役割を要求/Building and Woodworkers’ International, 2026.1.6

国際建設林業労働組合連盟(BWI)、ペナン消費者協会(CAP)、サハバット・アラム・マレーシア(SAM[地球の友マレーシア])、安全衛生助言センター(HASAC)は、アーサー・ジョセフ・クルップ氏が新たな天然資源・環境持続可能性大臣(NRES)に任命されたことを歓迎する。われわれは大臣に対して、マレーシアにおけるすべてのアスベストの全面禁止を最終決定するよう要求する。
マレーシアのアスベストを禁止する闘いは数十年にわたる。1980年代以降、労働組合や市民団体はこの致死性発がん物質について警鐘を鳴らし続けてきたが、強力な産業ロビーからの激しい抵抗に直面することも多かった。マレーシアは1999年に角閃石アスベストを部分的に禁止したものの、クリソタイル(白石綿)については「管理使用」という方針により、この有害物質はサプライチェーンや職場、家庭に依然として残存している。過去の試み、とりわけ2014年の動きは、人命よりも利益を優先する企業利益によって阻まれ、労働者と消費者をさらに10年間も危険にさらした。われわれは歴史が繰り返されないようここに立ち向かう。
世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)は長年、アスベスト曝露に安全なレベルは存在しないと明言してきた。
中皮腫を含むアスベスト関連疾患は潜伏期間が長く、マレーシアでは患者数が増加中である。2022年には27件が報告され、2045年までにほぼ倍増すると予測されている。アスベストの経済的正当性は神話に過ぎない。アスベスト消費に1米ドルを費やすごとに、経済はアスベスト関連疾患による医療費、リハビリ費用、生産性損失として3米ドルを負担せざるを得ない。一方、建設、保守、廃棄物管理や公益事業に従事する何千人もの労働者が、遺産アスベストに日々曝露されている。
マレーシア政府が昨年よりアスベストの全面禁止を見直すという大胆な決断を下したことを称賛する。とくに、この重要な転換を主導し、有害化学物質管理国家委員会の設立を推進した前NRES大臣ニク・ナズミ・ニク・アフマド氏に対して感謝の意を表する。彼の在任期間がより安全なマレーシアの基盤を築いた。いま、われわれはアーサー・ジョセフ・クルップ大臣がこの使命を完遂することを期待する。
新大臣アーサー・ジョセフ・クルップ氏は、法律、経済、科学分野における独自の強力な経験を有している。世界貿易機関(WTO)の元貿易法務官、科学技術革新省(MOSTI)の元次官としての経歴から、アスベストロビーが頻繁に用いる「経済的誤謬」を解体するうえで比類なき立場にある。医療費の長期的な経済的負担が、いかなる産業上の便宜よりもはるかに大きいことを、新大臣が理解されることを確信している。
われわれは、アーサー・ジョセフ・クルップ議員に対して、アスベスト完全禁止を自身の改革の象徴とするよう求める。企業の利益よりも公衆衛生を優先させることで、彼はマレーシア史上もっとも重要な環境保健上の勝利をもたらした先見の明ある指導者として自らを確立する機会を得られる。
2027年までの道程において勢いを回復し、労働者の安全と公衆衛生を確保するため、新大臣に対して以下の核心的要求を提示する。

  1. 禁止を最優先改革課題と位置づける:段階的廃止と全面禁止は、現国会任期内、具体的には2027年までに最終決定及び実施されなければならない。
  2. 利害関係者会議を速やかに招集する:われわれは、禁止の技術的ロードマップについて合意形成を図るために、同省と労働組合、市民社会組織による緊急会合を要求する。
  3. 産業ロビーに抵抗する:大臣はアスベスト産業からの圧力に断固として立ち向かい、省職員を威嚇から守らねばならない。彼の法的バックグラウンドこそが盾となり、業界の嫌がらせではなく、科学と人権が国家政策を決定することを保証する。
  4. 中央調整機関として立ち上がる:禁止措置を成功させるには、MNRESを中央調整機関とした「政府全体」のアプローチが不可欠である。[2040年までに]数千キロに及ぶアスベストセメント製水道管を含む老朽化したインフラの交換をめざす「水セクター変革2040(WST2040)」計画に伴い、アスベスト廃棄物の撤去・処分時に繊維が放出されるリスクが差し迫っている。したがって、省庁間の連携が不可欠である。この大規模なインフラ改修に関わるすべての請負業者が、既存のアスベストを安全に取り扱い、除去し、処分するための知識と技術的能力を備えていることを確実にしなければならない。

これはたんなる国内問題ではない。全面禁止を成立させることで、マレーシアはASEAN域内で労働衛生のリーダーとして台頭し、近隣諸国にとっての模範となる基準を確立するとともに、国際社会におけるマレーシアの地位を高めることになる。
https://www.bwint.org/BwiNews/NewsDetails?newsId=1041

安全センター情報2026年3月号